21 / 89
【1部】第二章.やっと召喚されました
020
しおりを挟む
「お前さん、城の奉公断られたんだって?田舎から出てきたって話だが、若いのに可哀そうになぁ…平民街まで送ってやるから絶望せずに頑張るんだぞ?」
裏口?裏門?に立っていた兵士のオジサンに声を掛けたら、そんな事を言われた。
おっふ…私そんな可哀そうな理由で追い出されるのか。
「あはははー、ありがとうございます。頑張りますー」
この兵士さんは60歳くらいのオジサンで、なんか気のよさそうな人。
田舎から出てきて、右も左もわからない私を心配してくれてる。ありがたいねー。
「平民街までの付き添い、よろしくお願いしますー」
「おう、まかしとけー」
オジサンと門をくぐろうとしたその時、後ろから騒ぎが近づいてきた。
「ちょっ!!勇者様!!ダメです!!応接間にお戻りください!!」
侍女や騎士に混ざって、さっきの案内眼鏡も必死で誰かを引き留めようとしている。
「うるさい!俺は彼女に用があるんだ!!」
そんな眼鏡を無視して、こちらにずんずん近づいてくるのは…ああ…召喚者の一人、スーツだ…名前は忘れた。
「山野さん!!ちょっと待ってくれないか!!」
勘弁してくれ…やる気満々で街に繰り出そうとしていた私に更に近づいてくるヨ…
引きつりそうな表情筋を叱咤して営業すまいる。
「えーと…私に何か御用ですか?」
「君は神様たちの加護も無く、スキルもスライムテイムしか持っていないだろう?」
「…ええ、そうですね」
「そんな状態で城の外に出るなんて危ないよ!!俺が護ってあげるからさ!!山野樹、俺の物になれ」
スーツが言葉を発した瞬間、ゾワッと気持ち悪い感触が体をすり抜けていった。
はぁ?なに言ってんだこいつ?
「え、嫌です。キモチワルイ」
その不快感のせいで、反射的に言葉を返してしまった。
「キモ…何だって…?え?俺のスキルが効いてない…?」
男が何かぶつぶつ言っているが、私はこれからテントでゴロゴロ生活が待っている。こんなところで時間を無駄にするつもりは無い。
「兵士さん、そろそろ行きましょう。はやくお城から出ないと私が怒られちゃう!!」
「お、おう…そうだな。じゃあ行こうか。お前さんが奉公断られた原因、もしかしてあいつかね?」
オジサンもドン引きしてるじゃんよ…
しかも、何かめっちゃ憐みの目で見られてるし!!
「エエ…ソウデス」
うん、そういう事にしておこう。
スーツが固まっている隙に、私とオジサンはほぼ駆け足で城門を出て貴族街へと向かうのだった。
裏口?裏門?に立っていた兵士のオジサンに声を掛けたら、そんな事を言われた。
おっふ…私そんな可哀そうな理由で追い出されるのか。
「あはははー、ありがとうございます。頑張りますー」
この兵士さんは60歳くらいのオジサンで、なんか気のよさそうな人。
田舎から出てきて、右も左もわからない私を心配してくれてる。ありがたいねー。
「平民街までの付き添い、よろしくお願いしますー」
「おう、まかしとけー」
オジサンと門をくぐろうとしたその時、後ろから騒ぎが近づいてきた。
「ちょっ!!勇者様!!ダメです!!応接間にお戻りください!!」
侍女や騎士に混ざって、さっきの案内眼鏡も必死で誰かを引き留めようとしている。
「うるさい!俺は彼女に用があるんだ!!」
そんな眼鏡を無視して、こちらにずんずん近づいてくるのは…ああ…召喚者の一人、スーツだ…名前は忘れた。
「山野さん!!ちょっと待ってくれないか!!」
勘弁してくれ…やる気満々で街に繰り出そうとしていた私に更に近づいてくるヨ…
引きつりそうな表情筋を叱咤して営業すまいる。
「えーと…私に何か御用ですか?」
「君は神様たちの加護も無く、スキルもスライムテイムしか持っていないだろう?」
「…ええ、そうですね」
「そんな状態で城の外に出るなんて危ないよ!!俺が護ってあげるからさ!!山野樹、俺の物になれ」
スーツが言葉を発した瞬間、ゾワッと気持ち悪い感触が体をすり抜けていった。
はぁ?なに言ってんだこいつ?
「え、嫌です。キモチワルイ」
その不快感のせいで、反射的に言葉を返してしまった。
「キモ…何だって…?え?俺のスキルが効いてない…?」
男が何かぶつぶつ言っているが、私はこれからテントでゴロゴロ生活が待っている。こんなところで時間を無駄にするつもりは無い。
「兵士さん、そろそろ行きましょう。はやくお城から出ないと私が怒られちゃう!!」
「お、おう…そうだな。じゃあ行こうか。お前さんが奉公断られた原因、もしかしてあいつかね?」
オジサンもドン引きしてるじゃんよ…
しかも、何かめっちゃ憐みの目で見られてるし!!
「エエ…ソウデス」
うん、そういう事にしておこう。
スーツが固まっている隙に、私とオジサンはほぼ駆け足で城門を出て貴族街へと向かうのだった。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。


【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる