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【1部】第四章.旅立ちの準備
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これはヤバいのでは。
周りを兵士に囲まれて、庇う様にアコットちゃんを抱きしめる。
「証拠にもならないようなものを無理矢理証拠とするなんて、ちょっと横暴すぎやしませんかね警備隊の皆さん」
「黙れ、ボルシェイク候に逆らう者はこの街には要らんのだ」
またボルシェイク!!
宰相も悪さしてるけど、ボルシェイクっていう貴族もマジで腐ってやがるぜ!!
「拘束しろ!!」
隊長の命令に、兵士たちがこちらに手を伸ばしてくる。
終わったわーと思った瞬間
「ちょっと待った!!」
大きな声が宿に響いた。
「誰だ!?」
警備隊の隊長が誰何する。
「俺はこの街の冒険者ギルドでギルドマスターをやってるベック・ハリソンだ。城の警備隊の方々が何故こんなところにいらっしゃるのかな?」
冒険者ギルドのギルマス!何か大物が出てきたたぞ??
「貴様こそ、冒険者の分際で我らの公務を妨害する気か!出て行け!」
「いやぁ、そう言う訳にもいかんのですわ。ここの女将さんの依頼で薬草を届けに来たんですよ。手が空いてるのが私しかいませんでね。そうしたらこんな騒ぎだ」
ずずいと身を乗り出して、警備隊長に圧をかけている。
「こ…この宿の人間は違法なポーションを作っている容疑がかかっているのだ。これから牢の中で尋問をする。さっさとそこをどけ!」
ギルマスの圧に負けじと声をはる警備隊長。
うーん。負け犬の遠吠えっぽい感じ。
「いやいや、待ってくださいよ警備隊長さん。ここの女将の話を知らないんですかい?」
「何だと?」
「ここの女将は、夕飯の中に大量に薬草を入れるので有名なんですよ。だから定期的に我らのギルドへ採取クエストを依頼しにくるんですよ」
「そんな事は関係ない!この店からポーションが出てきたのだ、それが動かぬ証拠だ!!」
「ああ、そのポーションなら冒険者ギルドで購入した物ですよ。証拠にほら。瓶の底にギルドのマークがついてるでしょう?」
そう言って、薬箱に入っていたポーションをひっくり返す。
すると、確かにそこには何か紋章のようなものがあった。
「ぐっ…しかし、この大量の薬草はどう言い逃れするつもりだ!」
「だから、さっき言ったじゃないですか。この店の料理には大量の薬草が使われていると。この街に住んでる者なら皆しってます。体調の悪いときは金払って、夕飯だけ作ってもらうんですよ。すると、翌日には実に体調良好なんですわ。どうです?警備隊長さんも食べていきませんか??」
すげぇ、何か警備隊長を圧倒してる…さすがギルマス。
「くそっ!今回は見逃がしてやる!!次は絶対にしょっぴいてやる!!全員行くぞ!!」
完全に言い負けた警備隊長は、ほかの兵士を連れて去っていった。
残ったのは荒らされた宿だけだった。
ホッと息を吐く。
アコットちゃんも安心したようだ。
「ゴメン、ずっと抱きしめちゃってて苦しくなかった?」
「大丈夫です、ありがとうございました」
にっこりと笑ってくれた。
うむ。良かった。
(ナビ、私の泊ってる部屋は大丈夫?)
『はい、二階には行かなかったみたいです。元から1階部分だけ探すつもりだったみたいですね』
(うーん。誰かが情報漏らしたんだろうなぁ…)
「さて、薬草を持ってきたのは事実だが、間に合わなくてすまんな…」
そう言って謝ったのはギルマスだった。
「他の連中から連絡が来てすぐにこっちに来たんだが…」
「ベックさんのせいじゃないです、私らが迂闊だったんです…。それにブロッサムの嬢ちゃんが助けてくれましたから」
「ブロッサム?この嬢ちゃんか」
リカルドさんの言葉で、ギルマスが私の方を見た。
「えっと…私は自分の出来る事をしただけですよ。この街の事とか良く知らないですけど、あっちが無法なのは分かりましたから…」
「謙遜しないでちょうだい。あなたが道具とポーションを隠してくれなきゃ、今頃みんな捕まってたわ。本当にありがとう」
「いえ、そんな…」
感謝されるなんてあんまり無かったから恥ずかしい。
『可愛いところありますねマスター』
(うるせーわ)
周りを兵士に囲まれて、庇う様にアコットちゃんを抱きしめる。
「証拠にもならないようなものを無理矢理証拠とするなんて、ちょっと横暴すぎやしませんかね警備隊の皆さん」
「黙れ、ボルシェイク候に逆らう者はこの街には要らんのだ」
またボルシェイク!!
