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第2話

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 前世の記憶を思い出してから数日たったが、ルイーザは未だ、必要な時以外は自室から出る事を禁じられていた。

 お母様ったら、一体いつまで私を部屋に閉じ込めておくつもりかしら?
 まあ、いいわ。お陰でこっちもレオンの闇落ち回避の対策をじっくり考えられるし。

 確か公式ファンブックによると、レオンは強大な魔力を持つカルヴァ王国の若き国王。母親は前国王の側室リシェルの子となっていた。
 ここは、私が転生してから知った情報と一致してるのよね。ただ、病気療養って聞いてたリシェル妃が、公式ブックによるとリシェル妃はレオンが5歳の時にレオンを残して使用人の男と逃亡ってなってたのよね。
 これは、ゲームと転生した世界で違ってるのかとも思ったけど、昨日それとなくお母様に探りを入れてみたら「国王様に見初められて男爵令嬢だったのを側室にして頂いたというのに……。幾ら見目が良くても、品位の欠片もないものね」とお母様から辛辣なお言葉が出たので、男と逃げたって事で間違いなさそうだ。きっと、国王の面子の為か表向きには、療養している事になっているのだろう。

 母親のリシェル妃が居なくなった事で、元々弱かったレオンの立場はさらに悪くなり、父である国王にすら疎まれてしまうようになって、しかも唯一優しかったエヴァルト王子がレオンが10歳の時に病死してしまうのだ。するとレオンの闇は更に深くなり、自身が成人する18歳になるのを待って父である国王を弑逆し、自身がその地位に君臨した。そして、次にはカルメラとその関係者を次々と処刑し、誰もレオンに逆らえる者はいなくなり、悪の帝王と化したレオンはその強大な魔力を使って世界を我が手中に納める為に近隣諸国を襲い始める――

 公式ファンブックを読んだ時、レオンの過去を知って泣いちゃったんだよね。いや、もう悪の帝王に化したゲームの中のレオンは、主人公達を苦しめる悪い奴なんだけど、攻略キャラじゃないのに無駄に超絶美形な顔立ちもレオンを憎みきれない所ではあったなあ……。

 とにかく、レオンが悪の帝王になっちゃったら私も道連れで処刑されちゃうんだから、絶対阻止しないと!

 今は母親のリシェル妃が居なくなって、苦しい立場のレオンを助けてあげたいけど、子供の私に出来る事は限られてる。話し相手になる事で少しでも力になってあげられたら良いんだけど……。それからもう一つ重要なのが第一王子のエヴァルト!そもそも彼が病死しなければ、レオンが闇落ちしなくてすむんじゃない!?
 エヴァルト王子が亡くなるまであと5年。まずは持病がないか聞いてみようか……。

 ああ、そうなって来るとやっぱり外出禁止は痛いなぁ。
 お母様、早く機嫌治らないかしら……。

 ルイーザがあれこれ考えていると、父のセリビア公爵が慌てた様子で部屋に駆け込んできた。

「ルイーザ!大変だ!エヴァルト王子が、倒れたそうだ!!」

「え!?」

 もしかして、もう病気が発症したの!?
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