私はただ、憧れのテントでゴロゴロしたいだけ。

もりのたぬき

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【1部】第二章.やっと召喚されました

014

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グラームス様とミルス様の声が遠のいて、目の前が真っ白になった。

「おお!!今回も召喚が成功したぞ!!」
「やったぞ!!」

眩しさに顔をしかめていると、そんな声が聞こえた。
周りもザワザワしている。

目が慣れてくると、そこはお城か神殿かの一室だった。
周りの壁に窓は無く、見事な装飾の施された柱やアーチがあり、足元には見事な魔法陣がモザイク画で描かれている。

部屋の出入り口と思われる辺りには、中世ヨーロッパで使われていたような鎧を着た兵士や、ローブを着た魔法使いと思われる人などが立っていた。

「えっ、本当に異世界召喚されたんだ…」

とか、召喚された側からも声が聞こえてくる。
うん、そうだよねー
夢とかそんなんだと思うよね。

「よくぞ参った、選ばれし異世界の者たちよ!!どうかこの国の危機を救ってほしい!!」

突然、大きな声が響く。

立っていた騎士たちが一斉にそちらに向きかしこまる。その奥から何やらギラギラと着飾った、いかにも身分の高いオッサンが歩いてきた。

「私はこのグラム国の宰相を務めるサボックと言う、この度は突然こちらの世界に召喚してしまい申し訳ない。しかし今、この国は危機に瀕している……」

あれ、この人が国王じゃないんだ?
これはもしや、宰相が実権を握ってるパターンかな?

私がそんなことを考えている間も、サボックはこの国が如何に魔族の脅威に晒されているかを滔々と語っている。

「……そして、君たちには今から国王陛下に謁見してもらいたいと思う。しかしその前に、この国を救ってくれるであろう君たちの名前や能力を知りたい。一人ずつに騎士を付けるので、その者たちの前でステータスオープンと唱えてほしい。騎士団の者たちはそれぞれ召喚者たちの能力などを確認するように!!」

サボックと名乗ったオッサンの合図で、私たちに一人ずつ騎士の人がついた。

私に付いたのは、金髪碧眼の若い騎士だった。なんというか…顔はイケメンだと思うけど、ちょっとキザっぽい感じ…

「お初にお目にかかります黒髪の美しいお嬢さん。私は近衛騎士のエドガー・ベルンと申します。気安くエドガーとお呼びください」

芝居がかった挨拶の後、バチーンと効果音がつきそうなウインクをしてきた。

(何だこいつ…)

「私はヤマノイツキと言います。ヤマノが性でイツキが名です」
「おお、なんとも美しい響きのお名前ですね。是非イツキ様とお名前を呼ぶ栄誉を私めにお与えください…」

今にも跪きそうなイケメン騎士。

「お断りします。ヤマノと呼んでくださいベルンさん」

いや、こういう世界って貴族階級とかは名前を呼び合うのは親しい人間だけでしょ…イケメンとは言え、いきなり馴れ馴れしいのはちょっとお断りだわー…

「おお…これは手厳しい…」

ショック!!という感じで大げさに落胆するベルン。

私、こいつにステータス見せるの嫌だな…

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