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15. シュヴァリエには考えがあるの?
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「えっと、シェーピングだったっけ?」馬上から私はシュヴァリエに聞いた。
「いえ、ウースタッドにいるようです」
なんでわかるの? あの紙片はいったい……。
シュヴァリエが私を見る。
「後ほどご説明いたします。今は急ぎましょう」
そうね。騎馬だから馬車よりも速いが、半日の距離だったからそれでも数時間はかかる。馬が疲れてしまう前に少しでも近づかなければ。
「アリシアに何が起きたの?」
「……エマ様のように命に関わることではないと思いますが」
いちいち私を引き合いに出さないで欲しいわ。
思ったよりも足の速い馬だったのか三時間ほどでシェーピングに到着した。
馬は限界だったので、厩を見つけて預けた。あとは足で行くしかない。
「場所は?」
シュヴァリエは私の質問には答えずに、街灯のあるメインストリートから外れて、店の裏通りとでもいえる薄暗い通りへと入っていく。人気がなく、馬車も走っていなければ喧騒も届かないような場所だ。
この先は草原か林しかないという街外れでいきなり立ち止まった。
「アリシア!」
シュヴァリエの声が大きく響く。
人声も物音もなく、風が木々の葉を揺らす音だけだ。
シュヴァリエはもう一度叫んだ。
「レオ……」
か細いその声と同時に、シュヴァリエに少女が抱きついた。
「アリシア、何があったんだ?」アリシアを抱きとめて聞いた。
「ママが捕まっちゃったの」
「えっ? どうして?」私は思わず声をあげた。
アリシアはシュヴァリエにしがみつきながら私に目を向ける。「……詐欺だって」
詐欺?
アリシアは続ける。「それで、お金を払えないならママも私も売りに出すからって、私も連れて行かれそうになったんだけど、逃げてきた……ママを置いて……」アリシアは泣き出した。「ママを置いて来ちゃったあ」
大声で泣き始めたアリシアをなだめるようにシュヴァリエは頭を撫でた。
「詐欺ってなに?」
私が聞いても、シュヴァリエは眉を下げるだけで何も言わない。
アリシアはシュヴァリエの腕の中で泣きじゃくっている。
どうしよう……
アリシアを見た後に再びシュヴァリエに視線を向けると、私に期待するような目を向けていた。
私? まあ、そうね。私がなんとかするしかない。
裁判所へ行ってみると、ハリエットの居場所がすぐにわかった。留置所にいるらしい。
夜も遅い時間だったが、留置されたばかりだったからか許可をもらえて、鉄牢越しではあるが面会することができた。
「アウグスト氏に騙されました」
ハリエットはそう言って涙を流した。
アウグスト氏に言われて確かに書類にサインはしたが、それは富くじ売りの契約書であって借用書にはサインをした覚えはない。とは言え、見せられた借用書には確かに自分のサインがあり、船旅代の請求だと言われたら間違いとも言えず、ハリエットは完全に否定することができなかったそうだ。
この留置所へ来て、同牢になった女性と会話をするようになり、その事情を話したら、同じような目に遭った女性の話を聞かせてくれたらしい。どうやらアウグスト氏は実業家ではなくここシェーピングに店を出している高利貸のようで、ハリエットのような貧民階級の女性が、以前にも同様に詐欺で捕まり、支払うことができず、その娘共々売られる身となったそうだ。
アウグスト氏に騙されたと言っても、あるのはハリエットに不利な証拠ばかりだ。
「最初からそのつもりで狙われていたのに気が付かなかった私は自業自得だとしても、アリシアは何も悪くないのに売られる身になるなんて……身を切られるより辛いことだわ」
そう言って嗚咽を漏らした。
元気づけようにも何と言えばいいのかわからない。
戸惑う私に気がついたように、ハリエットは続けた。
「アリシアがエマさんたちと一緒にいることがわかっただけで安心できました。重ね重ねありがとうございます」ハリエットは笑顔を向けた。
誰にも迷惑をかけずに母子二人で頑張ってきたばかりか、人助けをするような心根の優しいアリシアと、そう立派に娘を育てあげたハリエットが、なぜこんな目に遭わねばならないのか。
私が代わりに金を払ってやりたいところだが、利子で膨れ上がったのか、手持ちの分では足りなかった。父に送金してもらうか、母に頼み込むか……私の財産はランスの銀行に入ったままで、母の元へ落ち着いてから手続きをするつもりでいたから手持ちは少なかったのだ。
シュヴァリエが近くに宿を取ってくれて、三人で部屋に落ち着いたあとハリエットから聞いた事情を話した。アリシアは不安が収まらない様子で泣き続けていたが、母は留置所にはいるが縛り上げられているわけじゃないと説明をすると落ち着いたようで、ベッドに横になるとそのまま眠ってしまった。
「父でも母でも頼めば送金してくれると思うけど、受け取れるのがいつになるかが問題ね。こんな時間じゃ郵便も銀行も開いてないから何も聞けないし」
私は宿屋に注文したワインを開けながら言った。
「ミス・ハリエットの支払い期限はいつなんですか?」
シュヴァリエは食い気のようで、夜食を部屋に持ち込んで食べている。
「期限は過ぎているみたい。だから逮捕されたわけだけど、最終期限は明後日ね。利子がつくからさらに高くはなるけど明後日までに支払えば保釈されるみたい」
「二日ですか……」シュヴァリエはベッドで寝ているアリシアを見て考え込んだ様子のあと、私を見て言った。
「そのミス・ノルドクヴィストがサインした書類ですが、契約書と借用書って見間違うようなものなんですか?」
「書面を見たわけじゃないけど、形式は全然違うと思う。それにサインをする前に普通内容くらい読むわよね」
「ミス・ノルドクヴィストは読まないような方なんですか?」
うーん……女手一つでアリシアを育てて、他国にまで渡るような人が、内容を読まずにサインをするような杜撰な性格だとは思えない……
「他人を指摘するとき、自分に後ろ暗いことがあるからという場合がありますよね?」
私が黙っているとシュヴァリエは独り言のようにつぶやき始めた。「金貸しに金を返せないって詐欺か? お前が詐欺師だから出てきた言葉なんじゃないか? ……期日までに返せるかもしれない人間を逮捕するのもおかしい」
シュヴァリエがいきなり立ち上がったので驚いた。
「なに?」
「エマ様、お手を貸していただけませんか?」
「お手?」
「いえ、ウースタッドにいるようです」
なんでわかるの? あの紙片はいったい……。
シュヴァリエが私を見る。
「後ほどご説明いたします。今は急ぎましょう」
そうね。騎馬だから馬車よりも速いが、半日の距離だったからそれでも数時間はかかる。馬が疲れてしまう前に少しでも近づかなければ。
「アリシアに何が起きたの?」
「……エマ様のように命に関わることではないと思いますが」
いちいち私を引き合いに出さないで欲しいわ。
思ったよりも足の速い馬だったのか三時間ほどでシェーピングに到着した。
馬は限界だったので、厩を見つけて預けた。あとは足で行くしかない。
「場所は?」
シュヴァリエは私の質問には答えずに、街灯のあるメインストリートから外れて、店の裏通りとでもいえる薄暗い通りへと入っていく。人気がなく、馬車も走っていなければ喧騒も届かないような場所だ。
この先は草原か林しかないという街外れでいきなり立ち止まった。
「アリシア!」
シュヴァリエの声が大きく響く。
人声も物音もなく、風が木々の葉を揺らす音だけだ。
シュヴァリエはもう一度叫んだ。
「レオ……」
か細いその声と同時に、シュヴァリエに少女が抱きついた。
「アリシア、何があったんだ?」アリシアを抱きとめて聞いた。
「ママが捕まっちゃったの」
「えっ? どうして?」私は思わず声をあげた。
アリシアはシュヴァリエにしがみつきながら私に目を向ける。「……詐欺だって」
詐欺?
