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19. 最強の魔法使い
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そうか、影の騎士はエドワード・グリフィンという名の17歳で、言っちゃ悪いけどホームレスなのね。
15で孤児院を飛び出てきて、それから二年も一人で生きてきて人助けもしているなんて立派な人だ。
ダイアナ王女もその事情を知って、それで側に置いているのかな?
「打ち明けたのは梨紗が初めてです」
「そうなの?」
私たちはウェーデンへ行く浮車の中にいる。
なんだか仲良くなれた気がして、私はエドワードの隣りに席を取ったのだ。
「フィリップ様とダイアナ様には名乗っただけですが、調べることは容易いと思います」
あ、そっか。得体のしれない人を城に出入りさせるわけがないもんね。
「王女様とは普段どんな会話をするの?」
エドワードは間を空けた。おそらくフードの奥できょとんとした表情を浮かべているのだろう。最初は誤解していた。怪しげにフードを被って顔を隠しているし、必要最低限のことしか口にしないから、不遜なのか不敵なのか、はたまた私のことを馬鹿な子だと呆れているのかと思っていたけど、全くそんなことはなかった。だんだんとエドワードのことがわかってきたぞ。
「……会話はしません」
どういうこと?
「え! ただ警護しているだけ? 二人で部屋にいても?」
「……そうですね」
そうなんだ。二人とも友達がいないようだし、せっかく側にいるんだから仲良くすればいいのに。
……とはいえこのエドワードが王女に気軽に会話を振るなんて無理そうだ。王女の方からも話しかけることはないだろうし、私がなんとかできないかな?
「ウェーデンは思ったよりも近いなあ」ピーターがあくびをしながら大声で言った。
「ギリスから行くよりも近いの?」
車内を見渡したが誰も反応しないので、なんとなく答えてあげなければと気を利かせて私が答えたら、ピーターは私の存在を今感知したかのように驚いた顔をした。
「ん? そうだよ」
「ウェーデンのどこへ向かう?」王女がピーターに鋭い目を向ける。
「え? あ、ダイアナ様……ええっと」ピーターは伸びをしていた姿勢を正した。「そうですね……あ、そうそう、ストクルムですね。とりあえず首都へ向かいまして、国王様にご挨拶をしなければなりません。ウェーデン程度の国なんて勝手に訪れても構わないとは思いますけど、後々面倒なことになるのは御免ですからね」
「既にその旨は伝えてあるのか?」
「一応、魔法便は送付しましたけど……まだ返答はありませんね」ピーターは宙に手をかざしながら言う。「ですが、送ったのが20分ほど前ですので、無視というほどの遅さではないと思います」
王女は鼻で笑う。
「あと半時間もしないうちに到着するというのにか」
「ええ。まあ、一応先にお伝えした事実は残りますから……あ、来ましたね」
ピーターの手に車内の注目が集まった。
「……はいはい。……そうですね」読んでいるようだ。
「まっ、断ることはできないでしょう。我が国は隣国の間でも主要国だ。断れば後が面倒ですからね」ピーターは王女の表情を見て答えた。「……丁寧な返答をいただきましたよ」
「そうか」
王女は安堵の表情で椅子にもたれた。
その20分後、浮車はウェーデンの首都、ストクルムの発着場へと着陸した。
急だったため賓客専用の発着場は利用できなかったらしく、ここから馬車に乗って城へと向かうことになる。
「ギリスの浮車だ!」「なんだって? ギリス?」「アンドリュー様はいらっしゃらないのかしら?」「国王かな? カーライルだったら見てみたいのに」
なぜか降りたそばから国王と王女の周りに人が集まってきた。
衛兵が誰も近づかないように二人を囲んでいるが、人々はただ誰なのかを確認したかっただけのようで、興味がなさそうにしてすぐに離れていった。
「アンドリュー、ウェーデンは思ったよりも気候がいいな。もっと寒いのかと思っていたよ」
いきなりピーターが大声を出した。
「おい! 今、アンドリューって聞こえたぞ?」「えっ? アンドリューってあのペインの救世主?」「ギリスの浮車だぞ!」
