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第13話

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「お主、我を呼んだか?」

 ルイーザは目の前に現れたシーフスにあ然とした後、全力で何度も頷いた。
 レオンもリシェントも目を丸くして、シーフスを見ている。

「よ、呼びました!シーフスですよね?エルフの魔術師のシーフスですよね!?」

「そうだが、お主はだれだ?あ、先程から何か叫んでいたな。セリビア公爵の娘、ルイーザと」

「そ、そうです!ルイーザです!」

「しかし、我はルイーザなどという娘は知らんぞ?なぜ、そなたは我を知っている」

 ゲームで見てたんで!

 とは言えないルイーザは、悩んだ挙げ句こう言った。

「シーフスが、私の夢に出てきたんです!」

 私の言葉にレオンとリシェントは疑いの眼差しを向けた。

「ほう、お主、夢見が出来るのか」

 しかし、シーフスには何故かすんなりと受け入れられた。すると、ムブルに気づいたシーフスは、懐かしそうに言った。

「これは、ドラゴンじゃないか。久方ぶりだな。お主が連れてきたのか?」

「グル、ググ」

 シーフスはムブルと知り合いらしく、二人で何か話し始めた。

 レオンとリシェントはその話を興味深く聞いている。

 あれ?私だけムブルの言葉が分からないじゃない。ああ、私にも魔力があったら……



 するとムブルと話し終えたシーフスは言った。

「事情は分かった。ドラゴンの知り合いなら特別にエルフの里に招待しよう」

 シーフスが腕をひと振りすると、ただの森だった場所がエルフの里に変わった。

 森だった時よりも明るくなったその場所は、土で作られた建物のが並び、シーフスと同じ銀髪のエルフ達が生活していた。


 凄い……、ゲームで見たエルフの里が目の前に……


「スッゲーな!マジでエルフの里かよ!」

 興奮するリシェントに驚いて辺りを見回すレオン。

「泉はこちらだ」

 シーフスが行く方へ付いていくとそこには澄んだ泉があった。

「へえ!これがエルフの泉!ちょっと飲んでみてもいい?」

 リシェントが聞くとシーフスは「構わん」と答える。リシェントは手で水を掬うと口に含んだ。

 わお!このシーンゲームで見たよ!飲んでたのは、リシェントじゃなくてゴートンだったけど。

 ゴクンと飲んだリシェントを私達はジッと見つめる。

「お!?おおー!凄い身体が軽くなった!疲労回復の力は確実にあるな!」

「わ、私も飲んでいい?」「僕も」

 シーフスが頷くと私とレオンも泉の水を掬って口に含んだ。

 わ、わわ!凄い!身体の重さが一気に抜けた!

「これ、凄い。魔力も回復した」

 と隣でレオンも驚いていた。

 そんな私達の様子をおかしそうに見ていたシーフスは、
 どこから出したのか瓶を取り出すと泉の水を掬ってレオンに渡してきた。

「ほら、早く持っていくといい」

「あ、ありがとうございます!!」

 レオンはシーフスに深々と頭を下げる。

 良かった。これで、エヴァルト王子が良くなると良いんだけど……

「あのー、ちなみにエルフの飲み水で商売なんて事は……」

 とリシェントが聞くとシーフスは笑って言った。

「ハハッ、お前は次から里に入れてやらん」

「いや!嘘、嘘!冗談だから!」

 シーフスは私達を里の出口まで見送ると、ジッと私の方を見てきた。

「あの?何か?」

「いや、お主は不思議な星の元に生まれたようだな。ドラゴンがお主のお陰で、面白い事になっていると言っていたぞ」

「え?ハハッ……、ど、どういう意味かなぁ……」

 とルイーザは気まずそうに視線を逸した。

 すると、シーフスは私の耳元でこう言った。

「あの少年の運命はお主が握っているのだろう?」

 その言葉に私は驚いてシーフスを見返す。

「また、会えるのを楽しみにしているぞ」

 シーフスはそう言うと、エルフの里は消えて元の森に戻ったのだった。


 それから、私達は急いで王宮に戻ってエルフの飲み水をエヴァルト王子に飲ませた。すると、さっきまで苦しんでいたエヴァルト王子の病はあっという間に良くなっていったのだった――

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