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26. 惚れるよりも惚れられる方が合っているってこと?
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「ミス・ヴァロワ、素敵な紳士に出会われたようですね」
書類や食料などの荷物をまとめているときにベルタン侯爵が声をかけてきた。
「あれはただの……」執事ではないし、私の騎士ですって言うのも恥ずかしいわね。何て言えばいいの?
ベルタン侯爵は私が途中で言葉を止めたので、不思議そうな表情を浮かべたが、何か思い至ったのか、にやりと含みのある笑みを浮かべて続けた。
「惚れるよりも惚れられる方がいい性分の方はいらっしゃいますからね」
ん? どういうこと?
「ベルタン侯爵も令嬢を追うよりも、相手の気持ちを受け止めた方が合ってらしたということですか?」
ベルタン侯爵は笑い声をあげて言った。「そうですね。僕も、ミス・ヴァロワもそちらの性分ということです」
私も?
惚れた、というか気を惹こうとしたシャイン伯爵やコンティ公爵よりも、私に惚れている相手の気持ちを受け止めた方が性分に合っているってこと?
「まあ、気が強いタイプは恋愛面では受け止めてあげる側なんですよ」
受け止めてあげるだなんて、言い方が不遜だわ。でもなんとなく納得してしまう。ベルタン侯爵はいつも笑顔だし、親切な紳士だから穏やかな方だと思っていたけど、実は好戦的で激しい性質を持っていたことが少しずつわかってきた。
「行きましょう」
準備ができたようで、荷物を背負ったシュヴァリエがやってきた。
「あ、先に行ってください。すぐに追いつきますから」
そう言って、ベルタン侯爵が足早にドアの向こうへ消えていくと、入れ替わりにシャイン伯爵が顔をだした。
「ミス・ヴァロワ、どうかお気をつけください」シャイン伯爵が私の手を取って持ち上げる。
「はい。ありがとうございます」礼を失しないように膝を曲げてそれを受けた。
「諸国を回って知見を深め、国事に励んで参りましたのに、この国難において無力であることが大変遺憾です」鎮痛な表情だ。
そうか。国一番と評さていれるシャイン伯爵でも至らないところがあるんだ。コンティ公爵もそうだった。病弱なのは至らない点ではないけれど、ミス・マリオンに言いようにされて窘められない気の弱さは自らのものだわ。
「大丈夫ですわ。私たちでなんとか国をお守りいたしますから」
思わず口について出た。
「ミス・ヴァロワは相変わらずのお方ですね。お美しく聡明で、ご立派でいらっしゃる」
今さら褒めても遅いわよ。嬉しいけど。
「それではご帰還をお待ちしております」
シャイン伯爵が頭を下げたので、私もそれに倣った。
さてシュヴァリエ、行くわよ。
出発をするために振り返ったのだが──シュヴァリエがいない。
あれ? どこに行ったのかしら?
司令本部を出ると、ミスター・カーライルとベルタン侯爵が既に準備を整えて待っていた。
「シュヴァリエは?」
「ミス・ヴァロワとご一緒だと思っておりましたが」ベルタン侯爵が答える。
本当にどこ行ったのよ?
そこで三分ほど待ったが一向に現れない。
私は落ち着かず気持ちが焦って仕方がなかったが、ミスター・カーライルは平然としている。と、思ったらいきなり飛び上がった!
「ミス・ヴァロワ!」ベルタン侯爵が叫ぶ。
なに?
空が薄暗くなった。いや違う。紫色の光が本部を囲うように地面から半球形に広がっている。ミスター・カーライルは宙に浮いていて、その同じ紫色の光に全身が包まれている。ミスター・カーライルの魔法?
直後に立っていられないほどの衝撃と、耳をつんざく轟音がした。
「安全どころじゃない」
そう言っていつの間にか現れたシュヴァリエが、私を支えるように抱き上げた。
「何だったのよ?」
シュヴァリエは私を抱えたまま、本部へ向かって駆けている。
「攻撃ですよ」
それはわかるけど、そうじゃなくて
「どこ行ってたのよ!」
「お邪魔かと思いまして」
お邪魔?
攻撃は思ったよりも早く収まった。紫色の光を突破することができなかったからなのか、振動と轟音だけで被害はないようだった。
シュヴァリエは本部の入口で私を抱き上げたまま空を見上げて静止していたが、ミスター・カーライルが降りてきたことで攻撃が止んだことを悟ると、私を地面に下ろした。
「なにも抱きかかえなくてもいいのに大袈裟よ」
少し恥ずかしかったから軽口がついて出た。
「エマ様を守ることはおろか、戦術を組むこともできず、さらには他の令嬢にも言い寄っている、あんな男のどこがいいんですか?」シュヴァリエは吐き捨てるように言う。
どうしたのよ? それシャイン伯爵のこと?
「シュヴァリエ少佐、行きましょう」
数メートル離れたところからベルタン侯爵が声を上げた。
「承知しました。エマ様、行きましょう」
シュヴァリエが私の手を引いて、走り出したベルタン侯爵の後を追う。
ベルタン侯爵は速度を揃えようとしたのか、後ろを振り返りながら走っていたのですぐに追いついた。
横に並んだベルタン侯爵にシュヴァリエが声をかける。
「アンドリューは?」
「浮車です。低空飛行で向かうそうです」
「見つかるのでは?」
「むしろその方がいいと」
ベルタン侯爵の返答にシュヴァリエは舌打ちをした。
「つまり囮ですか? エマ様はどうするんだ!」
「ミスター・カーライルがいらっしゃれば攻撃を受けることはないでしょう」
先程の防御魔法を見ていたから、私もそう思った。
「囮のような真似をするならエマ様をお連れできない!」
「では直接言ってくださいよ」ベルタン侯爵が困ったような声を上げた。
そうこうしているうちに浮車のあるところへたどり着いた。
浮車の入口のドアを開けたミスター・カーライルが、顔をのぞかせると、シュヴァリエが気がついた表情で声を荒げた。
「アンドリュー! なぜ足で向かわないのですか?」
「攻撃は受けないはずだ」
ベルタン侯爵はミスター・カーライルの横をすり抜けてそのまま乗車したが、シュヴァリエは私の手を握ったまま、中へは入らず手前で立ち止まっている。
「なぜですか?」
「……ピーターだったら、私と話をしたいだろうからだ」
「ミスター・チェンバレンではなかったら?」
「ピーター以外が魔法を使うとは思えない」
「目覚めた誰か他の者かもしれませんよ?」
「そうかもしれないが、そうだとしても私には敵わないはずだ」
「根拠は?」
「私は60年以上修行を続けている」
シュヴァリエはそれを聞いて言い淀んだように押し黙ったが、意を決した表情でミスター・カーライルに言葉を返した。
「アンドリュー以上の者がいるかもしれない!」
「……そうだとしても、このまま逃げていたら始まらない! ミセス・グリフィンが死んだらどちらにせよ終わりだ。ミスター・グリフィンといえど、守りきれるかはわからない!」
「エドは天才だ」
「確かに、私よりも強い。だからと言って、守りきれるかどうかは別問題だ。その大元を断ち切らなければならないだろう?」
「しかし囮のような真似をするなんて」
「ミス・ヴァロワは大丈夫だ。防御魔法から教えたし、私以上の使い手になる可能性も秘めている。ちょっとやそっとの攻撃ではかすり傷すら負わない」
シュヴァリエはまだ躊躇っている。
「レオ!」
もう、迷っている場合じゃないし、行かなきゃ始まらないでしょうが!
私はシュヴァリエに繋がれていた手を今度は私が引っ張って、浮車に乗った。
「行きましょう」
私がそう言うと、ミスター・チェンバレンは頷き返した。
浮車はすぐに浮かび上がり、まだ椅子に座っていなかった私はよろめいた。
物凄いスピードで上昇したが、すぐに止まり前進へと切り替わる。バランスを取ることができず、床に尻もちをつきそうになったが、つく前にシュヴァリエが支えてくれた。
シュヴァリエは、また悲壮な顔をしている。
バカね。
私は両手をシュヴァリエの背中に回して軽くなでた。
シュヴァリエは何を勘違いをしたのか、支えていた手を抱きしめるようにして私の背中に回してきた。
まあ、今回は許してあげよう。
これで気持ちが落ち着くならいいわ。
少しは冷静になりなさいよ。
バカの一つ覚えみたいに私を守るなんてばかり言ってないで、あんたにしかできない仕事があるんでしょう?
少佐と名乗るのなら、騎士ならば、私だけでなく国をも守りなさいよ。
私はあんたにも使えない魔法が使えるのよ?
ミスター・カーライルも言ってたじゃない?