宰相も悪さしてるけど、ボルシェイクっていう貴族もマジで腐ってやがるぜ!!
「拘束しろ!!」
隊長の命令に、兵士たちがこちらに手を伸ばしてくる。
終わったわーと思った瞬間
「ちょっと待った!!」
大きな声が宿に響いた。
「誰だ!?」
警備隊の隊長が誰何する。
「俺はこの街の冒険者ギルドでギルドマスターをやってるベック・ハリソンだ。城の警備隊の方々が何故こんなところにいらっしゃるのかな?」
冒険者ギルドのギルマス!何か大物が出てきたたぞ??
「貴様こそ、冒険者の分際で我らの公務を妨害する気か!出て行け!」
「いやぁ、そう言う訳にもいかんのですわ。ここの女将さんの依頼で薬草を届けに来たんですよ。手が空いてるのが私しかいませんでね。そうしたらこんな騒ぎだ」
ずずいと身を乗り出して、警備隊長に圧をかけている。
「こ…この宿の人間は違法なポーションを作っている容疑がかかっているのだ。これから牢の中で尋問をする。さっさとそこをどけ!」
ギルマスの圧に負けじと声をはる警備隊長。
うーん。負け犬の遠吠えっぽい感じ。
「いやいや、待ってくださいよ警備隊長さん。ここの女将の話を知らないんですかい?」
「何だと?」
「ここの女将は、夕飯の中に大量に薬草を入れるので有名なんですよ。だから定期的に我らのギルドへ採取クエストを依頼しにくるんですよ」
「そんな事は関係ない!この店からポーションが出てきたのだ、それが動かぬ証拠だ!!」
「ああ、そのポーションなら冒険者ギルドで購入した物ですよ。証拠にほら。瓶の底にギルドのマークがついてるでしょう?」
そう言って、薬箱に入っていたポーションをひっくり返す。
すると、確かにそこには何か紋章のようなものがあった。
「ぐっ…しかし、この大量の薬草はどう言い逃れするつもりだ!」
「だから、さっき言ったじゃないですか。この店の料理には大量の薬草が使われていると。この街に住んでる者なら皆しってます。体調の悪いときは金払って、夕飯だけ作ってもらうんですよ。すると、翌日には実に体調良好なんですわ。どうです?警備隊長さんも食べていきませんか??」
すげぇ、何か警備隊長を圧倒してる…さすがギルマス。
「くそっ!今回は見逃がしてやる!!次は絶対にしょっぴいてやる!!全員行くぞ!!」
完全に言い負けた警備隊長は、ほかの兵士を連れて去っていった。
残ったのは荒らされた宿だけだった。
ホッと息を吐く。
アコットちゃんも安心したようだ。
「ゴメン、ずっと抱きしめちゃってて苦しくなかった?」
「大丈夫です、ありがとうございました」
にっこりと笑ってくれた。
うむ。良かった。
(ナビ、私の泊ってる部屋は大丈夫?)
『はい、二階には行かなかったみたいです。元から1階部分だけ探すつもりだったみたいですね』
(うーん。誰かが情報漏らしたんだろうなぁ…)
「さて、薬草を持ってきたのは事実だが、間に合わなくてすまんな…」
そう言って謝ったのはギルマスだった。
「他の連中から連絡が来てすぐにこっちに来たんだが…」
「ベックさんのせいじゃないです、私らが迂闊だったんです…。それにブロッサムの嬢ちゃんが助けてくれましたから」
「ブロッサム?この嬢ちゃんか」
リカルドさんの言葉で、ギルマスが私の方を見た。
「えっと…私は自分の出来る事をしただけですよ。この街の事とか良く知らないですけど、あっちが無法なのは分かりましたから…」
「謙遜しないでちょうだい。あなたが道具とポーションを隠してくれなきゃ、今頃みんな捕まってたわ。本当にありがとう」
「いえ、そんな…」
感謝されるなんてあんまり無かったから恥ずかしい。
『可愛いところありますねマスター』
(うるせーわ)
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