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第7話
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「ステフィ、私の人生終わったわ……」
カーラは悲愴感漂う顔でステフィにそう訴えた。
どうしてあの時、「はい」と返事をしてしまったのか……。
あの後、アーロン王子はこう説明した。
「それではカーラにも他の妃候補の令嬢達と同じように、宮廷で暮らして貰う事になる。先程の妃教育も他の候補者達と共に受けてもらうから、心配しなくていいい」
ああ!本当に私の馬鹿!
私はまたも自分で自分の人生を台無しにしようとしているわ!!地味な人生を過ごすはずか、どうしてまた王子の婚約者になろうとしているのよー!!
しかも、今度は下級貴族の令嬢として行くわけだから、他の妃候補の令嬢からどんな目に合わされるか……。
頭を抱えて苦悩するカーラにステフィは言った。
「カーラ!そんなに悩む事ないじゃない!宮廷に行けばヴェルナー様を見放題なのよ!!」
「ええ?だって私はヴェルナー様に興味ないもの」
するとステフィはフフッと得意そうに笑った。
「だから!私、あなたの世話係に立候補するわ!」
「え!?ステフィも一緒に来てくれるの!?」
「ええ!」
カーラはステフィの手を握ると嬉しそうに言った。
「ステフィ!ありがとう!!あなたが一緒なら憂鬱な宮廷暮らしも少しは何とかなりそうよ!」
◇◆◇
そして、カーラはステフィと侍女のイルダを連れて宮廷へとやって来た――
アーロン王子は他の妃候補を集め、新しく加わったカーラを皆に紹介した。
「彼女がこれから、この宮廷でに暮らす事になったカーラ・ミッシェルだ」
カーラの他に妃候補としているのは宮廷舞踏会でも一際目立っていた公爵令嬢ジャクリーナ・ケメット。
それから候爵令嬢のジェナ・ルビネックとライバス家に並ぶ名門伯爵家の令嬢ケイシー・ハロリ。
こんな高貴な令嬢に並ぶと私の格下感が際立つわ。
それに、ほら。視線が痛い。どうしてこんな女がアーロン王子の妃候補なんだって視線が……
「皆、カーラは宮廷に来たばかりで分からない事もあるだろうから、助けてやってくれ」
アーロン王子の言葉に公爵令嬢のジャクリーナが答える。
「ええ。もちろん。私がたっぷりとここでのマナーを教えて差し上げますわ」
ジャクリーナはこれでもかというほど悪役令嬢らしい笑みを浮かべた。
ああ……。前世の自分を思い出す……。
カーラはそんなジャクリーナに前世の自分を見ているようで、複雑な気分になったのだった。
カーラは悲愴感漂う顔でステフィにそう訴えた。
どうしてあの時、「はい」と返事をしてしまったのか……。
あの後、アーロン王子はこう説明した。
「それではカーラにも他の妃候補の令嬢達と同じように、宮廷で暮らして貰う事になる。先程の妃教育も他の候補者達と共に受けてもらうから、心配しなくていいい」
ああ!本当に私の馬鹿!
私はまたも自分で自分の人生を台無しにしようとしているわ!!地味な人生を過ごすはずか、どうしてまた王子の婚約者になろうとしているのよー!!
しかも、今度は下級貴族の令嬢として行くわけだから、他の妃候補の令嬢からどんな目に合わされるか……。
頭を抱えて苦悩するカーラにステフィは言った。
「カーラ!そんなに悩む事ないじゃない!宮廷に行けばヴェルナー様を見放題なのよ!!」
「ええ?だって私はヴェルナー様に興味ないもの」
するとステフィはフフッと得意そうに笑った。
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「え!?ステフィも一緒に来てくれるの!?」
「ええ!」
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「ステフィ!ありがとう!!あなたが一緒なら憂鬱な宮廷暮らしも少しは何とかなりそうよ!」
◇◆◇
そして、カーラはステフィと侍女のイルダを連れて宮廷へとやって来た――
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「彼女がこれから、この宮廷でに暮らす事になったカーラ・ミッシェルだ」
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それから候爵令嬢のジェナ・ルビネックとライバス家に並ぶ名門伯爵家の令嬢ケイシー・ハロリ。
こんな高貴な令嬢に並ぶと私の格下感が際立つわ。
それに、ほら。視線が痛い。どうしてこんな女がアーロン王子の妃候補なんだって視線が……
「皆、カーラは宮廷に来たばかりで分からない事もあるだろうから、助けてやってくれ」
アーロン王子の言葉に公爵令嬢のジャクリーナが答える。
「ええ。もちろん。私がたっぷりとここでのマナーを教えて差し上げますわ」
ジャクリーナはこれでもかというほど悪役令嬢らしい笑みを浮かべた。
ああ……。前世の自分を思い出す……。
カーラはそんなジャクリーナに前世の自分を見ているようで、複雑な気分になったのだった。
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