29 / 39
4章:仕置
第29話 連絡係(2)
しおりを挟む
「……先生、質問が」
『……なんだ?』
ぼっちゃんが、手を上げました。
「お客さんから何か、要望はありますか? 無いなら背景の説明を」
『特に聞いてはいないが……分かった』
以前は、手駒に依頼の背景を語るなんて、先生はなさらなかったんでありやすがね。
ぼっちゃんが「仕事のお客さん満足度を上げたいから、依頼背景の情報が欲しい」って言い出しやして。
そこから、毎回こうですわ。
しょうがないな、という風に語りだしやした。先生。
それはそれは、おぞましい話でありやした。
旦那と相思相愛の人妻である依頼人に横恋慕したマトの男・根鳥が、依頼人を手に入れようと依頼人の旦那と、その愛の結晶たる子供を殺し。
ぬけぬけとお悔やみにまで訪れて、気が変になってる依頼人をまんまと抱き、後日それら全てを偶然依頼人に知られて今回の依頼に至った、と。
「ふーん……そっか。香澄さんの家のご不幸、事故じゃ無かったんだぁ……」
聞き終えたお嬢ちゃんが、底冷えする声を出していやした。
何か思うところがあるのでしょうな。
知ってる方のようですし。
「ねぇ、あやと」
お嬢ちゃんの声が、急に明るくなりやす。
前傾姿勢を取って、媚びるような感じでお隣のぼっちゃんに話しかけます。
「ベルゼブブ、アタシ一人でやらせてくれないかな? 根鳥の方は任せるから」
「……相手は一応異能持ちだ。僕もついていく。そこまではいいか?」
消極的許可ってところでしょうかね。
ぼっちゃん、お嬢ちゃんを見つめながら、彼女の提案を受け入れやしたよ。
ついていくけど、基本お前のやりたいようにさせてやる、って。
「やったあ! さっすがあやと! 話分かる!! 超大好き!! 愛してる!!」
満面の笑みで、胸の前で合掌するように手を組んで、その場でぴょんぴょん跳び跳ねながら、自分一人での殺人許可を出してもらって喜ぶ少女。
なかなか、狂った構図でありやすね。
「はいはい」
ため息をつくように。
女の子に愛してると言われても、全くの無反応。
社交辞令としてももうちょっと、あっても良さそうな感じではありやせんかね? ぼっちゃん。
まぁ、何か考えがあってそうなさっておいでなのかもしれやせんが……。
「あぁ~良かった~」
お嬢ちゃんは、胸を撫で下ろしたようでやした。
「アタシに出来るのは、自分が強いと思ってる相手の心をへし折るくらいだもんね」
自分の手を撫でながら。
今から素手でマトを八つ裂きにする愉悦を予感していらっしゃるんですかね?
「アタシが根鳥やったら……多分、一瞬で殺しちゃいそうだもん」
お嬢ちゃんの口角が上がりやす。
そのまま、ぼっちゃんの方を向きやした。
「根鳥は任せる……というか、期待してるから。あやと、得意だもんねー……ご・う・も・ん」
今はどんな顔をされてるんでやすかね?
ここからは良く見えないのですけど。
まぁ、多分、笑ってらっしゃるんでしょう。
お二人の前に、パイプ机があり。
その上に、畳まれた黒い学生服、黒いセーラー服が置かれていやす。
お二人の仕事着です。
お二人は、全く躊躇いなくブレザーを脱ぎ捨て。
ぼっちゃんは研ぎ澄まされた肉体を。
お嬢ちゃんは女神のような肉体を。
それぞれ惜しげもなく晒しやした。
そして、ぼっちゃんは学生服。お嬢ちゃんはセーラー服を身に纏いやす。
「おじさん」
仕事着を着用したお嬢ちゃんが、一緒に置かれていた黒いヘルメット……正式名称・仕事用多目的電子兜……をあっしに投げ渡しやした。
「最初にベルゼブブやるから、それまで預かっといて」
邪魔になっちゃうから。
そう言いつつ。
……ああ、そういうわけですか。
お嬢ちゃん、全力を出されるんでやすね?
『……なんだ?』
ぼっちゃんが、手を上げました。
「お客さんから何か、要望はありますか? 無いなら背景の説明を」
『特に聞いてはいないが……分かった』
以前は、手駒に依頼の背景を語るなんて、先生はなさらなかったんでありやすがね。
ぼっちゃんが「仕事のお客さん満足度を上げたいから、依頼背景の情報が欲しい」って言い出しやして。
そこから、毎回こうですわ。
しょうがないな、という風に語りだしやした。先生。
それはそれは、おぞましい話でありやした。
旦那と相思相愛の人妻である依頼人に横恋慕したマトの男・根鳥が、依頼人を手に入れようと依頼人の旦那と、その愛の結晶たる子供を殺し。
ぬけぬけとお悔やみにまで訪れて、気が変になってる依頼人をまんまと抱き、後日それら全てを偶然依頼人に知られて今回の依頼に至った、と。
「ふーん……そっか。香澄さんの家のご不幸、事故じゃ無かったんだぁ……」
聞き終えたお嬢ちゃんが、底冷えする声を出していやした。
何か思うところがあるのでしょうな。
知ってる方のようですし。
「ねぇ、あやと」
お嬢ちゃんの声が、急に明るくなりやす。
前傾姿勢を取って、媚びるような感じでお隣のぼっちゃんに話しかけます。
「ベルゼブブ、アタシ一人でやらせてくれないかな? 根鳥の方は任せるから」
「……相手は一応異能持ちだ。僕もついていく。そこまではいいか?」
消極的許可ってところでしょうかね。
ぼっちゃん、お嬢ちゃんを見つめながら、彼女の提案を受け入れやしたよ。
ついていくけど、基本お前のやりたいようにさせてやる、って。
「やったあ! さっすがあやと! 話分かる!! 超大好き!! 愛してる!!」
満面の笑みで、胸の前で合掌するように手を組んで、その場でぴょんぴょん跳び跳ねながら、自分一人での殺人許可を出してもらって喜ぶ少女。
なかなか、狂った構図でありやすね。
「はいはい」
ため息をつくように。
女の子に愛してると言われても、全くの無反応。
社交辞令としてももうちょっと、あっても良さそうな感じではありやせんかね? ぼっちゃん。
まぁ、何か考えがあってそうなさっておいでなのかもしれやせんが……。
「あぁ~良かった~」
お嬢ちゃんは、胸を撫で下ろしたようでやした。
「アタシに出来るのは、自分が強いと思ってる相手の心をへし折るくらいだもんね」
自分の手を撫でながら。
今から素手でマトを八つ裂きにする愉悦を予感していらっしゃるんですかね?
「アタシが根鳥やったら……多分、一瞬で殺しちゃいそうだもん」
お嬢ちゃんの口角が上がりやす。
そのまま、ぼっちゃんの方を向きやした。
「根鳥は任せる……というか、期待してるから。あやと、得意だもんねー……ご・う・も・ん」
今はどんな顔をされてるんでやすかね?
ここからは良く見えないのですけど。
まぁ、多分、笑ってらっしゃるんでしょう。
お二人の前に、パイプ机があり。
その上に、畳まれた黒い学生服、黒いセーラー服が置かれていやす。
お二人の仕事着です。
お二人は、全く躊躇いなくブレザーを脱ぎ捨て。
ぼっちゃんは研ぎ澄まされた肉体を。
お嬢ちゃんは女神のような肉体を。
それぞれ惜しげもなく晒しやした。
そして、ぼっちゃんは学生服。お嬢ちゃんはセーラー服を身に纏いやす。
「おじさん」
仕事着を着用したお嬢ちゃんが、一緒に置かれていた黒いヘルメット……正式名称・仕事用多目的電子兜……をあっしに投げ渡しやした。
「最初にベルゼブブやるから、それまで預かっといて」
邪魔になっちゃうから。
そう言いつつ。
……ああ、そういうわけですか。
お嬢ちゃん、全力を出されるんでやすね?
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
女ハッカーのコードネームは @takashi
一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか?
その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。
守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。
後悔と快感の中で
なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私
快感に溺れてしまってる私
なつきの体験談かも知れないです
もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう
もっと後悔して
もっと溺れてしまうかも
※感想を聞かせてもらえたらうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる