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29. 腹立ちはしないけど不愉快だわ
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えーっと、どこだろう?
着地した森の中は、見渡しても人影どころか動物の姿もない。
ミスター・カーライルは魔力を感知できると言っていたけど、私にもできるかしら?
でも試してみなければ。こんな深い森を歩いて探しまわっていては日が暮れてしまう。
魔力を感知するというのはどういうことだろう?
視力も聴力も触覚も必要がないように思うから、耳を澄ますときに目をつぶって集中するように、五感をひとつひとつ減らして、感覚を絞っていけばいいのではないだろうか。
私は試してみるために深呼吸を繰り返し、心を鎮めようと集中した。
ん? なんだろう? 青い光のようなものが頭に浮かんできたような……この光が魔力?
……もう少しはっきりと掴めないかしら? ……うーん……
だめだ。掴めそうで掴めない。
なに? 誰かに呼ばれたような気がした。
「シュヴァリエ?」
あたりを見渡しながら力の限り声を出してみる。
しかし風が木々を揺らす音以外は何も聞こえない。
「ベルタン侯爵?」
もう一度叫んで耳を澄ませてみるが、反応はない。
やはり魔力で探ってみるしかないか……
再び深呼吸して、意識を集中する。
あ! すぐ近くに緑色の光があるような……
近くに誰かいるかもしれない、そう考えてもう一度呼びかけようと息を吸い込んだとき、すぐ近くで衝撃音がした。
なにかしら?
見ると、近くにある木の表面が小さく抉れていて、薄っすらと煙が上がっている。
直後にまた衝撃音。今度は別の木に──足元にも。
なに? あ、また!
確認する間もなく次々と私の周りに衝撃音が起きる。
光ってはいないが魔法だろうか? まただ! 考えている暇がない!
迷ったが、攻撃かもしれないと考えて防御魔法を張った。
すると遠くから会話をする人の声が聞こえてきた。
「令嬢だ」「なぜこんなところに?」「夢中で逃げてきたんじゃないか?」
声のする方を見ていると、三人の兵士が銃を片手に現れた。ケルマン兵の軍服を着ている。
ああ、なるほど。さっきの攻撃は銃撃だったのね。
「おい、女! 助けに来たぞ!」「俺たちの宿営地に来るといい」
兵士たちは近づいてくる。
「助けていただかなくても結構よ」
一人が腕を掴もうとしてきたので、振り払った。
「一人で不安だろう?」「ちゃんとランスの避難場所に送り届けてやるから」
「結構よ」また手が伸びてくるので、後退りをする。
助けるだなんて言ってるけど、何をされるかわかったものではないわ。面倒なことになる前に倒していいかしら? でも相手の武器はただの銃だから攻撃魔法を使うには忍びないし、護身術では手に余る。逃げ出すのはしゃくだし、どうしましょう?
「何をしている?」
次に聞こえてきた声は妙に威圧的だった。
声のする方を見ると、大柄な中年兵士が木々の間に立っていた。三人よりも立派な軍服を着ていて勲章もたくさんぶら下げている。ケルマン軍の将校ね。
その後ろに何人ものケルマン兵を従えている。
「ベッカー中将!」
三人のケルマン兵は姿勢を正して声を上げた。
「ご令嬢が道に迷われているそうです」
そんなこと一言も言っていないわよ。
ベッカー中将と呼ばれた中年将校は、こちらへ歩み寄りながら私の全身を舐めるように見る。
「お連れしろ」
「はっ!」
三人のケルマン兵が再び近づいてきた。
あー、もう、面倒どころじゃないわ!
ケルマン兵が何人もいるんだもの。忍びないなんて言ってられない! 攻撃魔法で撃退してやれ!
「あー、そのご令嬢は僕の連れです」
聞き覚えのある声……ベルタン侯爵だわ!
