8 / 19
第8話 本当の恋人
しおりを挟む
私は実の弟とキスをした。
頬や額にする、親愛のキスでなく。
唇と唇の、男女のキス。
雰囲気に流されてしまったのもあるけど。
私の気持ちに変化があったのも事実だ。
それに……
私の中で、弟への想いが変化したのだ。
あのキスで。
弟を男の子として完全に認識してしまったのだ。
これ以上はまずい。
そういう気持ちがある。
だけど。
同じ家に住んでいる。
この大きさ。
ご飯も一緒に食べるし。
一緒にテレビも見るし。
同じお風呂に入り。
同じ屋根の下で眠る。
……気持ちが育っていく気がした。
「ごちそうさまでした」
土曜日。
お昼ご飯を食べ終わり、私は食器を片付ける。
流しに持って行って、洗うんだ。
当たり前だけど。
見ると、弟の方も食べ終わってる。
それを見て私は、弟の席に無言で近づいた。
あの花火の日以来。
弟とはほとんど会話が無い気がする。
事務的なことしか話してない。
話してしまうと、決定的な間違いが起きる。
そんな予感がするから。
どうしても、言葉を発せない。
洗うね、とばかりに弟の食器を回収する。
無言で。
弟は何も反応しない。
私は流しに行って、洗い物をはじめた。
水を使い、仕事をする。
無心で食器を洗う。
沈黙。
今、明は何をしているのだろう?
「姉ちゃん」
そんなときだった。
突如、明が私に言葉を発した。
私は、水を止めた。
「……なぁに?」
緊張感があった。
この会話は、何かが違う。
そんな予感ゆえの。
弟は、明は一拍置いて
「……花火大会のとき。なんで俺とキスしたの?」
……私が停止する質問。
どう答えるか。何と答えるべきか。
その答えは……
「……嫌だった?」
質問に質問で返す。
最低の返答。
それは分かってる。
けど……
「嫌なわけないよ。嬉しかった。ずっと好きだった女の子にキスしてもらえたんだから」
……ッ。
明の答え。弟の答え。
それが、私の心に深く突き刺さっていく。
明の言葉が、私に影響を与えていく。
「……そうなんだ。ファーストキスだった? ひょっとして?」
「うん」
……ああ。
私、最初のキスを姉なのに弟から奪ったのか……。
なんだろう……すごくゾクゾクするものを感じてしまう……
いけないのに。こんなこと……
「で、何でキスしたの?」
明からの再度の質問。
……今度は、逃げられない。
「だって、したかったから」
雰囲気に流されたから。
そう言う方法もあった。
でも……
そんなの、明に失礼な気がした。
だから言ったんだ。正直な気持ちを。
「そうなんだ……」
スッ。
背後で、テーブルから明が立つ気配がした。
足音がゆっくり近づいてくる。
私は動けなかった。
動けず、待つ。
私に近づいた明は、私を背後から抱きしめた。
胸の下、おなかのあたりに二本の腕が回される。
「姉ちゃん……好きだ」
あ……
前に、告白を受けたときとは、明らかに違う私の心。
何かが切り替えられる感覚があった。
「明……」
そっと、振り返ろうとする。
そのときだった。
私の口が、明の口によって塞がれた。
押し付けられる口と口。
明からのキス。
私は、それを受け入れた。
全く抵抗せずに。
押し返そうともせず、そっと、彼の背中に手を回しながら。
ちゅっ、ちゅっ、と軽く吸いながら、キスをする。
そして、ふたりの唇を離した。
「……これで、本当の恋人になれたね」
私は微笑みかける。
明は、嬉しそうだった。
頬や額にする、親愛のキスでなく。
唇と唇の、男女のキス。
雰囲気に流されてしまったのもあるけど。
私の気持ちに変化があったのも事実だ。
それに……
私の中で、弟への想いが変化したのだ。
あのキスで。
弟を男の子として完全に認識してしまったのだ。
これ以上はまずい。
そういう気持ちがある。
だけど。
同じ家に住んでいる。
この大きさ。
ご飯も一緒に食べるし。
一緒にテレビも見るし。
同じお風呂に入り。
同じ屋根の下で眠る。
……気持ちが育っていく気がした。
「ごちそうさまでした」
土曜日。
お昼ご飯を食べ終わり、私は食器を片付ける。
流しに持って行って、洗うんだ。
当たり前だけど。
見ると、弟の方も食べ終わってる。
それを見て私は、弟の席に無言で近づいた。
あの花火の日以来。
弟とはほとんど会話が無い気がする。
事務的なことしか話してない。
話してしまうと、決定的な間違いが起きる。
そんな予感がするから。
どうしても、言葉を発せない。
洗うね、とばかりに弟の食器を回収する。
無言で。
弟は何も反応しない。
私は流しに行って、洗い物をはじめた。
水を使い、仕事をする。
無心で食器を洗う。
沈黙。
今、明は何をしているのだろう?
