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【1部】第一章.異世界生活を始める前の長い長い準備
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グラームス様に改名をお願いしたのだが、目を閉じた途端に心地よい布で包まれたような感覚になった。
(なんだ、魂がどうのって言うからもっと大変だと思ったけど…)
大した事無かった。なんて続けようと思った瞬間、身体が引き裂かれるような痛みに襲われ思わず蹲った。
「うがっ!?」
「もう少しで終わるから、新たな名を思い浮かべ続けるんじゃぞ!!」
グラームス様の声が遠い。
(ブロッサム、私の名前はブロッサム!!)
これなら名前変える必要無かったかな…とも思ったけど、多分もう止まれない。
だから、私は今日からブロッサムになるのだ!!
それからどれくらい経ったのかわからないが、ふっと体の痛みが無くなった。
「よし、ブロッサムよ、お主の名はしっかりとその魂に刻まれたぞ」
「あ…ありがとうございます…」
よろよろと起き上がるが、、なんだか身体が自分の物では無いような感覚がする。
「お主の魂に刻まれていた名を消し、新たな名を刻みなおしたのだ。名前が魂に馴染むまでは違和感があるじゃろうが耐えるのじゃ、少しずつ慣れていく」
「はい、ありがとうございます…」
ふわふわと地に足がつかない感じがする。
「フォンティーに降りたら、その違和感や不安感は更に強くなる。どうしても辛くなった時は、このクリスタルを両手で握り込むようにするといいじゃろう。これには儂とミルスの力が籠められておるから、フォンティーでの拠り所になる」
そういってグラームス様は、一円玉くらいの薄紫色のクリスタルをくれた。つるりとした涙滴型のクリスタルには、金属の鎖が付いているのでそのままペンダントになるようだ。
「ありがとうございます。アメジストみたいで綺麗ですね」
「うむ、まさに紫水晶じゃよ。あまり高価な宝石にしてしまうと盗まれてしまうからの。その水晶が透明になったら、名前が魂に馴染んだという合図じゃ」
そうなれば、いくらでもニホンの事を思い出しても大丈夫だって。
さっそくペンダントを首にかけると、水晶をそっと手で握り込んだ。すると、何とも言えない違和感がすっと楽になった。
「わぁ…すごく楽になりました!」
「そうじゃろう、他の者たちには籠められた力が分からんようにしてはあるが、無くさんようにな」
「はい、気をつけます」
体が楽になったので、さっそく確認しよう。
「ステータスオープン!」
私は改めてステータスを開いた。
【名前】 ブロッサム
【種族】 人間
【年齢】 19
【職業】 なし
【レベル】1
【称 号】召喚された只人
【体 力】 80/80
【魔 力】 100/100
【攻撃力】 35
【防御力】 10
【魔 力】 50
【素早さ】 15
【知 力】 45
【スキル】
スライムテイム Lv1
「ちゃんと名前が変わってますね!」
「当たり前じゃ、儂がやったんじゃ失敗など無いわい!」
「……」
グラームス様はエッヘンと胸を張る。
その横で、私のステータスを覗き込んでいたミルス様は何か考え込んでいる。
「ミルス様、何かありましたか?」
私が聞くと、ミルス様はにっこりと微笑みかけてきた。
「いいえ、何でも無いわよブロッサムちゃん、ちょっと名前が呼びにくくなっちゃったわーって思っただけよ」
「あー…まぁ、今まで通り呼んでいただいても大丈夫ですよ?」
「そうねぇ、新しい名前が魂に馴染んだら、また呼ばせてもらうわねブロッサムちゃん」
しかし私はこの時まったく気が付いていなかった、名前以外にも変わった部分があった事に…
(なんだ、魂がどうのって言うからもっと大変だと思ったけど…)
大した事無かった。なんて続けようと思った瞬間、身体が引き裂かれるような痛みに襲われ思わず蹲った。
「うがっ!?」
「もう少しで終わるから、新たな名を思い浮かべ続けるんじゃぞ!!」
グラームス様の声が遠い。
(ブロッサム、私の名前はブロッサム!!)
これなら名前変える必要無かったかな…とも思ったけど、多分もう止まれない。
だから、私は今日からブロッサムになるのだ!!
それからどれくらい経ったのかわからないが、ふっと体の痛みが無くなった。
「よし、ブロッサムよ、お主の名はしっかりとその魂に刻まれたぞ」
「あ…ありがとうございます…」
よろよろと起き上がるが、、なんだか身体が自分の物では無いような感覚がする。
「お主の魂に刻まれていた名を消し、新たな名を刻みなおしたのだ。名前が魂に馴染むまでは違和感があるじゃろうが耐えるのじゃ、少しずつ慣れていく」
「はい、ありがとうございます…」
ふわふわと地に足がつかない感じがする。
「フォンティーに降りたら、その違和感や不安感は更に強くなる。どうしても辛くなった時は、このクリスタルを両手で握り込むようにするといいじゃろう。これには儂とミルスの力が籠められておるから、フォンティーでの拠り所になる」
そういってグラームス様は、一円玉くらいの薄紫色のクリスタルをくれた。つるりとした涙滴型のクリスタルには、金属の鎖が付いているのでそのままペンダントになるようだ。
「ありがとうございます。アメジストみたいで綺麗ですね」
「うむ、まさに紫水晶じゃよ。あまり高価な宝石にしてしまうと盗まれてしまうからの。その水晶が透明になったら、名前が魂に馴染んだという合図じゃ」
そうなれば、いくらでもニホンの事を思い出しても大丈夫だって。
さっそくペンダントを首にかけると、水晶をそっと手で握り込んだ。すると、何とも言えない違和感がすっと楽になった。
「わぁ…すごく楽になりました!」
「そうじゃろう、他の者たちには籠められた力が分からんようにしてはあるが、無くさんようにな」
「はい、気をつけます」
体が楽になったので、さっそく確認しよう。
「ステータスオープン!」
私は改めてステータスを開いた。
【名前】 ブロッサム
【種族】 人間
【年齢】 19
【職業】 なし
【レベル】1
【称 号】召喚された只人
【体 力】 80/80
【魔 力】 100/100
【攻撃力】 35
【防御力】 10
【魔 力】 50
【素早さ】 15
【知 力】 45
【スキル】
スライムテイム Lv1
「ちゃんと名前が変わってますね!」
「当たり前じゃ、儂がやったんじゃ失敗など無いわい!」
「……」
グラームス様はエッヘンと胸を張る。
その横で、私のステータスを覗き込んでいたミルス様は何か考え込んでいる。
「ミルス様、何かありましたか?」
私が聞くと、ミルス様はにっこりと微笑みかけてきた。
「いいえ、何でも無いわよブロッサムちゃん、ちょっと名前が呼びにくくなっちゃったわーって思っただけよ」
「あー…まぁ、今まで通り呼んでいただいても大丈夫ですよ?」
「そうねぇ、新しい名前が魂に馴染んだら、また呼ばせてもらうわねブロッサムちゃん」
しかし私はこの時まったく気が付いていなかった、名前以外にも変わった部分があった事に…
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