「私以上の使い手になるかもしれない」って。
逆に私があんたを守ってあげるわ。
人のことばかり守ろうとしてないで、自分の身も案じて欲しいわ。
そんなんじゃ危なくて一人にさせておけない。
シュヴァリエが私から離れないようにするんじゃなくて、私があんたから離れられないわ。
書類や食料などの荷物をまとめているときにベルタン侯爵が声をかけてきた。
「あれはただの……」執事ではないし、私の騎士ですって言うのも恥ずかしいわね。何て言えばいいの?
ベルタン侯爵は私が途中で言葉を止めたので、不思議そうな表情を浮かべたが、何か思い至ったのか、にやりと含みのある笑みを浮かべて続けた。
「惚れるよりも惚れられる方がいい性分の方はいらっしゃいますからね」
ん? どういうこと?
「ベルタン侯爵も令嬢を追うよりも、相手の気持ちを受け止めた方が合ってらしたということですか?」
ベルタン侯爵は笑い声をあげて言った。「そうですね。僕も、ミス・ヴァロワもそちらの性分ということです」
私も?
惚れた、というか気を惹こうとしたシャイン伯爵やコンティ公爵よりも、私に惚れている相手の気持ちを受け止めた方が性分に合っているってこと?
「まあ、気が強いタイプは恋愛面では受け止めてあげる側なんですよ」
受け止めてあげるだなんて、言い方が不遜だわ。でもなんとなく納得してしまう。ベルタン侯爵はいつも笑顔だし、親切な紳士だから穏やかな方だと思っていたけど、実は好戦的で激しい性質を持っていたことが少しずつわかってきた。
「行きましょう」
準備ができたようで、荷物を背負ったシュヴァリエがやってきた。
「あ、先に行ってください。すぐに追いつきますから」
そう言って、ベルタン侯爵が足早にドアの向こうへ消えていくと、入れ替わりにシャイン伯爵が顔をだした。
「ミス・ヴァロワ、どうかお気をつけください」シャイン伯爵が私の手を取って持ち上げる。
「はい。ありがとうございます」礼を失しないように膝を曲げてそれを受けた。
「諸国を回って知見を深め、国事に励んで参りましたのに、この国難において無力であることが大変遺憾です」鎮痛な表情だ。
そうか。国一番と評さていれるシャイン伯爵でも至らないところがあるんだ。コンティ公爵もそうだった。病弱なのは至らない点ではないけれど、ミス・マリオンに言いようにされて窘められない気の弱さは自らのものだわ。
「大丈夫ですわ。私たちでなんとか国をお守りいたしますから」
思わず口について出た。
「ミス・ヴァロワは相変わらずのお方ですね。お美しく聡明で、ご立派でいらっしゃる」
今さら褒めても遅いわよ。嬉しいけど。
「それではご帰還をお待ちしております」
シャイン伯爵が頭を下げたので、私もそれに倣った。
さてシュヴァリエ、行くわよ。
出発をするために振り返ったのだが──シュヴァリエがいない。
あれ? どこに行ったのかしら?
司令本部を出ると、ミスター・カーライルとベルタン侯爵が既に準備を整えて待っていた。
「シュヴァリエは?」
「ミス・ヴァロワとご一緒だと思っておりましたが」ベルタン侯爵が答える。
本当にどこ行ったのよ?
そこで三分ほど待ったが一向に現れない。
私は落ち着かず気持ちが焦って仕方がなかったが、ミスター・カーライルは平然としている。と、思ったらいきなり飛び上がった!
「ミス・ヴァロワ!」ベルタン侯爵が叫ぶ。
なに?
空が薄暗くなった。いや違う。紫色の光が本部を囲うように地面から半球形に広がっている。ミスター・カーライルは宙に浮いていて、その同じ紫色の光に全身が包まれている。ミスター・カーライルの魔法?
直後に立っていられないほどの衝撃と、耳をつんざく轟音がした。
「安全どころじゃない」
そう言っていつの間にか現れたシュヴァリエが、私を支えるように抱き上げた。
「何だったのよ?」
シュヴァリエは私を抱えたまま、本部へ向かって駆けている。
「攻撃ですよ」
それはわかるけど、そうじゃなくて
「どこ行ってたのよ!」
「お邪魔かと思いまして」
お邪魔?
攻撃は思ったよりも早く収まった。紫色の光を突破することができなかったからなのか、振動と轟音だけで被害はないようだった。
シュヴァリエは本部の入口で私を抱き上げたまま空を見上げて静止していたが、ミスター・カーライルが降りてきたことで攻撃が止んだことを悟ると、私を地面に下ろした。
「なにも抱きかかえなくてもいいのに大袈裟よ」
少し恥ずかしかったから軽口がついて出た。
「エマ様を守ることはおろか、戦術を組むこともできず、さらには他の令嬢にも言い寄っている、あんな男のどこがいいんですか?」シュヴァリエは吐き捨てるように言う。
どうしたのよ? それシャイン伯爵のこと?