散り散りになっていた人たちがそう口々に反応し、再びこちらに集まり始めた。今度は国王と王女の方ではなく、アンドリューとピーターの方に人の輪ができていく。
「あーあー、困るなぁ」次々と集まってくる人々を前に、戸惑ったような仕草でピーターが叫ぶ。
「確かに彼はアンドリュー・カーライルだ。ウェーデンの国王様を訪ねてきた」
ピーターがウェーデン語で声を張り上げると、さらに場がざわついたばかりか近づいてくる人も増えていく。
なんだかこの間見たばかりの光景のような……ケルマンでも同じことがあったぞ。
「そうそう、ペインの救世主、世界一の魔法使い、間違いありませんよ」
次々に集まる人の波を押し留めようと制しながら、困っているような口ぶりだが、顔は嬉しそうだ。
人々はアンドリューの名前や、『ペインの救世主』など、口々にピーターの発した言葉を繰り返している。
そこへ一台の馬車が現れ、中から出てきた男がピーターに近づくとピーターに耳打ちをした。
「……わかった」
ピーターは男に頷いた後、アンドリューの手を引いて馬車に乗るように促した。
「アンドリュー、どこへ行く?」国王が叫んだ。
今にもアンドリューの元へ駆けつけんばかりだが、国王は護衛に回りを固められ身動きが出来ない。
「国王様、後から向かいますから!」ピーターが叫んで返す。
アンドリューは国王を一瞥もせずに馬車に乗り込み、ピーターと共にどこかへ消えていった。
「……アンドリューって、なんであんなに有名なの?」
私は隣のエドワードに聞いた。
「ご存知ないのですか?」
「知らないよ。まだこの世界に来て一ヶ月ちょっとだもん」
私たちは歩いて発着場の外へ出た。アンドリューたちの馬車はここまで入って来れたのに、国王たち用の馬車は外に用意されていたらしい。普通逆じゃないのかな?
国王と王女の馬車は大きくて造りのしっかりした馬車で、護衛がぎっちりと警護を固めていたから、私とエドワードは別の馬車に乗り込んだ。四台の馬車中最後に出発する簡易的なやつだ。
「それで、アンドリューって何者なの?」
私が聞くと、エドワードは私に慣れてきてくれたのか、必要最低限のことしか言わなかったこれまでとは違って、細かく説明してくれた。
エドワードによると、アンドリューは諸国を旅してペインに立ち寄った際、そこで勃発した歴史上類を見ない内戦に巻き込まれてしまったらしい。労働者階級が貴族階級を攻撃し、革命を起こそうとしたのだそうだ。絶対君主制だったペインを、平等にするという運動が持ち上がったらしい。
労働者階級の中には修行を積んだものが多くいたそうで、国王軍側のレベルにも匹敵する魔法使いが大勢いて、戦力は拮抗するどころか、革命は成功する寸前だったそうだ。
しかし世界の世論としては、制限君主制にするならまだしも、平等にするというその仕組み自体が理解できず、労働者階級ではなく国王軍側を支持する声がほとんどだった。
よくわからないものに台頭されたら敵わないというのが理由なのだろうとエドワードは言った。
他の国の労働者階級も同じ考えだったそうで、新しいことはなかなか受け入れられないものらしい。
私の元いた世界で言うと共産主義とかなのかな? 聞いていると、日本のように議会政治ではなさそうだった。
私がそれを指摘すると、エドワードはその形が一番バランスが取れるのかもしれないがわからないと答えた。
アンドリューは誰に請われたわけでもなかったが、国王軍の味方につき、圧倒的戦力で戦況をひっくり返した。
たった一人で、何百もの魔法攻撃を受け止めたばかりか、それを跳ね返し、それよりさらに大きな攻撃で相手を打ち倒したのだ。
攻撃を受け止めるって、ケルマンで見せたようなことなのかな? 確かにエドワードですら避けることが精一杯だった攻撃を涼しい顔で全て受け止めていた。アンドリューって凄いんだ。
一人で戦況を変えたばかりか内戦も終わらせ、ペインの反乱を食い止めた。その功績からペインの救世主と呼ばれ、全世界にその名を知られたのだと言う。
「それいつのこと?」私は聞いた。
「半年くらい前のことでしょうか。その後もランスやホーランドへ赴いて、何やら山賊を捕まえたり、同じように反乱を計画していた若者たちを捕まえて、今度は説得して改心させたりですとか、途切れることなく話題に上がっています」
へぇ。水戸黄門みたいな感じ?
