虹色の約束。時を越えて~

yume

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またね

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柚月ちゃんへ。
まず初めに。こんな形での再会になっちゃって、本当にごめんね。
光希に誘われるがまま行った花火大会。あの時、俺は「生きる価値」を見失っていました。
病気が徐々に進行し、自分が描いていた未来図を塗り潰され、明日が来るのが怖くて。
『朽ち果てるまでこうやって生きて行くんだろう』
そんな迷走状態の時に出逢ったのが、まこちゃんと柚月ちゃんでした。
天真爛漫なまこちゃんに比べて、柚月ちゃんは天然で何処か危なっかしくて。
こんな言い方をしたら失礼かもしれないけど、何かに彷徨い、心が泣いている様に見えました。でも、それと同時に「めげない心」を持っている事も。
そんな柚月ちゃんに、あの時弱音を吐いてしまった事・・・。
そして、何故弱音を吐いた相手が柚月ちゃんだったのか。
今思い返してみると、俺が足りないもの・・・「強い心」を柚月ちゃんが持ち合わせていて、それが羨ましかったんだと思う。
だから、素直に甘えてしまったのだと気付きました。
少しだけ「恋」に似た感情。今でも、その気持ちに変わりはない。
柚月ちゃんは、俺にとって心の支えでした。

そんな、頑張り屋の柚月ちゃんへ。
最期位、年上としてのアドバイスをさせて下さい。

フィルターを通して見る景色は、とても穏やかで幸せそうに思えてしまう。
でも、実際は全てにおいて映画の様にはうまくいかなくて、誰もが彷徨いながら答えを求めて生きていると思います。

『何の為に生まれ、誰の為に生きるのか』
そう悩むよりも
『今の自分に何ができて、如何に自分を思い遣ってあげれるか』

自分を大切に思えないと。
自分が幸せと思えないと。
他の誰かを幸せにする事は出来ないと、俺もようやく気付きました。

柚月ちゃん。時には、思いきり泣いてもいいんだよ。
人はみんな、沢山泣いてこの世に生まれて来るのだから。
変に強がらず、着飾らず、ありのままの柚月ちゃんでいて下さい。

柚月ちゃんに出逢えて、本当に幸せでした。
「またね」の約束、守れなくてごめんね。

もし生まれ変わっても、また柚月ちゃんと出逢える事を信じて。
沢山の想い出をありがとう。

『またね』

柚月「譲より。」
まこ「恋に似た感情・・・かぁ。」
光希「本当は好きだったのかもね、柚月ちゃんの事。」
廉 「間違いない。」

「ありがとう」なんて言葉なんかじゃ到底足りない。
譲さんは、あたしの中にある「心の迷い」を全て見透かしていたかの様に励ましと、前進するためのアドバイスをこの手紙に残してくれた。

自分を大切に思えないと。
自分が幸せと思えないと。
他の誰かを幸せにする事は出来ない。

本当にそう思う。
考えた事もなかった、とても大切な考え方。
相手を思いやる事、そして自分の事も思いやる気持ち・・・。

柚月「絶対に忘れません。この手紙はあたしにとって「宝物」です。
まこ「廉君、負けてられないね。」
廉 「俺は俺のやり方で柚月を幸せにする。」
光希「そうだな。俺も・・・、俺のやり方で生きて行くよ。」
まこ「あたしも。」

文字が所々滲んでいるこの手紙。
あたしは今、譲さんの死をようやく受け入れる事が出来た。
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