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第1章
木田優希という男
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俺は木田優希。
ちなみに、パパ活(?)する時の名前も本名でやっている。
単に面倒臭いというのもあるが、顔と名前が合っているとよく言われるので、そのまま何の捻りもなく自分の名前を使っている。
大学在学中に内定先が決まらないまま大学を卒業し、就活に追われる日々を送っている23歳だ。
いや…でも、さっきの逃げ帰ってくれた男には心の底から感謝している。
昨日から何も食べていないと言ったら、勿論嘘になるが、実際最近は本当に金欠でロクな物は食べられていなかったからだ。
…ということで、タダ飯バンザイ!!
でも、危険が伴うことは勿論ある。夜の街にはさっきのようなノンケの男ばかりではないことを俺は知っているからだ。
ホモやゲイの人に「下も触りますか?」なんて言ってしまった日には、喜んで触られるだけではなく、お持ち帰りされてしまうからだ。
…何なら実際にそうなりかけて、慌てて逃げ帰ったのは思い出したくない記憶だ。
まぁ…だから、見た感じソッチ系の人に声をかけられた時には、俺の貞操が危ないから食事も断っている。
じゃあ、何でそんな危険を冒してまでそんなことをするかって?
そんなの、得る利益の方が多いからに決まっている。
俺が可愛ければ可愛いほど、今日みたいにタダ飯にありつけることもあれば、欲しい物を買ってもらえることもある。
…まぁ、こんな考えをするようになった一番の原因は俺の周りの人たちだろう。
まず、俺の家族だ。
母子家庭で育った俺には少し歳の離れた姉と兄がいて、とにかく俺を可愛がった。…正真正銘のブラコンである。
俺が一番年下という理由で可愛がっていたのもあるだろうが、一番の理由は俺が天使のように可愛く、儚げな美少年だったからだ。
優しそうな垂れ目を持ちながらも、くっきりとした二重。鼻筋はスッと通っており、小さな鼻穴。口角はデフォルト状態で少し上がっており、薄め。そして、サラサラの黒髪に、目に付く首筋のホクロ…。
自分の容姿に特別自信があったわけではないが、身内や近所の人から毎日のように「可愛い」だの「天使」だの「女の子みたい」だの言われていたら、自分が他とは違う特別な容姿を持ち合わせているのだということは嫌でも理解した。
だけど、兄もいるのに姉のお下がりでスカートやパステルカラーの洋服ばかり着せられるのは、当時の俺にとってはいい迷惑だった。
普通に兄のお下がりを着たかったし、俺だって「可愛い」じゃなくて「カッコいい」と言われる男になりたかった。
そんな小学校生活を過ごし、家族からの絡みをウザいと感じるようになった中学生では、毎日のように男から告白されるようになった。こんなことって、漫画の世界だけじゃないんだと…改めて実感させられた。
ただ、俺にだって好きになった女子の一人や二人はいた。…告白?勿論したが、「自分よりも可愛い男子を恋愛対象として見れない」と言われて振られた…。その時は理不尽だ!と思ったが、今ならあの時の女子の気持ちもわかる…。
苦い思い出しかない中学校生活も終わりを迎えると、いよいよ高校生活が始まった。
ここでも男に好かれたが、中学とは比にならないほど質の悪い奴らばかりで…自分の身は自分で護らなければならない、そう身をもって感じた俺は、総合格闘技を始めた。
最初は自分のために始めた総合格闘技だったが、思っていた以上に楽しくて、大会では何度か入賞したこともあった。
それからは俺にちょっかいをかける男も減り、自由気ままな学校生活を送ることができるようになったのだ。
そんな生活は俺にとっては魅力的なもので…それならば家族にも誰にも邪魔をされない快適ライフを送ってやる!と意気込み、俺は都内の大学を選んだ。
勿論、家族全員に反対されたが生活費は一銭もいらない!と言い放ち、半ば家出のように上京したのだ。
…まぁ、実家からの援助が学費だけだったから苦労はしたけども。
大学生活はとても充実していて、楽しかった。
バイト三昧の日々でも、月によってはどうしても金欠になってしまうことはしょっちゅうだった。
そんな時は、自分の顔の良さを活かし、あんな風に男を騙してご飯を奢ってもらい、飢えを凌いだ。
自分なりに上手く生きてきたつもりだったが、就活は見事に惨敗。
…世の中、顔だけじゃ生きていけないと痛感した。
ちなみに、パパ活(?)する時の名前も本名でやっている。
単に面倒臭いというのもあるが、顔と名前が合っているとよく言われるので、そのまま何の捻りもなく自分の名前を使っている。
大学在学中に内定先が決まらないまま大学を卒業し、就活に追われる日々を送っている23歳だ。
いや…でも、さっきの逃げ帰ってくれた男には心の底から感謝している。
昨日から何も食べていないと言ったら、勿論嘘になるが、実際最近は本当に金欠でロクな物は食べられていなかったからだ。
…ということで、タダ飯バンザイ!!
