私はただ、憧れのテントでゴロゴロしたいだけ。

もりのたぬき

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【1部】第一章.異世界生活を始める前の長い長い準備

003

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神様が好きなスキルをくれるらしいので、どんなスキルが良いか考えよう。

まず第一に、先ほどミルス様は「欲しいスキルを差し上げるわ」と言っていた。
そう、何個までという制限は一切おっしゃっていない。過去に3つのスキルを与えた。としか言っていないのだ。

「あらぁ、流石ねー。そうよ、今回は3つまでなんて言う制限は無いわ、好きにして頂戴。ただし、星を割るほどの力とか、新種の生命を誕生させる力とか、世界を終わらせたりバランスを崩すような物は上げられないわよ」

「なるほど、欲しいスキルに上限数は無いという事ですね」
「そこに気が付いたのはお前さんで二人目じゃよ、他の物はみな律義に3つしか言わなんだ」

「神様、心を読むのやめていただけますかね?三回目なんですが…」
「すまんのぉ、この空間に居ると否応なしにお主の思考が聞こえてきてしまうんじゃよ…」
「あーそうなんですか…とりあえず、私が声に出して発言するまでは無視してください」
「了解した」

しかし、もう一人この事に気が付いた人が居たのか。落ち着いていればすぐ分かる事ではあるよね。神様たちの話を聞く限り私達を召喚した王国はヤバそうだし、色々貰ってからじゃないと怖いよねぇ…。

「そうだ、神様ちょっとお聞きしたいんですが」
「何かしら?」
「冒険しなくても良いってお話でしたが、魔王討伐みたいな使命は無いんですね?」
「ええそうよ。そんな使命は過去も含めて誰にも与えていないわ。そもそも、魔王達は世界の覇権なんて握ろうと思ってもいないし、自国を治めるので手一杯な魔王が殆どよ。もちろん、魔物は居るから冒険者たちが討伐したりはしているけど、それは魔王達の国でも同じよ。魔物と魔族は別物だから」

「魔王達?って事は魔族の国も沢山あるって事ですか?」
「ええ、人の国も多いけど、魔族の国も結構あるし、お互いに友好関係を築いている所もあれば逆もある。グラム王国のように一方的に魔族を嫌う国もあるわ。だから、あなた達にはフォンティーで普通に暮らしてくれれば良いの」

「なるほど、ありがとうございます」

どうやら、本当に冒険はしなくても良いらしい。そして、魔王は魔物を統べるわけでは無いらしい。
樹は肩にかけていたカバンから手帳を取り出すと、メモのページを開き、自分に必要だと思う物を書きだしていった。

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