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【1部】第三章.自分のスキルを確認するまでが長い
025
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エルザさんのお店を出て、一気に走った。
「えええ、何か私足が速くなってるーー??」
運動が苦手な私が、こんなに早く走れるわけが無い。
何だこれ!あれか、靴に何か秘密があるのかー??
気になるけど、とりあえずこの路地から出ないと!
暫く走ると裏路地の出口に来た。目の前には、さっき来た噴水広場があった。
私は息を整えると宿のある方向へ歩き出した。
目的の場所に来ると、そこには民家があった。
「えーと…ここって宿なの?」
よく見てみると窓際に【はるにれ亭】という小さな看板が掲げられている。
兵士のオジサンから聞いていた宿の名前と同じだ。
恐る恐る宿のドアを開けた。
入るとすぐに、受付カウンターがあり、中にはスキンヘッドの厳つい男性が座って新聞か何かを読んでいる。オジサンというには若い。
多分、20代後半かな?
「用があんならさっさと入ってこい」
スキンヘッドさんがこちらをぎろりと睨む
「あ、はい!」
私は慌てて宿の中に入る。スキンヘッドさんの怖い雰囲気と違い、宿の中は花や小物が飾られたシンプルで女性的な内装をしていた。
「あんた客か?」
「はい、宿泊したいのですが…」
エルザさん曰く、悪い人間じゃないとは言っていたけど…迫力あるー
「ここは完全予約制だ。飛び込みの客は取らねぇ。帰った帰った」
犬でも追い払うようにシッシッとされる。
ここで、はいそうですかと引き下がったら、別の宿を探さなきゃいけない。
何よりオジサンとエルザさんの知り合いなら大丈夫。
「えーっと…洋服店のエルザさんの旦那さんの紹介で来たんですが…」
「なに?んな話は聞いてないぞ…?」
スキンヘッドさんが驚いた顔をした。
「それは本当か?」
「はい、いい宿がないかエルザさんの旦那さんに聞いたら、この宿が一番いいと聞きました」
その時、どこから入って来たのか、鳩が一羽飛んできてカウンターの上に降りてきた。
よく見ると、足に手紙のような紙が付いていた。
「ちょっと待ってな」
スキンヘッドさんはその紙を外し、開いて中身を読んでいる。
「……」
ちゃんとここに泊まれるよね…?
「はぁー…今、グラハムさんから知らせが来た。あんたを泊めてやれってな」
「ほんとですか!」
あの兵士のオジサン、グラハムさんっていうのか。
「俺はこの宿の店主、リカルドだ」
「ブロッサムです。よろしくお願いします」
私は被っていたフードを取って、ぺこりと頭を下げた。
すると、スキンヘッドことリカルドさんは、おもむろに読んでいた手紙を手の中で燃やした。
「あ…熱くないんですか…?」
「ん?お前さん、魔法を見た事が無いのか?…田舎から出てきたって書いてあったが…」
「は、はい!そうなんです、魔法ってあんまり見た事が無くて…王都の人たちは皆使えるんですか?」
自分で使ったクリーン以外の魔法見たこと無いです!!
「まぁ、縁が無ければそうかもしれんな…、魔法は魔法スキルを持ってなければ魔力があっても使えない」
「あ、そうなんですね…」
「ま、そんなこたぁ置いといて、ここには何日泊まる?」
「え、あ…とりあえず2泊でお願いします」
ああ…魔法についてもっと知りたかった…
「2泊だな、金貨2枚だ。夕食は付くが味は期待するな」
「わかりました」
私は財布から金貨2枚を取り出した。
「えええ、何か私足が速くなってるーー??」
運動が苦手な私が、こんなに早く走れるわけが無い。
何だこれ!あれか、靴に何か秘密があるのかー??
気になるけど、とりあえずこの路地から出ないと!
暫く走ると裏路地の出口に来た。目の前には、さっき来た噴水広場があった。
私は息を整えると宿のある方向へ歩き出した。
目的の場所に来ると、そこには民家があった。
「えーと…ここって宿なの?」
よく見てみると窓際に【はるにれ亭】という小さな看板が掲げられている。
兵士のオジサンから聞いていた宿の名前と同じだ。
恐る恐る宿のドアを開けた。
入るとすぐに、受付カウンターがあり、中にはスキンヘッドの厳つい男性が座って新聞か何かを読んでいる。オジサンというには若い。
多分、20代後半かな?
「用があんならさっさと入ってこい」
スキンヘッドさんがこちらをぎろりと睨む
「あ、はい!」
私は慌てて宿の中に入る。スキンヘッドさんの怖い雰囲気と違い、宿の中は花や小物が飾られたシンプルで女性的な内装をしていた。
「あんた客か?」
「はい、宿泊したいのですが…」
エルザさん曰く、悪い人間じゃないとは言っていたけど…迫力あるー
「ここは完全予約制だ。飛び込みの客は取らねぇ。帰った帰った」
犬でも追い払うようにシッシッとされる。
ここで、はいそうですかと引き下がったら、別の宿を探さなきゃいけない。
何よりオジサンとエルザさんの知り合いなら大丈夫。
「えーっと…洋服店のエルザさんの旦那さんの紹介で来たんですが…」
「なに?んな話は聞いてないぞ…?」
スキンヘッドさんが驚いた顔をした。
「それは本当か?」
「はい、いい宿がないかエルザさんの旦那さんに聞いたら、この宿が一番いいと聞きました」
その時、どこから入って来たのか、鳩が一羽飛んできてカウンターの上に降りてきた。
よく見ると、足に手紙のような紙が付いていた。
「ちょっと待ってな」
スキンヘッドさんはその紙を外し、開いて中身を読んでいる。
「……」
ちゃんとここに泊まれるよね…?
「はぁー…今、グラハムさんから知らせが来た。あんたを泊めてやれってな」
「ほんとですか!」
あの兵士のオジサン、グラハムさんっていうのか。
「俺はこの宿の店主、リカルドだ」
「ブロッサムです。よろしくお願いします」
私は被っていたフードを取って、ぺこりと頭を下げた。
すると、スキンヘッドことリカルドさんは、おもむろに読んでいた手紙を手の中で燃やした。
「あ…熱くないんですか…?」
「ん?お前さん、魔法を見た事が無いのか?…田舎から出てきたって書いてあったが…」
「は、はい!そうなんです、魔法ってあんまり見た事が無くて…王都の人たちは皆使えるんですか?」
自分で使ったクリーン以外の魔法見たこと無いです!!
「まぁ、縁が無ければそうかもしれんな…、魔法は魔法スキルを持ってなければ魔力があっても使えない」
「あ、そうなんですね…」
「ま、そんなこたぁ置いといて、ここには何日泊まる?」
「え、あ…とりあえず2泊でお願いします」
ああ…魔法についてもっと知りたかった…
「2泊だな、金貨2枚だ。夕食は付くが味は期待するな」
「わかりました」
私は財布から金貨2枚を取り出した。
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