悪を狩る獣たち(1次小説版)

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2章:頼み人の人生

第16話 山本香澄(1)

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 私……山本香澄が、彼……山本啓一と出会ったのは、養護施設で。
 年齢でいえば、幼稚園児くらいのときだったと思う。

 よく一緒に遊んで、ませてた私はそのとき、彼と結婚の約束をして、彼の頬にキスをした思い出がある。
(当の彼も、高校の時に本当のファーストキッスをしたときに覚えてくれてて、嬉しかった)

 両親のことは覚えていない。
 何でも、二人とも学者だったらしいとは聞いているが。

 小学生に上がってからも、彼とは仲良しで、クラスで冷やかされても、変わらなかった。
 あまりにも照れずに居るものだから、そのうち公認の仲になってしまった。

 中学に上がり、性の目覚めが起きて、彼を本当の意味で男性として意識するようになって。
 私たちは恋人になった。

 この頃から、彼との間に学力差を感じることが多くなった。
 私は成績が上位クラスで、彼は中間上位くらい。
 このままでは、高校、同じところに行けないと思い、私がレベルを落とすべきかと悩んだら

「僕が香澄ちゃんと同じレベルの高校に行ければ問題ないんだろ」って言って

 必死で頑張ってくれて、高校一年の春、本当に合格してしまった。
 このときの感激は忘れられない。

 そして高校生になり。
 やっぱり仲は変わらなかったが。

 あるとき、彼が酷い喧嘩をした。

 暴力的なこととは無縁な人だったから、驚いた。

 何でそんなことをしたのかと問い詰めても、話してくれない。

「私にも言えないようなことなの? 何で言ってくれないの?」とやや非難するように言ったら

「……香澄ちゃんとの仲はどうなの? もうヤったの? あいつって気持ちいい? ……なんて言われて、許せなかったんだ」

 ものすごく不愉快そうに、そう言ってくれて。
 ……当時、彼とはキスしかしておらず、肉体関係は無かったんだけど。
 彼なりに、私を大事に思ってくれていたから、そうしてくれてたんだと思う。

 ……香澄ちゃんを玩具かなにかのように言われたのがどうしても許せなかったんだ、と彼は続けてくれた。

 それに感激した私は、そのときに彼を強く抱きしめて

「そんなの気にすること無いよ。怒ってくれなくてもいいんだからね……嬉しかったけど」

「でもさ、もう二度と同じ理由で喧嘩しないために……」

 耳元で、囁いた。

「今度……しちゃおうよ。ホントにしちゃってたら、別に腹、立たないと思うし」

 このときの反応、可愛くて。
 今思うと、後で迷わず彼との結婚を決めたのは、このときの記憶のせいかもしれない。

 私は安全日というやつを全力で調べて計算し、その上で、彼にはなるべくいいゴムを用意してもらって、鉄壁の防御で事に臨んだ。
 やたらあっけなく終わってしまい、双方拍子抜けしてしまったのが印象的だった。
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