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第1章
合否発表
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数日後。
俺のスマホに、一本の電話が。
俺は急いで通話ボタンを押して、電話に出た。
「もしもし。こちら、木田優希様の携帯でお間違いないでしょうか?」
「はい!合ってます!」
「先日の面接結果のお電話でしたが、今お時間はよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは、早速面接結果をお伝えしますね。…木田優希様は貴社に採用となりました。早速ですが、来週の月曜日から出社となりますので、よろしくお願いいたします。出勤時刻は9時となっておりますが、初日は色々と説明もありますので、8時半までには本社にお越しください。」
「はいっ!わかりました!」
「それでは月曜日にお待ちしております。失礼します。」
そう言って電話が切られた。その瞬間、俺は大声をあげて喜んだ。
「よっしゃあぁぁ!!これで、実家に帰らなくても済むっ…!」
本当に嬉しくて…これから始まる遅めの社会人生活に胸を躍らせていた…が、そんな考えも浅はかだったと知る月曜日。
早起きした俺は、身支度を完璧に済ませ、少し早めではあるが会社へ向かった。
会社に着いたのは8時過ぎではあったが、すでに俺と同じ新入社員と思われる人が何人か待っていた。
「もしかして、君も新入社員?」
近くにいた大人しめな女の子に俺は話しかけた。
「…はい。そうなんですけど…どこに行けばいいのか分からなくて…。」
「…そうだよねー。まぁ、指定された時間まであと20分ぐらいあるし、待ってみようか。」
「そ、そうですね。」
女の子と話すのなんて結構久しぶりだった。…いつも野郎しか寄ってきてくれないから。
そして、改めて思う。…やっぱり彼女欲しいよな。
「ねぇ、じゃあ俺ら…同期ってことだよね?名前、聞いてもいい?」
「あっ、…雫井若奈、22歳です。」
「雫井さんね!あ、俺と一個違いじゃん。俺、木田優希。23歳だよ。」
「あっ、そうなんですね…。よろしくお願いします…。」
「よろしくね。」
反応はあまり良くない子ではあるが、男慣れしてないからこその反応の悪さに感じた。
それからも他愛無い話をしていたところに俺の見知った声が聞こえてきた。
「あっ!優希じゃん!!」
そんな声がエントランスに響いて、後ろを振り向くと、そこには息を切らした勉がいた。
「勉!?えっ、お前も採用されたんだ!」
「そうなんだよ!優希も採用されたとか、めっちゃ楽しくやっていけそうだな!」
「フッ…確かに。じゃあ、これからもよろしくな!」
「あぁ、よろしく!」
そんな挨拶を交わしてるうちに、奥から人が走ってきた。
「すまないっ!遅くなってしまって…。全員来てくれたかな?」
そう言いながら、エントランスに集まっている人数を数え始めた。
「1、2……あ、全員来てるね。それじゃあ、私について来てくれるかな?」
そして、俺らは会議室のような部屋に通された。
「新人育成プロジェクトで、見事採用された新入社員の皆さん、おはようございます。」
「「おはようございます!」」
綺麗にその場にいた全員の挨拶が重なった。
「おう!いい挨拶だね。私は、面接を取り仕切っていた者だが、覚えてるかな?」
そして、俺らは首を縦に振り、はいっと返事をした。
「それなら良かった。私は人事部長の坂田浩之だ。君たちの総監督を務めさせていただく。…そして、君たち一人一人には、それぞれ決まった部署に行ってもらうことになります。」
淡々とこれからの動きについて話され、何となくではあるが理解した俺たち。
「それでは、これから君たちの紹介があるから、簡単な自己紹介だけ考えておいてくれるかな?そして、自己紹介が終わったらそれぞれの部署を教えていくから、そのつもりでよろしく頼むよ。」
「「はいっ!!」
「では、少し準備があるから10分後にまた来るから。」
そう言うと、忙しなさそうに走って行ってしまった。
「…自己紹介とか緊張するなぁ。」
そう口を開いたのは、勉だった。
「大勢の前だと緊張はするよなぁ…まぁ、なるようになれ!って感じだな。」
「…だな!」
正直言うと、初対面の人の前で話すのはそこまで苦手意識はない。
…普段から色んな人と食事に行ってるからな。それでも大勢となればまた別…。緊張は少しはするだろう。
丁度10分経った頃、坂田部長が戻ってきて、会議室のドアを開け放った。
「…お待たせしました。それじゃあ行きましょうか。」
俺のスマホに、一本の電話が。
俺は急いで通話ボタンを押して、電話に出た。
「もしもし。こちら、木田優希様の携帯でお間違いないでしょうか?」
「はい!合ってます!」
「先日の面接結果のお電話でしたが、今お時間はよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは、早速面接結果をお伝えしますね。…木田優希様は貴社に採用となりました。早速ですが、来週の月曜日から出社となりますので、よろしくお願いいたします。出勤時刻は9時となっておりますが、初日は色々と説明もありますので、8時半までには本社にお越しください。」
「はいっ!わかりました!」
「それでは月曜日にお待ちしております。失礼します。」
そう言って電話が切られた。その瞬間、俺は大声をあげて喜んだ。
「よっしゃあぁぁ!!これで、実家に帰らなくても済むっ…!」
本当に嬉しくて…これから始まる遅めの社会人生活に胸を躍らせていた…が、そんな考えも浅はかだったと知る月曜日。
早起きした俺は、身支度を完璧に済ませ、少し早めではあるが会社へ向かった。
会社に着いたのは8時過ぎではあったが、すでに俺と同じ新入社員と思われる人が何人か待っていた。
「もしかして、君も新入社員?」
近くにいた大人しめな女の子に俺は話しかけた。
「…はい。そうなんですけど…どこに行けばいいのか分からなくて…。」
「…そうだよねー。まぁ、指定された時間まであと20分ぐらいあるし、待ってみようか。」
「そ、そうですね。」
女の子と話すのなんて結構久しぶりだった。…いつも野郎しか寄ってきてくれないから。
そして、改めて思う。…やっぱり彼女欲しいよな。
「ねぇ、じゃあ俺ら…同期ってことだよね?名前、聞いてもいい?」
「あっ、…雫井若奈、22歳です。」
「雫井さんね!あ、俺と一個違いじゃん。俺、木田優希。23歳だよ。」
「あっ、そうなんですね…。よろしくお願いします…。」
「よろしくね。」
反応はあまり良くない子ではあるが、男慣れしてないからこその反応の悪さに感じた。
それからも他愛無い話をしていたところに俺の見知った声が聞こえてきた。
「あっ!優希じゃん!!」
そんな声がエントランスに響いて、後ろを振り向くと、そこには息を切らした勉がいた。
「勉!?えっ、お前も採用されたんだ!」
「そうなんだよ!優希も採用されたとか、めっちゃ楽しくやっていけそうだな!」
「フッ…確かに。じゃあ、これからもよろしくな!」
「あぁ、よろしく!」
そんな挨拶を交わしてるうちに、奥から人が走ってきた。
「すまないっ!遅くなってしまって…。全員来てくれたかな?」
そう言いながら、エントランスに集まっている人数を数え始めた。
「1、2……あ、全員来てるね。それじゃあ、私について来てくれるかな?」
そして、俺らは会議室のような部屋に通された。
「新人育成プロジェクトで、見事採用された新入社員の皆さん、おはようございます。」
「「おはようございます!」」
綺麗にその場にいた全員の挨拶が重なった。
「おう!いい挨拶だね。私は、面接を取り仕切っていた者だが、覚えてるかな?」
そして、俺らは首を縦に振り、はいっと返事をした。
「それなら良かった。私は人事部長の坂田浩之だ。君たちの総監督を務めさせていただく。…そして、君たち一人一人には、それぞれ決まった部署に行ってもらうことになります。」
淡々とこれからの動きについて話され、何となくではあるが理解した俺たち。
「それでは、これから君たちの紹介があるから、簡単な自己紹介だけ考えておいてくれるかな?そして、自己紹介が終わったらそれぞれの部署を教えていくから、そのつもりでよろしく頼むよ。」
「「はいっ!!」
「では、少し準備があるから10分後にまた来るから。」
そう言うと、忙しなさそうに走って行ってしまった。
「…自己紹介とか緊張するなぁ。」
そう口を開いたのは、勉だった。
「大勢の前だと緊張はするよなぁ…まぁ、なるようになれ!って感じだな。」
「…だな!」
正直言うと、初対面の人の前で話すのはそこまで苦手意識はない。
…普段から色んな人と食事に行ってるからな。それでも大勢となればまた別…。緊張は少しはするだろう。
丁度10分経った頃、坂田部長が戻ってきて、会議室のドアを開け放った。
「…お待たせしました。それじゃあ行きましょうか。」
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