「姉ちゃん」
そんなときだった。
突如、明が私に言葉を発した。
私は、水を止めた。
「……なぁに?」
緊張感があった。
この会話は、何かが違う。
そんな予感ゆえの。
弟は、明は一拍置いて
「……花火大会のとき。なんで俺とキスしたの?」
……私が停止する質問。
どう答えるか。何と答えるべきか。
その答えは……
「……嫌だった?」
質問に質問で返す。
最低の返答。
それは分かってる。
けど……
「嫌なわけないよ。嬉しかった。ずっと好きだった女の子にキスしてもらえたんだから」
……ッ。
明の答え。弟の答え。
それが、私の心に深く突き刺さっていく。
明の言葉が、私に影響を与えていく。
「……そうなんだ。ファーストキスだった? ひょっとして?」
「うん」
……ああ。
私、最初のキスを姉なのに弟から奪ったのか……。
なんだろう……すごくゾクゾクするものを感じてしまう……
いけないのに。こんなこと……
「で、何でキスしたの?」
明からの再度の質問。
……今度は、逃げられない。
「だって、したかったから」
雰囲気に流されたから。
そう言う方法もあった。
でも……
そんなの、明に失礼な気がした。
だから言ったんだ。正直な気持ちを。
「そうなんだ……」
スッ。
背後で、テーブルから明が立つ気配がした。
足音がゆっくり近づいてくる。
私は動けなかった。
動けず、待つ。
私に近づいた明は、私を背後から抱きしめた。
胸の下、おなかのあたりに二本の腕が回される。
「姉ちゃん……好きだ」
あ……
前に、告白を受けたときとは、明らかに違う私の心。
何かが切り替えられる感覚があった。
「明……」
そっと、振り返ろうとする。
そのときだった。
私の口が、明の口によって塞がれた。
押し付けられる口と口。
明からのキス。
私は、それを受け入れた。
全く抵抗せずに。
押し返そうともせず、そっと、彼の背中に手を回しながら。
ちゅっ、ちゅっ、と軽く吸いながら、キスをする。
そして、ふたりの唇を離した。
「……これで、本当の恋人になれたね」
私は微笑みかける。
明は、嬉しそうだった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
母の日 母にカンシャを
れん
恋愛
母の日、普段は恥ずかしくて言えない、日ごろの感謝の気持ちを込めて花束を贈ったら……まさか、こうなるとは思わなかった。
※時事ネタ思いつき作品です。
ノクターンからの転載。全9話。
性描写、近親相姦描写(母×子)を含みます。
苦手な方はご注意ください。
表紙は画像生成AIで出力しました
本編完結R18)メイドは王子に喰い尽くされる
ハリエニシダ・レン
恋愛
とりあえず1章とおまけはエロ満載です。1章後半からは、そこに切なさが追加されます。
あらすじ:
精神的にいたぶるのが好きな既婚者の王子が、気まぐれで凌辱したメイドに歪んだ執着を持つようになった。
メイドの妊娠を機に私邸に閉じ込めて以降、彼女への王子の執着はますます歪み加速していく。彼らの子どもたちをも巻き込んで。※食人はありません
タグとあらすじで引いたけど読んでみたらよかった!
普段は近親相姦読まないけどこれは面白かった!
という感想をちらほら頂いているので、迷ったら読んで頂けたらなぁと思います。
1章12話くらいまではノーマルな陵辱モノですが、その後は子どもの幼児期を含んだ近親相姦込みの話(攻められるのは、あくまでメイドさん)になります。なので以降はそういうのokな人のみコンティニューでお願いします。
メイドさんは、気持ちよくなっちゃうけど嫌がってます。
完全な合意の上での話は、1章では非常に少ないです。
クイック解説:
1章: 切ないエロ
2章: 切ない近親相姦
おまけ: ごった煮
マーカスルート: 途中鬱展開のバッドエンド(ifのifでの救済あり)。
サイラスルート: 甘々近親相姦
レオン&サイラスルート: 切ないバッドエンド
おまけ2: ごった煮
※オマケは本編の補完なので時系列はぐちゃぐちゃですが、冒頭にいつ頃の話か記載してあります。
※重要な設定: この世界の人の寿命は150歳くらい。最後の10〜20年で一気に歳をとる。
※現在、並べ替えテスト中
◻︎◾︎◻︎◾︎◻︎
本編完結しました。
読んでくれる皆様のおかげで、ここまで続けられました。
ありがとうございました!
時々彼らを書きたくてうずうずするので、引き続きオマケやifを不定期で書いてます。
◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
書くかどうかは五分五分ですが、何か読んでみたいお題があれば感想欄にどうぞ。
◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
去年の年末年始にアップしたもののうち
「うたた寝(殿下)」
「そこにいてくれるなら」
「閑話マーカス1.5」(おまけ1に挿入)
の3話はエロです。
それ以外は非エロです。
ってもう一年経つ。月日の経つのがああああああ!
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
母の告白~息子が恋人に変わるまで~
千田渉
恋愛
実の母子から恋人になるまで。 私たちがなぜ親子でありながら愛し合うようになったのか。 きっかけから本当の意味で結ばれるまでを綴ります。
※noteに載せているマガジン「母が恋人に変わるまで。」を母の視点からリライト版です。
※当時の母の気持ちや考えを聞いて構成していますが私の予想や脚色もあるのでフィクションとさせていただきます。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
【R18】絶倫にイかされ逝きました
桜 ちひろ
恋愛
性欲と金銭的に満たされるからという理由で風俗店で働いていた。
いつもと変わらず仕事をこなすだけ。と思っていたが
巨根、絶倫、執着攻め気味なお客さんとのプレイに夢中になり、ぐずぐずにされてしまう。
隣の部屋にいるキャストにも聞こえるくらい喘ぎ、仕事を忘れてイきまくる。
1日貸切でプレイしたのにも関わらず、勤務外にも続きを求めてアフターまでセックスしまくるお話です。
巨根、絶倫、連続絶頂、潮吹き、カーセックス、中出しあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる