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塩昆布は、万能だと思う。
浅漬けの時にもいい味を出すし、他の具材と混ぜ合わせて、おにぎりにしても美味しい。うん、梅とカツオ節と混ぜて、混ぜごはんおむすび食べたい。
お伽話のお城で開かれる様な、幻想的な、そして豪華なシャンデリアに、ドレスを身にまとい、着飾ったお姉さまたち。タキシードを着た、品の良さそうな人たち。見渡す限り、全てがキラキラと眩しくて、目が痛い。
ーー何故、どうしてこうなった?
隣で爽やかに微笑む青年こと、アレクは。私の腰に腕を回し、挨拶に着た多くの人々へ、笑顔のまま、お話をしている。
そう、時は少しさかのぼり・・・
シンデレラよろしくな感じで飾り付けられた私は、気がついたら大きな扉の前にいた。白く無機質な扉からは、神聖な雰囲気が漂っている。
隣に立つアレクに目をやると、変装魔法を解いて、正装した姿で正面の扉を見ていた。
そういえば、なぜ国王陛下のアレクが、庶民の私を気にかけてくれるんだろう。私よりキラキラした女性は、彼の周りに沢山いるはずである。おにぎりが好きならば、普通のお客様でこと足りそうなのに。とか、考えていると、閉ざされたままの扉に吸い込まれるように、身体が進んでいく感覚があった。
「ーーっ」
いや、普通に怖いからね。
扉がぶつかりそうなくらい近づいて、思わず隣のアレクの腕を掴み、目をぎゅっと閉じる。
「もう、大丈夫だよ。目を開けて?」
彼の声が聞こえて、そっと目を開けるとーーー
そう、現在のパーティ会場にいたわけで。
あの扉は、この会場の?とも考えたけど、何だか違う雰囲気だったし、謎である。
デートとして、パーティの相方に選ばれたようです。楽しそうに私をエスコートしながら、挨拶をしている彼をみて、ますます場違いな気がしていたたまれないですよ。
「ーーーで、婚約ーーー」
ん?アレクの会話から、不穏な言葉が聞こえた気がして見上げると、素晴らしい笑顔が返ってきた。
「私たちは、近々、婚約をしようとーー」
んんっ?
「ね?」
有無を言わせぬ笑顔を向けられて、思わず絶句する。
何故?と反論しようとしたところで、軽く頬にキスをされて思考回路がとざされてしまう。
はたからみれば、仲睦まじい2人に見えること間違いなしっと第三者の私がツッコミを入れておりますが
満足そうに、会話を続ける彼とは対照的に、頭がパニックで、私は周りの会話が聞こえない。さあ、どうやって、このピンチを逃げきれる?
ふと、視界の端に、小さな光の粉が見えた。
目を凝らすと、それは光の妖精だとわかる。そして、隣にいつもの植物の妖精さんがいる。
ーーたすけて。
と、念じようとしたところで、下顎を優しく包まれて、顔を上に向けられて
「本当に、君は私になびかないね・・・普通なら、すでに堕ちているはずなのになぁ」
耳元で囁かれて、固まっていると、会場が、ざわめき始めた。
「本日は、ご来場いただき、誠にありがとうございます」
壇上に居る、白く長い髭をはやしたおじいさんが、挨拶を始めていた。
「さて、長らくお待たせ致しました。ついに、この国に、聖なる力が目覚めましたので、お披露目を致します。」
私は、壇上で、紹介される人物に目を奪われた。
白いドレスにダイアモンドが散りばめてある。シルバーの刺繍も、とても、幻想的で、儚く見える。息を飲むほどに美しいその人を、私は知ってる気がした。まるで、別人みたいだけれど、
いつも、会っていた。毎日。
「ライ・・・」ト。と呟こうとした口を、人差し指で止められる。
「今、その名を口にしてはいけないよ」
浅漬けの時にもいい味を出すし、他の具材と混ぜ合わせて、おにぎりにしても美味しい。うん、梅とカツオ節と混ぜて、混ぜごはんおむすび食べたい。
お伽話のお城で開かれる様な、幻想的な、そして豪華なシャンデリアに、ドレスを身にまとい、着飾ったお姉さまたち。タキシードを着た、品の良さそうな人たち。見渡す限り、全てがキラキラと眩しくて、目が痛い。
ーー何故、どうしてこうなった?
隣で爽やかに微笑む青年こと、アレクは。私の腰に腕を回し、挨拶に着た多くの人々へ、笑顔のまま、お話をしている。
そう、時は少しさかのぼり・・・
シンデレラよろしくな感じで飾り付けられた私は、気がついたら大きな扉の前にいた。白く無機質な扉からは、神聖な雰囲気が漂っている。
隣に立つアレクに目をやると、変装魔法を解いて、正装した姿で正面の扉を見ていた。
そういえば、なぜ国王陛下のアレクが、庶民の私を気にかけてくれるんだろう。私よりキラキラした女性は、彼の周りに沢山いるはずである。おにぎりが好きならば、普通のお客様でこと足りそうなのに。とか、考えていると、閉ざされたままの扉に吸い込まれるように、身体が進んでいく感覚があった。
「ーーっ」
いや、普通に怖いからね。
扉がぶつかりそうなくらい近づいて、思わず隣のアレクの腕を掴み、目をぎゅっと閉じる。
「もう、大丈夫だよ。目を開けて?」
彼の声が聞こえて、そっと目を開けるとーーー
そう、現在のパーティ会場にいたわけで。
あの扉は、この会場の?とも考えたけど、何だか違う雰囲気だったし、謎である。
デートとして、パーティの相方に選ばれたようです。楽しそうに私をエスコートしながら、挨拶をしている彼をみて、ますます場違いな気がしていたたまれないですよ。
「ーーーで、婚約ーーー」
ん?アレクの会話から、不穏な言葉が聞こえた気がして見上げると、素晴らしい笑顔が返ってきた。
「私たちは、近々、婚約をしようとーー」
んんっ?
「ね?」
有無を言わせぬ笑顔を向けられて、思わず絶句する。
何故?と反論しようとしたところで、軽く頬にキスをされて思考回路がとざされてしまう。
はたからみれば、仲睦まじい2人に見えること間違いなしっと第三者の私がツッコミを入れておりますが
満足そうに、会話を続ける彼とは対照的に、頭がパニックで、私は周りの会話が聞こえない。さあ、どうやって、このピンチを逃げきれる?
ふと、視界の端に、小さな光の粉が見えた。
目を凝らすと、それは光の妖精だとわかる。そして、隣にいつもの植物の妖精さんがいる。
ーーたすけて。
と、念じようとしたところで、下顎を優しく包まれて、顔を上に向けられて
「本当に、君は私になびかないね・・・普通なら、すでに堕ちているはずなのになぁ」
耳元で囁かれて、固まっていると、会場が、ざわめき始めた。
「本日は、ご来場いただき、誠にありがとうございます」
壇上に居る、白く長い髭をはやしたおじいさんが、挨拶を始めていた。
「さて、長らくお待たせ致しました。ついに、この国に、聖なる力が目覚めましたので、お披露目を致します。」
私は、壇上で、紹介される人物に目を奪われた。
白いドレスにダイアモンドが散りばめてある。シルバーの刺繍も、とても、幻想的で、儚く見える。息を飲むほどに美しいその人を、私は知ってる気がした。まるで、別人みたいだけれど、
いつも、会っていた。毎日。
「ライ・・・」ト。と呟こうとした口を、人差し指で止められる。
「今、その名を口にしてはいけないよ」
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