「そんなに強いの?」
私の問いにエドワードは言い淀んだ。
「……魔法使いとしては最強だと、確かに思います」
ん? 含みのある言い方だなあ。
「つまり、魔法が使えなくなったら?」
「……普通の青年だと」
なるほど。つまり魔法が使えない世界になると、最強ではなくなるってことなのか。
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「……そうですね」
そうなんだ。二人とも友達がいないようだし、せっかく側にいるんだから仲良くすればいいのに。
……とはいえこのエドワードが王女に気軽に会話を振るなんて無理そうだ。王女の方からも話しかけることはないだろうし、私がなんとかできないかな?
「ウェーデンは思ったよりも近いなあ」ピーターがあくびをしながら大声で言った。
「ギリスから行くよりも近いの?」
車内を見渡したが誰も反応しないので、なんとなく答えてあげなければと気を利かせて私が答えたら、ピーターは私の存在を今感知したかのように驚いた顔をした。
「ん? そうだよ」
「ウェーデンのどこへ向かう?」王女がピーターに鋭い目を向ける。
「え? あ、ダイアナ様……ええっと」ピーターは伸びをしていた姿勢を正した。「そうですね……あ、そうそう、ストクルムですね。とりあえず首都へ向かいまして、国王様にご挨拶をしなければなりません。ウェーデン程度の国なんて勝手に訪れても構わないとは思いますけど、後々面倒なことになるのは御免ですからね」
「既にその旨は伝えてあるのか?」
「一応、魔法便は送付しましたけど……まだ返答はありませんね」ピーターは宙に手をかざしながら言う。「ですが、送ったのが20分ほど前ですので、無視というほどの遅さではないと思います」
王女は鼻で笑う。
「あと半時間もしないうちに到着するというのにか」
「ええ。まあ、一応先にお伝えした事実は残りますから……あ、来ましたね」
ピーターの手に車内の注目が集まった。
「……はいはい。……そうですね」読んでいるようだ。
「まっ、断ることはできないでしょう。我が国は隣国の間でも主要国だ。断れば後が面倒ですからね」ピーターは王女の表情を見て答えた。「……丁寧な返答をいただきましたよ」
「そうか」
王女は安堵の表情で椅子にもたれた。
その20分後、浮車はウェーデンの首都、ストクルムの発着場へと着陸した。
急だったため賓客専用の発着場は利用できなかったらしく、ここから馬車に乗って城へと向かうことになる。
「ギリスの浮車だ!」「なんだって? ギリス?」「アンドリュー様はいらっしゃらないのかしら?」「国王かな? カーライルだったら見てみたいのに」
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衛兵が誰も近づかないように二人を囲んでいるが、人々はただ誰なのかを確認したかっただけのようで、興味がなさそうにしてすぐに離れていった。
「アンドリュー、ウェーデンは思ったよりも気候がいいな。もっと寒いのかと思っていたよ」
いきなりピーターが大声を出した。
「おい! 今、アンドリューって聞こえたぞ?」「えっ? アンドリューってあのペインの救世主?」「ギリスの浮車だぞ!」
散り散りになっていた人たちがそう口々に反応し、再びこちらに集まり始めた。今度は国王と王女の方ではなく、アンドリューとピーターの方に人の輪ができていく。
「あーあー、困るなぁ」次々と集まってくる人々を前に、戸惑ったような仕草でピーターが叫ぶ。
「確かに彼はアンドリュー・カーライルだ。ウェーデンの国王様を訪ねてきた」
ピーターがウェーデン語で声を張り上げると、さらに場がざわついたばかりか近づいてくる人も増えていく。
なんだかこの間見たばかりの光景のような……ケルマンでも同じことがあったぞ。
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「……わかった」
ピーターは男に頷いた後、アンドリューの手を引いて馬車に乗るように促した。
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たった一人で、何百もの魔法攻撃を受け止めたばかりか、それを跳ね返し、それよりさらに大きな攻撃で相手を打ち倒したのだ。
攻撃を受け止めるって、ケルマンで見せたようなことなのかな? 確かにエドワードですら避けることが精一杯だった攻撃を涼しい顔で全て受け止めていた。アンドリューって凄いんだ。
一人で戦況を変えたばかりか内戦も終わらせ、ペインの反乱を食い止めた。その功績からペインの救世主と呼ばれ、全世界にその名を知られたのだと言う。
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「半年くらい前のことでしょうか。その後もランスやホーランドへ赴いて、何やら山賊を捕まえたり、同じように反乱を計画していた若者たちを捕まえて、今度は説得して改心させたりですとか、途切れることなく話題に上がっています」
へぇ。水戸黄門みたいな感じ?
「そんなに強いの?」
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