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【1部】第一章.異世界生活を始める前の長い長い準備
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グラームス様に名前を変えて貰ったので、さっそく偽名となった以前の名前『山野樹』へとステータスの改ざんをした。
「よし、名前の改ざんも終わりましたので、これで私のやりたい事は終わりました!あとは向こうの世界での生活が楽しみです!!」
「うふふ、積極的になってくれて本当にありがたいわ、ブロッサムちゃん」
「うむうむ、わしらが見込んだだけの事はある。フォンティーで楽しく暮らすんじゃぞ」
ミルス様もグラームス様も、なんだか両親のような感じ。
「さてブロッサムちゃん、これから一度他の召喚者たちの所に飛ばすわね。そこから全員一緒にグラム国へ送るわね」
「わかりました」
私がうなずくと、すっと辺りの景色が変わった。
****
なんだろう、目の前が物凄く花畑。
ネモフィラに似た青い花が一面咲き誇っている場所に私は立っていた。
辺りを見回せばスーツを着た男性や、黒づくめでキメポーズをとっている青年、大学生風の男女数人と学生服の男女が立っている。彼等もきょろきょろと辺りを見回している。私と同じように突然この空間に飛ばされてきたのだろう。
キメポーズの人、多分あれがスキルを3つ以上貰ったもう一人の召喚者だろうなぁ…。
そんな事を考えつつ、正面の方に目を向けると、そこには立派な白い石造りの椅子が5つ並んでいた。
それぞれの椅子には既に誰かが座っている。
真ん中の椅子には先ほどまで一緒にいたグラームス様、向かって左側にはミルス様が座っており、他の椅子にもそれぞれ見目麗しい男女が座っている。
「長らく待たせた。召喚者たちよ、これよりそなたたちをグラム国へと送る。だがその前に我ら5柱神の加護を授けよう。フォンティーで健やかに暮らすのだ」
全員の視線が自分たちに向かった事を確認した後、グラームス様が威厳たっぷりにそういうと、5人の神様たちが私達の方に手をかざす。すると私たちをキラキラとした光が包み込んだ。
まさか、と思い、小声でステータスを開くと、そこにはきっちり『5柱神の寵愛者』などという称号が追加されていた。
(これはヤベェ…)
こんなものを私たちを召喚した人たちに見られよう物なら、あっという間に利用されてしまう。さくっと非表示にした。
カミサマ達の方へ視線を戻すと、ミルス様とバッチリ目が合って、ウインクされてしまった。
うん、心読まれてるもんね…。
グラームス様たちが椅子から立ち上がった。
「では10人の召喚者たちよ、フォンティーでも頑張って生きるのだ」
「「「「「そなたらに幸福あれ」」」」」
5柱のカミサマ様が一斉にそういうと、私達の足元に大きな魔法陣が現れ、私達はその魔法陣の中へ引きずり込まれていった。
カミサマ達の姿がどんどん小さくなっていく中で、私の頭の中にミルス様とグラームス様の声が響いてきた。
(ブロッサムちゃん、生活が落ち着いたら教会にあいさつに来て頂戴ね~♪)
(美味い茶菓子を用意しておくからのぉ~)
(了解でーす、色々ありがとうございましたー!)
こうして私と、他9名の召喚者たちはグラム王国へ召喚されるのだった。
めざせ引きこもり生活ー!!
****
10人の召喚者たちをグラム国へ送った後、グラームスとミルス以外の神はそれぞれの宮へと戻っていった。
残った2柱神は、それぞれの椅子へ腰を掛けた。
「あー、ブロッサムちゃん行っちゃったわねぇ…」
「行ってしまったのぉ、しかし、なかなか面白い娘じゃったのぉ…」
「ねえグラームス、なんでブロッサムちゃんの年齢をいじったりしたの?」
「ん?何の事じゃか分からんのぉ…」
「しらばっくれないの。あの子は全然気が付いてなかったけど、10歳も若返らせちゃってどうするつもり?」
「あの娘っ子、前の世界では随分苦労しておったろ?若ければ色々な選択肢が増えるじゃろうと思ってのぉ…」
「だからと言って、何も言わずに若返らせるなんて、あとで怒られるわよ?」
「ほっほっほ、その時はその時じゃ」
グラームスは顎髭をいじりながら笑う。
「さて、あとはブロッサムが城を出たタイミングで、グラム国の魔法陣を無効化せねばの」
「そうね、それまでブロッサムちゃんの事を見守りましょうか」
ミルスはそういうと、目の前に大きな水盤を出現させた。そこには今まさに召喚されたばかりの10人の姿が映っていた。
*----*
カミサマ達の席順は、西洋の並びを参考にしています。
真ん中が最上位、右が2位、左が3位、2位の右側が4位、3位の左側が5位となっています。
日本の「左上右下」とは逆になっています。
実は創造主様がいますが、複数の世界を統括している管理職的な立ち位置で、フォンティーの統括はグラームス様がやっている感じです。
まだ名前の出てきていない神様も居ますが、5柱神の力関係は下のような感じ。
創造主様>>(超えられない壁)>>グラームス様>ミルス様(女神)>バルバス様>ビルジ様(女神)>キール様
