私はただ、憧れのテントでゴロゴロしたいだけ。

もりのたぬき

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【1部】第四章.旅立ちの準備

044

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ガイドーン家の治める領地は小さいながらも昔からポーション製造で有名な場所らしい。
4代くらい前の騎士団長たっての願いで、騎士団へ配布されるポーションはこの領地の物を国が買い上げているそうだ。

ガイドーン家のポーションは他のポーションとは比べ物にならないくらい効果が高いと冒険者の間でも有名なのだが、冒険者ギルドへ卸す量はあまり多くない為に入荷するとすぐに売り切れてしまうらしい。

そして、どうやら最近ガイドーン家がボルシェイク家と何かしらのトラブルを起こしたらしく、その報復として国が買い上げるポーションをボルシェイク家が検閲し、国が買い上げるに足る品質だと認められれば国が買い上げる。という条件が追加されたらしい。

私があのポーション屋で買ったポーションは、そこで弾かれた物だったようだ。
わざとガイドーン家のポーションを貶める為に、あんな風に売っていたのかな?


製造したほとんどのポーションを国へ売っていたガイドーン家は収入が途絶えるかと思いきや、他所に売る量が増えるからむしろありがたいと言う感じらしい。

『ちなみに、冒険者ギルドでは中品質のポーションでも一本5万ミルスで買い取っているそうです』

「もしかして、国はもっと安く買い叩いてたの…?」
『はい。国の買い取り値は一律一本5千ミルスらしいです』

国へ売る時に、他へ売る時よりも安く売るのは分かる。だけどそれにしたって酷いな。

「なんでそんなに安いのさ…」
『先代の国王陛下の頃は、一本3万で購入していたそうですが、今の国王になってから一気に安くなったみたいですね』

「なるほど、怖い人が居なくなったから安く買い叩き始めたって事か…この国マジで腐ってんなぁ…」
『だいたい宰相のせいかと…』

「しかし、このポーションを鑑定すれば一発で凄い代物だって分かると思うんだけど…」
『昔から品質は折り紙付きだったようで、鑑定しなくても問題無しという絶大な信頼があったようです。そのせいか分かりませんが、騎士団に卸すポーション品質を鑑定する必要性を感じる人は居ない様です』

「そんなに凄いものを報復で切ってしまうとは…ていうか、これで困るのって騎士団の人たちじゃない?」
『一応、騎士団内に癒しの魔法を使える魔法使いが居るはずなので、大丈夫だとは思いますが…』

うーん、何も無いと良いけどね?

質のいいポーションが安く買えた理由はこれで分かった。
貴族のいざこざなら、近寄らないのが吉だ。

「そうだナビさん、アイテムボックスに生きた動物入れるとどうなる?」
『何ですか藪から棒に?アイテムボックスに生きたまま入れたら即死します』
「どんな生物も?」
『はい。微生物は分かりませんが、ドラゴンだろうがアンデットだろうが、アイテムボックスに入ったら即死します。マスター、何を企んでるんです?』

「企んではいないよ。ちょっと良い事思いついたから絶対安全空間そっちに行くね」
『わかりました…あんまり危険な事しないでくださいよ…?』

私は絶対安全空間を開いた。

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