アリシアは続ける。「それで、お金を払えないならママも私も売りに出すからって、私も連れて行かれそうになったんだけど、逃げてきた……ママを置いて……」アリシアは泣き出した。「ママを置いて来ちゃったあ」
大声で泣き始めたアリシアをなだめるようにシュヴァリエは頭を撫でた。
「詐欺ってなに?」
私が聞いても、シュヴァリエは眉を下げるだけで何も言わない。
アリシアはシュヴァリエの腕の中で泣きじゃくっている。
どうしよう……
アリシアを見た後に再びシュヴァリエに視線を向けると、私に期待するような目を向けていた。
私? まあ、そうね。私がなんとかするしかない。
裁判所へ行ってみると、ハリエットの居場所がすぐにわかった。留置所にいるらしい。
夜も遅い時間だったが、留置されたばかりだったからか許可をもらえて、鉄牢越しではあるが面会することができた。
「アウグスト氏に騙されました」
ハリエットはそう言って涙を流した。
アウグスト氏に言われて確かに書類にサインはしたが、それは富くじ売りの契約書であって借用書にはサインをした覚えはない。とは言え、見せられた借用書には確かに自分のサインがあり、船旅代の請求だと言われたら間違いとも言えず、ハリエットは完全に否定することができなかったそうだ。
この留置所へ来て、同牢になった女性と会話をするようになり、その事情を話したら、同じような目に遭った女性の話を聞かせてくれたらしい。どうやらアウグスト氏は実業家ではなくここシェーピングに店を出している高利貸のようで、ハリエットのような貧民階級の女性が、以前にも同様に詐欺で捕まり、支払うことができず、その娘共々売られる身となったそうだ。
アウグスト氏に騙されたと言っても、あるのはハリエットに不利な証拠ばかりだ。
「最初からそのつもりで狙われていたのに気が付かなかった私は自業自得だとしても、アリシアは何も悪くないのに売られる身になるなんて……身を切られるより辛いことだわ」
そう言って嗚咽を漏らした。
元気づけようにも何と言えばいいのかわからない。
戸惑う私に気がついたように、ハリエットは続けた。
「アリシアがエマさんたちと一緒にいることがわかっただけで安心できました。重ね重ねありがとうございます」ハリエットは笑顔を向けた。
誰にも迷惑をかけずに母子二人で頑張ってきたばかりか、人助けをするような心根の優しいアリシアと、そう立派に娘を育てあげたハリエットが、なぜこんな目に遭わねばならないのか。
私が代わりに金を払ってやりたいところだが、利子で膨れ上がったのか、手持ちの分では足りなかった。父に送金してもらうか、母に頼み込むか……私の財産はランスの銀行に入ったままで、母の元へ落ち着いてから手続きをするつもりでいたから手持ちは少なかったのだ。
シュヴァリエが近くに宿を取ってくれて、三人で部屋に落ち着いたあとハリエットから聞いた事情を話した。アリシアは不安が収まらない様子で泣き続けていたが、母は留置所にはいるが縛り上げられているわけじゃないと説明をすると落ち着いたようで、ベッドに横になるとそのまま眠ってしまった。
「父でも母でも頼めば送金してくれると思うけど、受け取れるのがいつになるかが問題ね。こんな時間じゃ郵便も銀行も開いてないから何も聞けないし」
私は宿屋に注文したワインを開けながら言った。
「ミス・ハリエットの支払い期限はいつなんですか?」
シュヴァリエは食い気のようで、夜食を部屋に持ち込んで食べている。
「期限は過ぎているみたい。だから逮捕されたわけだけど、最終期限は明後日ね。利子がつくからさらに高くはなるけど明後日までに支払えば保釈されるみたい」
「二日ですか……」シュヴァリエはベッドで寝ているアリシアを見て考え込んだ様子のあと、私を見て言った。
「そのミス・ノルドクヴィストがサインした書類ですが、契約書と借用書って見間違うようなものなんですか?」
「書面を見たわけじゃないけど、形式は全然違うと思う。それにサインをする前に普通内容くらい読むわよね」
「ミス・ノルドクヴィストは読まないような方なんですか?」
うーん……女手一つでアリシアを育てて、他国にまで渡るような人が、内容を読まずにサインをするような杜撰な性格だとは思えない……
「他人を指摘するとき、自分に後ろ暗いことがあるからという場合がありますよね?」
私が黙っているとシュヴァリエは独り言のようにつぶやき始めた。「金貸しに金を返せないって詐欺か? お前が詐欺師だから出てきた言葉なんじゃないか? ……期日までに返せるかもしれない人間を逮捕するのもおかしい」
シュヴァリエがいきなり立ち上がったので驚いた。
「なに?」
「エマ様、お手を貸していただけませんか?」
「お手?」
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