ビルジ様とキール様は双子なので、序列はほぼ同列ですが、お姉ちゃんの方が立場が強い。
「よし、名前の改ざんも終わりましたので、これで私のやりたい事は終わりました!あとは向こうの世界での生活が楽しみです!!」
「うふふ、積極的になってくれて本当にありがたいわ、ブロッサムちゃん」
「うむうむ、わしらが見込んだだけの事はある。フォンティーで楽しく暮らすんじゃぞ」
ミルス様もグラームス様も、なんだか両親のような感じ。
「さてブロッサムちゃん、これから一度他の召喚者たちの所に飛ばすわね。そこから全員一緒にグラム国へ送るわね」
「わかりました」
私がうなずくと、すっと辺りの景色が変わった。
****
なんだろう、目の前が物凄く花畑。
ネモフィラに似た青い花が一面咲き誇っている場所に私は立っていた。
辺りを見回せばスーツを着た男性や、黒づくめでキメポーズをとっている青年、大学生風の男女数人と学生服の男女が立っている。彼等もきょろきょろと辺りを見回している。私と同じように突然この空間に飛ばされてきたのだろう。
キメポーズの人、多分あれがスキルを3つ以上貰ったもう一人の召喚者だろうなぁ…。
そんな事を考えつつ、正面の方に目を向けると、そこには立派な白い石造りの椅子が5つ並んでいた。
それぞれの椅子には既に誰かが座っている。
真ん中の椅子には先ほどまで一緒にいたグラームス様、向かって左側にはミルス様が座っており、他の椅子にもそれぞれ見目麗しい男女が座っている。
「長らく待たせた。召喚者たちよ、これよりそなたたちをグラム国へと送る。だがその前に我ら5柱神の加護を授けよう。フォンティーで健やかに暮らすのだ」
全員の視線が自分たちに向かった事を確認した後、グラームス様が威厳たっぷりにそういうと、5人の神様たちが私達の方に手をかざす。すると私たちをキラキラとした光が包み込んだ。
まさか、と思い、小声でステータスを開くと、そこにはきっちり『5柱神の寵愛者』などという称号が追加されていた。
(これはヤベェ…)
こんなものを私たちを召喚した人たちに見られよう物なら、あっという間に利用されてしまう。さくっと非表示にした。
カミサマ達の方へ視線を戻すと、ミルス様とバッチリ目が合って、ウインクされてしまった。
うん、心読まれてるもんね…。
グラームス様たちが椅子から立ち上がった。
「では10人の召喚者たちよ、フォンティーでも頑張って生きるのだ」
「「「「「そなたらに幸福あれ」」」」」
5柱のカミサマ様が一斉にそういうと、私達の足元に大きな魔法陣が現れ、私達はその魔法陣の中へ引きずり込まれていった。
カミサマ達の姿がどんどん小さくなっていく中で、私の頭の中にミルス様とグラームス様の声が響いてきた。
(ブロッサムちゃん、生活が落ち着いたら教会にあいさつに来て頂戴ね~♪)
(美味い茶菓子を用意しておくからのぉ~)
(了解でーす、色々ありがとうございましたー!)
こうして私と、他9名の召喚者たちはグラム王国へ召喚されるのだった。
めざせ引きこもり生活ー!!
****
10人の召喚者たちをグラム国へ送った後、グラームスとミルス以外の神はそれぞれの宮へと戻っていった。
残った2柱神は、それぞれの椅子へ腰を掛けた。
「あー、ブロッサムちゃん行っちゃったわねぇ…」
「行ってしまったのぉ、しかし、なかなか面白い娘じゃったのぉ…」
「ねえグラームス、なんでブロッサムちゃんの年齢をいじったりしたの?」
「ん?何の事じゃか分からんのぉ…」
「しらばっくれないの。あの子は全然気が付いてなかったけど、10歳も若返らせちゃってどうするつもり?」
「あの娘っ子、前の世界では随分苦労しておったろ?若ければ色々な選択肢が増えるじゃろうと思ってのぉ…」
「だからと言って、何も言わずに若返らせるなんて、あとで怒られるわよ?」
「ほっほっほ、その時はその時じゃ」
グラームスは顎髭をいじりながら笑う。
「さて、あとはブロッサムが城を出たタイミングで、グラム国の魔法陣を無効化せねばの」
「そうね、それまでブロッサムちゃんの事を見守りましょうか」
ミルスはそういうと、目の前に大きな水盤を出現させた。そこには今まさに召喚されたばかりの10人の姿が映っていた。
*----*
カミサマ達の席順は、西洋の並びを参考にしています。
真ん中が最上位、右が2位、左が3位、2位の右側が4位、3位の左側が5位となっています。
日本の「左上右下」とは逆になっています。
実は創造主様がいますが、複数の世界を統括している管理職的な立ち位置で、フォンティーの統括はグラームス様がやっている感じです。
まだ名前の出てきていない神様も居ますが、5柱神の力関係は下のような感じ。
創造主様>>(超えられない壁)>>グラームス様>ミルス様(女神)>バルバス様>ビルジ様(女神)>キール様
ビルジ様とキール様は双子なので、序列はほぼ同列ですが、お姉ちゃんの方が立場が強い。
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