でも、危険が伴うことは勿論ある。夜の街にはさっきのようなノンケの男ばかりではないことを俺は知っているからだ。
ホモやゲイの人に「下も触りますか?」なんて言ってしまった日には、喜んで触られるだけではなく、お持ち帰りされてしまうからだ。
…何なら実際にそうなりかけて、慌てて逃げ帰ったのは思い出したくない記憶だ。
まぁ…だから、見た感じソッチ系の人に声をかけられた時には、俺の貞操が危ないから食事も断っている。
じゃあ、何でそんな危険を冒してまでそんなことをするかって?
そんなの、得る利益の方が多いからに決まっている。
俺が可愛ければ可愛いほど、今日みたいにタダ飯にありつけることもあれば、欲しい物を買ってもらえることもある。
…まぁ、こんな考えをするようになった一番の原因は俺の周りの人たちだろう。
まず、俺の家族だ。
母子家庭で育った俺には少し歳の離れた姉と兄がいて、とにかく俺を可愛がった。…正真正銘のブラコンである。
俺が一番年下という理由で可愛がっていたのもあるだろうが、一番の理由は俺が天使のように可愛く、儚げな美少年だったからだ。
優しそうな垂れ目を持ちながらも、くっきりとした二重。鼻筋はスッと通っており、小さな鼻穴。口角はデフォルト状態で少し上がっており、薄め。そして、サラサラの黒髪に、目に付く首筋のホクロ…。
自分の容姿に特別自信があったわけではないが、身内や近所の人から毎日のように「可愛い」だの「天使」だの「女の子みたい」だの言われていたら、自分が他とは違う特別な容姿を持ち合わせているのだということは嫌でも理解した。
だけど、兄もいるのに姉のお下がりでスカートやパステルカラーの洋服ばかり着せられるのは、当時の俺にとってはいい迷惑だった。
普通に兄のお下がりを着たかったし、俺だって「可愛い」じゃなくて「カッコいい」と言われる男になりたかった。
そんな小学校生活を過ごし、家族からの絡みをウザいと感じるようになった中学生では、毎日のように男から告白されるようになった。こんなことって、漫画の世界だけじゃないんだと…改めて実感させられた。
ただ、俺にだって好きになった女子の一人や二人はいた。…告白?勿論したが、「自分よりも可愛い男子を恋愛対象として見れない」と言われて振られた…。その時は理不尽だ!と思ったが、今ならあの時の女子の気持ちもわかる…。
苦い思い出しかない中学校生活も終わりを迎えると、いよいよ高校生活が始まった。
ここでも男に好かれたが、中学とは比にならないほど質の悪い奴らばかりで…自分の身は自分で護らなければならない、そう身をもって感じた俺は、総合格闘技を始めた。
最初は自分のために始めた総合格闘技だったが、思っていた以上に楽しくて、大会では何度か入賞したこともあった。
それからは俺にちょっかいをかける男も減り、自由気ままな学校生活を送ることができるようになったのだ。
そんな生活は俺にとっては魅力的なもので…それならば家族にも誰にも邪魔をされない快適ライフを送ってやる!と意気込み、俺は都内の大学を選んだ。
勿論、家族全員に反対されたが生活費は一銭もいらない!と言い放ち、半ば家出のように上京したのだ。
…まぁ、実家からの援助が学費だけだったから苦労はしたけども。
大学生活はとても充実していて、楽しかった。
バイト三昧の日々でも、月によってはどうしても金欠になってしまうことはしょっちゅうだった。
そんな時は、自分の顔の良さを活かし、あんな風に男を騙してご飯を奢ってもらい、飢えを凌いだ。
自分なりに上手く生きてきたつもりだったが、就活は見事に惨敗。
…世の中、顔だけじゃ生きていけないと痛感した。
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