ベルタン侯爵が鷹揚な足取りで現れた。
片手を上げて愛想でも振りまくように笑顔を見せながら、兵士たちの間を縫うようにしてこちらへ向かってくる。
「申し訳ありません。避難の途中ではぐれてしまいまして」
将校の前を通り過ぎるときに、ベルタン侯爵は頭を下げた。
「失礼ですが」将校は片手を出して、ベルタン侯爵の歩みを阻む。
「こちらのご令嬢は私どもが安全に避難場所へ送り届けます」
ベルタン侯爵は笑顔のまま大袈裟な身振りで手を顔の前で振って、将校の手を避けようと横に移動した。
「いえ、その必要はありません」
しかし将校は剣を抜いて行く手をさらに遮る。
「貴様はランス軍の兵士だろう?」
将校に睨みつけられるが、ベルタン侯爵はにこやかな笑みを崩さない。
「軍服ではありませんよ」
「しかし物腰が軍人だ」
「本当ですか?」ベルタン侯爵は驚きの声をあげる。「遊びで剣術の真似事をしていた程度でも、そうおっしゃっていただけるとは」
言いながら、剣先を避けるように回り込んで歩みを進めようとする。
「動くな!」将校は剣を動かしてベルタン侯爵の眼前に向け、兵士たちの方を向いて叫んだ。「ご令嬢を!」
ベルタン侯爵は降参したように両手を顔の横に広げてみせた。
「だからと言って、ご令嬢をお連れする権利はあるのですか? 彼女をどうするおつもりですか? ちゃんと避難場所にお連れするつもりなら、なぜ僕から離そうとするんですか?」
ベルタン侯爵はじりじりと横に移動する。
「僕が兵士だとしても見るからに一人ですよ? ご令嬢は民間人なのですから、自国の者がいたら引き渡すべきでしょう?」
「そうだな」将校は剣を上へ振り上げた。「ランスの者がいたらそうするべきだが、今ここにそんな人間はいない」そのまま振り下ろす。
しかしベルタン侯爵に当たる寸前で、剣は何かに当たったかのようにして弾かれた。
将校は目を丸くしてベルタン侯爵と剣を交互に見ている。「どういうことだ?」
ベルタン侯爵は肩を竦めてみせる。
「なぜ当たらん?」
将校は激昂して何度も太刀も浴びせるが、ベルタン侯爵には当たらない。
「くそ! こいつはもういい! 令嬢を連れて行け!」
言われて、兵士たちがにじり寄ったので、私も防御魔法を張って近づけさせないようにした。
私に触れようとしても手前で弾かれるので、兵士たちは混乱し将校に戸惑いの目を向ける。
「なんなんだこいつらは!」
将校はさらに苛立ち、私に向かって憎悪の目で吐き捨てるように言うと、
「この化け物め!」
なんと、私に向かって剣を振りかざしてきた。
丸腰の貴族令嬢に剣を向けたばかりか何ですって? 化け物? そう言われたのは二度目ね。腹立ちはしないけど不愉快だわ。防御魔法じゃなくて攻撃魔法を使ってもいいかしら?
私が赤い光を全身に纏わせ攻撃を仕掛けようとしたとき、まだ何もしていないのになぜか将校は弾き飛んだ。
着地した森の中は、見渡しても人影どころか動物の姿もない。
ミスター・カーライルは魔力を感知できると言っていたけど、私にもできるかしら?
でも試してみなければ。こんな深い森を歩いて探しまわっていては日が暮れてしまう。
魔力を感知するというのはどういうことだろう?
視力も聴力も触覚も必要がないように思うから、耳を澄ますときに目をつぶって集中するように、五感をひとつひとつ減らして、感覚を絞っていけばいいのではないだろうか。
私は試してみるために深呼吸を繰り返し、心を鎮めようと集中した。
ん? なんだろう? 青い光のようなものが頭に浮かんできたような……この光が魔力?
……もう少しはっきりと掴めないかしら? ……うーん……
だめだ。掴めそうで掴めない。
なに? 誰かに呼ばれたような気がした。
「シュヴァリエ?」
あたりを見渡しながら力の限り声を出してみる。
しかし風が木々を揺らす音以外は何も聞こえない。
「ベルタン侯爵?」
もう一度叫んで耳を澄ませてみるが、反応はない。
やはり魔力で探ってみるしかないか……
再び深呼吸して、意識を集中する。
あ! すぐ近くに緑色の光があるような……
近くに誰かいるかもしれない、そう考えてもう一度呼びかけようと息を吸い込んだとき、すぐ近くで衝撃音がした。
なにかしら?
見ると、近くにある木の表面が小さく抉れていて、薄っすらと煙が上がっている。
直後にまた衝撃音。今度は別の木に──足元にも。
なに? あ、また!
確認する間もなく次々と私の周りに衝撃音が起きる。
光ってはいないが魔法だろうか? まただ! 考えている暇がない!
迷ったが、攻撃かもしれないと考えて防御魔法を張った。
すると遠くから会話をする人の声が聞こえてきた。
「令嬢だ」「なぜこんなところに?」「夢中で逃げてきたんじゃないか?」
声のする方を見ていると、三人の兵士が銃を片手に現れた。ケルマン兵の軍服を着ている。
ああ、なるほど。さっきの攻撃は銃撃だったのね。
「おい、女! 助けに来たぞ!」「俺たちの宿営地に来るといい」
兵士たちは近づいてくる。
「助けていただかなくても結構よ」
一人が腕を掴もうとしてきたので、振り払った。
「一人で不安だろう?」「ちゃんとランスの避難場所に送り届けてやるから」
「結構よ」また手が伸びてくるので、後退りをする。
助けるだなんて言ってるけど、何をされるかわかったものではないわ。面倒なことになる前に倒していいかしら? でも相手の武器はただの銃だから攻撃魔法を使うには忍びないし、護身術では手に余る。逃げ出すのはしゃくだし、どうしましょう?
