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捜索
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柚月(廉、まだ来ない。何処に・・・、あ。)
「桂太先生の授業の時は姿を消す」
あの時、廉が桂太先生に向けて放った言葉・・・。
柚月(もしかしてっ・・・。)
柚月「あ、あれ。い、痛い痛い。」
まこ「柚月、どうしたの?」
柚月「あー痛い。うん、間違いない。痛いものは痛い。」
桂太「古川さん、どうしたの?」
大根役者もいいとこ。
バレバレの演技なのにも関わらず、まこも桂太先生も・・・、そしてクラスの全員がド下手な演技に注目してくれていた。
いや、ド下手過ぎて注目していたのかもしれない。
柚月「ちょっとお腹が・・・。」
桂太「大丈夫?」
柚月「いえ、全然大丈夫とは思えません。漏れそうです。」
桂太「そ、そうなの?」
柚月「はい。原因はきっと朝にフルーツグラノーラに牛乳をかけて食べたのですが、それがあまりにも美味しくておかわりを・・・」
桂太「分かったから漏れる前にトイレに行っておいで(笑)」
柚月「はい。是非そうさせて頂きます。行って参ります。」
まこ「演技下手過ぎる・・・。」
桂太先生の苦笑い。まこの呆れ顔。そしてクラス全員からの
「こいつ頭大丈夫か?」という熱い眼差し・・・。
でも、今は恥ずかしがってなんかいられない。
柚月「そうだ。廉に電話してみよう。」
あたしはブレザーの中から携帯電話を取り出し、廉に電話を掛けた。
柚月「廉、出ないな・・・。LINE送ってみよう。」
「今何処にいるの?」
送信すると、すぐに既読マークが付いた。なのに、いくら待てども返信が返って来ない。
柚月「廉が行きそうな場所・・・、あ。分かった!!」
鈍臭いなりの全力疾走。昨日とは違い、今日は雲一つ無い快晴。
あたしは、足を止める事なく、ひたすらあの場所へと走り続けた。
柚月「つ、疲れた・・・。」
昨日も来た公園に到着。
今日は天気が良いからか、ブランコやシーソーで遊ぶ小さな子供達と、それを微笑ましく見守る母親の姿があった。
あたしはというと、辺りを見渡すが何処にも廉の姿が見当たらない。
柚月「ここじゃないのかな。鞄はあったから帰る事はなさそうだし・・・。うわっ!」
まさに運動不足という名の呪い。
走り続けたあたしの足は、何もないアスファルトの上で崩れ落ちてしまった。
柚月「痛い・・・、今度は本気で痛い。」
仮病まで使って授業をサボったのに、全然廉を行き場所が分からない。見つけられない。
柚月「もう、情けなさ過ぎて泣けてくる・・・。」
その時、あたしのブレザーから着信音が鳴り響いた。
「松澤廉」
そう、画面に表示された名前。あたしは慌てて電話に出た。
柚月「廉!?い、今何処にいるの?」
廉 「お前の後ろ。」
柚月「え?」
ゆっくり顔を後ろに向け、視線を上に辿って行くとそこには苦笑いをしている廉の姿があった。
良く晴れた空に似合う、穏やかな廉の顔。
廉はあたしの腕を優しく支えながら、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。
「桂太先生の授業の時は姿を消す」
あの時、廉が桂太先生に向けて放った言葉・・・。
柚月(もしかしてっ・・・。)
柚月「あ、あれ。い、痛い痛い。」
まこ「柚月、どうしたの?」
柚月「あー痛い。うん、間違いない。痛いものは痛い。」
桂太「古川さん、どうしたの?」
大根役者もいいとこ。
バレバレの演技なのにも関わらず、まこも桂太先生も・・・、そしてクラスの全員がド下手な演技に注目してくれていた。
いや、ド下手過ぎて注目していたのかもしれない。
柚月「ちょっとお腹が・・・。」
桂太「大丈夫?」
柚月「いえ、全然大丈夫とは思えません。漏れそうです。」
桂太「そ、そうなの?」
柚月「はい。原因はきっと朝にフルーツグラノーラに牛乳をかけて食べたのですが、それがあまりにも美味しくておかわりを・・・」
桂太「分かったから漏れる前にトイレに行っておいで(笑)」
柚月「はい。是非そうさせて頂きます。行って参ります。」
まこ「演技下手過ぎる・・・。」
桂太先生の苦笑い。まこの呆れ顔。そしてクラス全員からの
「こいつ頭大丈夫か?」という熱い眼差し・・・。
でも、今は恥ずかしがってなんかいられない。
柚月「そうだ。廉に電話してみよう。」
あたしはブレザーの中から携帯電話を取り出し、廉に電話を掛けた。
柚月「廉、出ないな・・・。LINE送ってみよう。」
「今何処にいるの?」
送信すると、すぐに既読マークが付いた。なのに、いくら待てども返信が返って来ない。
柚月「廉が行きそうな場所・・・、あ。分かった!!」
鈍臭いなりの全力疾走。昨日とは違い、今日は雲一つ無い快晴。
あたしは、足を止める事なく、ひたすらあの場所へと走り続けた。
柚月「つ、疲れた・・・。」
昨日も来た公園に到着。
今日は天気が良いからか、ブランコやシーソーで遊ぶ小さな子供達と、それを微笑ましく見守る母親の姿があった。
あたしはというと、辺りを見渡すが何処にも廉の姿が見当たらない。
柚月「ここじゃないのかな。鞄はあったから帰る事はなさそうだし・・・。うわっ!」
まさに運動不足という名の呪い。
走り続けたあたしの足は、何もないアスファルトの上で崩れ落ちてしまった。
柚月「痛い・・・、今度は本気で痛い。」
仮病まで使って授業をサボったのに、全然廉を行き場所が分からない。見つけられない。
柚月「もう、情けなさ過ぎて泣けてくる・・・。」
その時、あたしのブレザーから着信音が鳴り響いた。
「松澤廉」
そう、画面に表示された名前。あたしは慌てて電話に出た。
柚月「廉!?い、今何処にいるの?」
廉 「お前の後ろ。」
柚月「え?」
ゆっくり顔を後ろに向け、視線を上に辿って行くとそこには苦笑いをしている廉の姿があった。
良く晴れた空に似合う、穏やかな廉の顔。
廉はあたしの腕を優しく支えながら、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。
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