「シュヴァリエ少佐、行きましょう」
数メートル離れたところからベルタン侯爵が声を上げた。
「承知しました。エマ様、行きましょう」
シュヴァリエが私の手を引いて、走り出したベルタン侯爵の後を追う。
ベルタン侯爵は速度を揃えようとしたのか、後ろを振り返りながら走っていたのですぐに追いついた。
横に並んだベルタン侯爵にシュヴァリエが声をかける。
「アンドリューは?」
「浮車です。低空飛行で向かうそうです」
「見つかるのでは?」
「むしろその方がいいと」
ベルタン侯爵の返答にシュヴァリエは舌打ちをした。
「つまり囮ですか? エマ様はどうするんだ!」
「ミスター・カーライルがいらっしゃれば攻撃を受けることはないでしょう」
先程の防御魔法を見ていたから、私もそう思った。
「囮のような真似をするならエマ様をお連れできない!」
「では直接言ってくださいよ」ベルタン侯爵が困ったような声を上げた。
そうこうしているうちに浮車のあるところへたどり着いた。
浮車の入口のドアを開けたミスター・カーライルが、顔をのぞかせると、シュヴァリエが気がついた表情で声を荒げた。
「アンドリュー! なぜ足で向かわないのですか?」
「攻撃は受けないはずだ」
ベルタン侯爵はミスター・カーライルの横をすり抜けてそのまま乗車したが、シュヴァリエは私の手を握ったまま、中へは入らず手前で立ち止まっている。
「なぜですか?」
「……ピーターだったら、私と話をしたいだろうからだ」
「ミスター・チェンバレンではなかったら?」
「ピーター以外が魔法を使うとは思えない」
「目覚めた誰か他の者かもしれませんよ?」
「そうかもしれないが、そうだとしても私には敵わないはずだ」
「根拠は?」
「私は60年以上修行を続けている」
シュヴァリエはそれを聞いて言い淀んだように押し黙ったが、意を決した表情でミスター・カーライルに言葉を返した。
「アンドリュー以上の者がいるかもしれない!」
「……そうだとしても、このまま逃げていたら始まらない! ミセス・グリフィンが死んだらどちらにせよ終わりだ。ミスター・グリフィンといえど、守りきれるかはわからない!」
「エドは天才だ」
「確かに、私よりも強い。だからと言って、守りきれるかどうかは別問題だ。その大元を断ち切らなければならないだろう?」
「しかし囮のような真似をするなんて」
「ミス・ヴァロワは大丈夫だ。防御魔法から教えたし、私以上の使い手になる可能性も秘めている。ちょっとやそっとの攻撃ではかすり傷すら負わない」
シュヴァリエはまだ躊躇っている。
「レオ!」
もう、迷っている場合じゃないし、行かなきゃ始まらないでしょうが!
私はシュヴァリエに繋がれていた手を今度は私が引っ張って、浮車に乗った。
「行きましょう」
私がそう言うと、ミスター・チェンバレンは頷き返した。
浮車はすぐに浮かび上がり、まだ椅子に座っていなかった私はよろめいた。
物凄いスピードで上昇したが、すぐに止まり前進へと切り替わる。バランスを取ることができず、床に尻もちをつきそうになったが、つく前にシュヴァリエが支えてくれた。
シュヴァリエは、また悲壮な顔をしている。
バカね。
私は両手をシュヴァリエの背中に回して軽くなでた。
シュヴァリエは何を勘違いをしたのか、支えていた手を抱きしめるようにして私の背中に回してきた。
まあ、今回は許してあげよう。
これで気持ちが落ち着くならいいわ。
少しは冷静になりなさいよ。
バカの一つ覚えみたいに私を守るなんてばかり言ってないで、あんたにしかできない仕事があるんでしょう?
少佐と名乗るのなら、騎士ならば、私だけでなく国をも守りなさいよ。
私はあんたにも使えない魔法が使えるのよ?
ミスター・カーライルも言ってたじゃない?
「私以上の使い手になるかもしれない」って。
逆に私があんたを守ってあげるわ。
人のことばかり守ろうとしてないで、自分の身も案じて欲しいわ。
そんなんじゃ危なくて一人にさせておけない。
シュヴァリエが私から離れないようにするんじゃなくて、私があんたから離れられないわ。
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