15 / 89
【1部】第二章.やっと召喚されました
014
しおりを挟む
グラームス様とミルス様の声が遠のいて、目の前が真っ白になった。
「おお!!今回も召喚が成功したぞ!!」
「やったぞ!!」
眩しさに顔をしかめていると、そんな声が聞こえた。
周りもザワザワしている。
目が慣れてくると、そこはお城か神殿かの一室だった。
周りの壁に窓は無く、見事な装飾の施された柱やアーチがあり、足元には見事な魔法陣がモザイク画で描かれている。
部屋の出入り口と思われる辺りには、中世ヨーロッパで使われていたような鎧を着た兵士や、ローブを着た魔法使いと思われる人などが立っていた。
「えっ、本当に異世界召喚されたんだ…」
とか、召喚された側からも声が聞こえてくる。
うん、そうだよねー
夢とかそんなんだと思うよね。
「よくぞ参った、選ばれし異世界の者たちよ!!どうかこの国の危機を救ってほしい!!」
突然、大きな声が響く。
立っていた騎士たちが一斉にそちらに向きかしこまる。その奥から何やらギラギラと着飾った、いかにも身分の高いオッサンが歩いてきた。
「私はこのグラム国の宰相を務めるサボックと言う、この度は突然こちらの世界に召喚してしまい申し訳ない。しかし今、この国は危機に瀕している……」
あれ、この人が国王じゃないんだ?
これはもしや、宰相が実権を握ってるパターンかな?
私がそんなことを考えている間も、サボックはこの国が如何に魔族の脅威に晒されているかを滔々と語っている。
「……そして、君たちには今から国王陛下に謁見してもらいたいと思う。しかしその前に、この国を救ってくれるであろう君たちの名前や能力を知りたい。一人ずつに騎士を付けるので、その者たちの前でステータスオープンと唱えてほしい。騎士団の者たちはそれぞれ召喚者たちの能力などを確認するように!!」
サボックと名乗ったオッサンの合図で、私たちに一人ずつ騎士の人がついた。
私に付いたのは、金髪碧眼の若い騎士だった。なんというか…顔はイケメンだと思うけど、ちょっとキザっぽい感じ…
「お初にお目にかかります黒髪の美しいお嬢さん。私は近衛騎士のエドガー・ベルンと申します。気安くエドガーとお呼びください」
芝居がかった挨拶の後、バチーンと効果音がつきそうなウインクをしてきた。
(何だこいつ…)
「私はヤマノイツキと言います。ヤマノが性でイツキが名です」
「おお、なんとも美しい響きのお名前ですね。是非イツキ様とお名前を呼ぶ栄誉を私めにお与えください…」
今にも跪きそうなイケメン騎士。
「お断りします。ヤマノと呼んでくださいベルンさん」
いや、こういう世界って貴族階級とかは名前を呼び合うのは親しい人間だけでしょ…イケメンとは言え、いきなり馴れ馴れしいのはちょっとお断りだわー…
「おお…これは手厳しい…」
ショック!!という感じで大げさに落胆するベルン。
私、こいつにステータス見せるの嫌だな…
「おお!!今回も召喚が成功したぞ!!」
「やったぞ!!」
眩しさに顔をしかめていると、そんな声が聞こえた。
周りもザワザワしている。
目が慣れてくると、そこはお城か神殿かの一室だった。
周りの壁に窓は無く、見事な装飾の施された柱やアーチがあり、足元には見事な魔法陣がモザイク画で描かれている。
部屋の出入り口と思われる辺りには、中世ヨーロッパで使われていたような鎧を着た兵士や、ローブを着た魔法使いと思われる人などが立っていた。
「えっ、本当に異世界召喚されたんだ…」
とか、召喚された側からも声が聞こえてくる。
うん、そうだよねー
夢とかそんなんだと思うよね。
「よくぞ参った、選ばれし異世界の者たちよ!!どうかこの国の危機を救ってほしい!!」
突然、大きな声が響く。
立っていた騎士たちが一斉にそちらに向きかしこまる。その奥から何やらギラギラと着飾った、いかにも身分の高いオッサンが歩いてきた。
「私はこのグラム国の宰相を務めるサボックと言う、この度は突然こちらの世界に召喚してしまい申し訳ない。しかし今、この国は危機に瀕している……」
あれ、この人が国王じゃないんだ?
これはもしや、宰相が実権を握ってるパターンかな?
私がそんなことを考えている間も、サボックはこの国が如何に魔族の脅威に晒されているかを滔々と語っている。
「……そして、君たちには今から国王陛下に謁見してもらいたいと思う。しかしその前に、この国を救ってくれるであろう君たちの名前や能力を知りたい。一人ずつに騎士を付けるので、その者たちの前でステータスオープンと唱えてほしい。騎士団の者たちはそれぞれ召喚者たちの能力などを確認するように!!」
サボックと名乗ったオッサンの合図で、私たちに一人ずつ騎士の人がついた。
私に付いたのは、金髪碧眼の若い騎士だった。なんというか…顔はイケメンだと思うけど、ちょっとキザっぽい感じ…
「お初にお目にかかります黒髪の美しいお嬢さん。私は近衛騎士のエドガー・ベルンと申します。気安くエドガーとお呼びください」
芝居がかった挨拶の後、バチーンと効果音がつきそうなウインクをしてきた。
(何だこいつ…)
「私はヤマノイツキと言います。ヤマノが性でイツキが名です」
「おお、なんとも美しい響きのお名前ですね。是非イツキ様とお名前を呼ぶ栄誉を私めにお与えください…」
今にも跪きそうなイケメン騎士。
「お断りします。ヤマノと呼んでくださいベルンさん」
いや、こういう世界って貴族階級とかは名前を呼び合うのは親しい人間だけでしょ…イケメンとは言え、いきなり馴れ馴れしいのはちょっとお断りだわー…
「おお…これは手厳しい…」
ショック!!という感じで大げさに落胆するベルン。
私、こいつにステータス見せるの嫌だな…
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる