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第1章
面接会場
しおりを挟むそして、やっとのことで面接会場である会社に着いたのだが…
「でかっ…」
思わず、そんな声を漏らしていた。
中に入ると、俺と同じようなスーツを着た男女が沢山いた。待合室へ案内され、緊張したまま自分の番が来るのを待ち続けた。
「…あれ?もしかして、優希?」
小声ではあるものの、いきなり話しかけられて驚きつつも声のした方へ視線を向ける。
すると、そこには大学で学部が一緒だった平塚勉がいた。
「…えっ、勉じゃん!…面接来てたんだ。」
待合室ということもあり、俺も小声で言葉を交わす。
「そうなんだよ。…1年違う職場で働いたんだけど、ブラックで辞めてさ。今回の新人育成プロジェクト見て応募したんだよね。俺みたいな転職組にも良い条件だなって思って。」
「そうだったんだな。俺は就活失敗したからさ、今回のプロジェクトにかけてるんだよな…。」
「そっか!じゃあお互い頑張らないとな!…噂によると、面接官だけじゃなくて、プロジェクトに関わるそれぞれの部署の人もいるみたいだからさ…」
「そ、そうなんだ…?」
「そうらしい。だから、優希も頑張れよ!俺も頑張るわ!」
「あぁ、ありがとう。一緒に頑張ろうな!」
…相変わらず、爽やかな奴だ。俺が言葉を返すとそのまま空いている席に座った。
でも勉のおかげで良い情報が手に入った。後は程よく緊張しつつも、聞かれたことにしっかり答えられるようにすれば大丈夫…なはず。
「96番の方、お入りください。」
ついに俺の番号が呼ばれた。緊張はしていたが、平常心を装って俺は「はい」と返事をしてドアをノックして入室した。
「失礼します。96番、木田優希です。本日はよろしくお願い致します。」
「…それでは、椅子にお掛けになってください。」
「はい、失礼します。」
「それでは早速ですが、こちらから紹介させていただきます。今回の面接では、面接官だけではなく、プロジェクトに関わる社員も面接に参加しており、人数が多くなっております。」
真ん中にいる人事部長と書かれた坂田さんがそう説明すると、社員の人が一斉に立ち上がり、一礼した。
その中に、いかにも仕事が出来そうな顔の整った男がジッと俺の方を見ていることに気付いた。
「今、立っている社員がそれぞれのプロジェクトリーダーで、教育係となります。」
「はい!よろしくお願いします。」
「それじゃあ、社員は座ってくれ。」
社員全員が座ってからも、男はずっと俺を見ていて…その人の射抜くような鋭い目に耐えきれず、サッと視線を逸らした。
「それでは、君が我が社を選んだ理由を聞かせてくれるかな?」
「…はい。私は恥ずかしながら就職活動が上手くいかず、大学を卒業してからも様々なアルバイトを経験しながら就職活動を続けてきました。そんな時に、御社の『新人育成プロジェクト企画』を見て、自分が今まで積み重ねてきた経験を活かし、自分の力を試したいと思ったからです。」
「そうですか。木田さんのような方にはやはりこのプロジェクトは、目を引くものでしたか?」
「はいっ!とても興味深いものだと思います。このプロジェクトを通して、自分を成長させていきたいと思っています。」
その後、いくつかの質問をされたが、慌てずに淡々と答えていった。
「…それでは、これで面接を終了します。今日は我が社に来てくれてありがとう。」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
「それでは今週末には、採用不採用の連絡を入れますので、それまでお待ちください。…では、お帰りになっても構いませんよ。」
「はいっ!失礼します。」
そう言ってドアを閉めた俺は、軽くガッツポーズをした。
これは、かなりの好感触!今回こそは期待できるかもしれない…。
それもそうだけど…あの人は一体誰なんだろう?
途中からは見ないようにしていたけど、面接の間ずっと見られていた気がする…。
…もしかして、どこかで会ったことがあったりする…?
いや…でもあんなに顔整ってたら、絶対に忘れないはずなんだけどな。
まぁ?俺だって女顔だけど、イケメン部類に入るだろうから顔は全然負けてないと思うけども。
…それでもすごいよな。俺とそんなに歳離れてなさそうだけど、プロジェクトリーダー兼教育係任せられるとか。
まぁ…とりあえず、面接も終わったことだし、今日は友達と飲みに行こう。そう思った俺はすぐに連絡を入れ、久しぶりに記憶がないほど酔った。
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