「何をしている?」
次に聞こえてきた声は妙に威圧的だった。
声のする方を見ると、大柄な中年兵士が木々の間に立っていた。三人よりも立派な軍服を着ていて勲章もたくさんぶら下げている。ケルマン軍の将校ね。
その後ろに何人ものケルマン兵を従えている。
「ベッカー中将!」
三人のケルマン兵は姿勢を正して声を上げた。
「ご令嬢が道に迷われているそうです」
そんなこと一言も言っていないわよ。
ベッカー中将と呼ばれた中年将校は、こちらへ歩み寄りながら私の全身を舐めるように見る。
「お連れしろ」
「はっ!」
三人のケルマン兵が再び近づいてきた。
あー、もう、面倒どころじゃないわ!
ケルマン兵が何人もいるんだもの。忍びないなんて言ってられない! 攻撃魔法で撃退してやれ!
「あー、そのご令嬢は僕の連れです」
聞き覚えのある声……ベルタン侯爵だわ!
ベルタン侯爵が鷹揚な足取りで現れた。
片手を上げて愛想でも振りまくように笑顔を見せながら、兵士たちの間を縫うようにしてこちらへ向かってくる。
「申し訳ありません。避難の途中ではぐれてしまいまして」
将校の前を通り過ぎるときに、ベルタン侯爵は頭を下げた。
「失礼ですが」将校は片手を出して、ベルタン侯爵の歩みを阻む。
「こちらのご令嬢は私どもが安全に避難場所へ送り届けます」
ベルタン侯爵は笑顔のまま大袈裟な身振りで手を顔の前で振って、将校の手を避けようと横に移動した。
「いえ、その必要はありません」
しかし将校は剣を抜いて行く手をさらに遮る。
「貴様はランス軍の兵士だろう?」
将校に睨みつけられるが、ベルタン侯爵はにこやかな笑みを崩さない。
「軍服ではありませんよ」
「しかし物腰が軍人だ」
「本当ですか?」ベルタン侯爵は驚きの声をあげる。「遊びで剣術の真似事をしていた程度でも、そうおっしゃっていただけるとは」
言いながら、剣先を避けるように回り込んで歩みを進めようとする。
「動くな!」将校は剣を動かしてベルタン侯爵の眼前に向け、兵士たちの方を向いて叫んだ。「ご令嬢を!」
ベルタン侯爵は降参したように両手を顔の横に広げてみせた。
「だからと言って、ご令嬢をお連れする権利はあるのですか? 彼女をどうするおつもりですか? ちゃんと避難場所にお連れするつもりなら、なぜ僕から離そうとするんですか?」
ベルタン侯爵はじりじりと横に移動する。
「僕が兵士だとしても見るからに一人ですよ? ご令嬢は民間人なのですから、自国の者がいたら引き渡すべきでしょう?」
「そうだな」将校は剣を上へ振り上げた。「ランスの者がいたらそうするべきだが、今ここにそんな人間はいない」そのまま振り下ろす。
しかしベルタン侯爵に当たる寸前で、剣は何かに当たったかのようにして弾かれた。
将校は目を丸くしてベルタン侯爵と剣を交互に見ている。「どういうことだ?」
ベルタン侯爵は肩を竦めてみせる。
「なぜ当たらん?」
将校は激昂して何度も太刀も浴びせるが、ベルタン侯爵には当たらない。
「くそ! こいつはもういい! 令嬢を連れて行け!」
言われて、兵士たちがにじり寄ったので、私も防御魔法を張って近づけさせないようにした。
私に触れようとしても手前で弾かれるので、兵士たちは混乱し将校に戸惑いの目を向ける。
「なんなんだこいつらは!」
将校はさらに苛立ち、私に向かって憎悪の目で吐き捨てるように言うと、
「この化け物め!」
なんと、私に向かって剣を振りかざしてきた。
丸腰の貴族令嬢に剣を向けたばかりか何ですって? 化け物? そう言われたのは二度目ね。腹立ちはしないけど不愉快だわ。防御魔法じゃなくて攻撃魔法を使ってもいいかしら?
私が赤い光を全身に纏わせ攻撃を仕掛けようとしたとき、まだ何もしていないのになぜか将校は弾き飛んだ。
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