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未熟な農家さん

はじめてのよろこび

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 ー午前6時
 今日もおはよう…。また一日が始まって…終わるんだ…。
 とにかく起きよう…。

 ー午前7時
 朝ごはんや着替えを済ませて…仕事の準備が整ったら…家を出る…。いつものこと…。でも今日は…一気に目が覚めた…!
 「これは…!」
 作物が……実っている…!!
 「ど…どうしよう…普通に取っちゃっていいのかな…?」
 「説明しよ~!」
 「あれっ?!アミィ…?」
 「おはようアルくんっ!」
 「お…おはよぅ…。」
 「アミィエールの効果でみんなよりかなり早く収穫できるよ!やったね!」
 「なんか…でも…お手本がわかんないのが…。」
 「そう思って来ちゃいました!アミィちゃんです!」
 アミィが奇怪なポーズをとった…。
 「それで…どうするの…?」
 「まずは作物の前に立ってAボタンを…」
 「……真面目に…。」
 「ごめんごめん!え~っと…ポジャの実は毒のある部分に気をつけて掘り起こして…。」
 アミィが作物の説明とともに収穫を手伝ってくれた…。
 「えっと…アミィ…なんで本職の僕らよりもよく知ってるの…?」
 「や…やだなぁ~。アルくんってあんまりお勉強しない子?言いづらいけど基本の作物だよ~。」
 「う…その通り…未熟者でした…。」
 「ボクが教えてあげるから!いつでも頼ってくれていいよ!」
 「ありがとう…。でも…次からは…もう大丈夫…!」
 「その調子だよ!」
 アミィはグッと拳を握って応援してくれた…。

 ー午後9時
 2人でたくさんの作物を収穫した…。
 「ふぃ~っ!これで全部だ!やったねアルくん!」
 「これ…全部僕のなんだ…!」
 目の前には、大量に収穫した作物がまとめられている。
 「ね!これはアルくんが初めて収穫した作物!記念にいつまでもとっておきたいくらいだね!」
 「それは……うん…。」
 「…ま、まあ!喜んでいいと思うよ!だって村のみんなが食べるものをアルくんが作ったんだから!」
 「そうか…僕は…もう…大人…。これが…働くということ…。」
 「そうそう!作ってみるとようやく実感するよね!」
 「うん……。すごく嬉しい…!」
 「ん!今のアルくん!すっごくいい笑顔!」
 そう言って笑ってくれたアミィも…誰よりも優しい笑顔だった。

 ー午後11時
 アミィと一緒にグリン村長のところにきた。
 「村長…作物が…収穫できたよ…。」
 「な!なんと!早いのォ!他のみんなはまだ芽が出た頃じゃろう!一体どんな秘術を使ったのじゃ!」
 「ふっふ~!」
 「む、アミィ…!ということは…まさしく秘術を使ったのじゃな…!」
 「もしかして…だめだった…?」
 「そんなことあるものか!でかしたぞ!アル・エリンティア!村への貢献大変感謝じゃ!なぁに、プロミスだって秘術みたいなものじゃろ?便利なものは使ってナンボじゃ!」
 「やったねアルくん!褒められちゃった!」
 「やっぱりアミィは…すごいよ…。」
 「アルくんだって!」
 「まあ謙遜合戦はそれくらいにして…わしからすれば両方ともすごいぞよ。そうじゃのォ…アミィの秘術…みんなにも…。」
 「いや、これは…」
 「…やはりそうか。一般化したくないんじゃな?」
 「…うん…。」
 アミィは…理由を言わなかった…。
 「まぁいいじゃろう!その権利や重要性を1番知ってるのは他ならぬアミィじゃからの!」
 流石村長…強制はしない…。
 「ところで作物は…どうしたらいい…?」
 「適度に自分が必要な分を除いたら市場へ送るといいぞ。二ーディに替えてもらえるからの。」
 「そしてその二ーディでジェイクさんから種を買おう!」
 「アミィは…ほんとに詳しいね…。」
 「ふふ~ん!別にアルくんに説明するためにわざわざ覚えてきた訳じゃないからね~!」
 「言うてしまっておる…。」
 「アミィがいると…助かるよ…。」
 「そう言って貰えると…ボクも嬉しい…。」
 「若さをわしに見せつけにきたんか。」
 「おっとっと…じゃあボクらはこれで失礼しようか。」
 「うん…ありがとう…村長。」
 「うむ!達者で励むのじゃぞ!2人とも!」
 「ばいば~い!」
 僕達は村長の家を後にした…。

ー午後12時
 今日もハングリーラビットに…
 「今日は!おうちご飯だよ~!」
 来ていない…。今日は…アミィがご飯を作ってくれるという…。
 「収穫したポジャの実はお腹がすごく膨れるからね!バキュカ草も合わせていただこう!」
 「アミィの料理…楽しみ…!」
 「今回はもう張り切っちゃう!アルくんの用意してくれた材料だからね!」
 「これも使うの…?」
 「そう!モモちゃんとタマちゃんの愛の結晶!これもしっかりいただきます!」
 アミィは用意した材料を使って様々な料理を作り始めた…。
 「ふふ~ん…ポジャの実を潰して切ったバキュカ草にタマちゃんの卵から作った特性ソースと和えて~…。」

ー午後1時
 「さあっ!召し上がれ!」
 テーブル一杯にお皿が並んだ…!
 「すごい…2種類の野菜とミルクと卵だけでこんなに…!」
 「ボクの実力はよ~く知ってるでしょ?」
 「うん…はやく…食べたい…」
 「じゃあ食べましょうか!」
 「うん…!」

 アミィと一緒に昼食をとった…

 「アミィはやっぱりすごいね…」
 「どうしたの?」
 「いや…ほんとのことだから…」
 「アルくんだってすごいよ!だって、このお料理の材料、ぜ~んぶアルくんが作ったんだよ?!」
 「それは…アミィが手伝ってくれたから…」
 「も~!そんなこと言わないの!アルくんが一生懸命作ったお野菜、すっごいおいしかった!」
 「…ありがと」
 「素直が1番!」
 「…ねぇ、アミィ…」
 「ん~?」
 「ん…いや…やっぱり…」
 「はっきり言ってみて?」
 「……僕…なんだか…アミィといると…すごく居心地がいいんだ…」
 「ボクもだよ!」
 「アミィ…どうしてそんなに優しいの…?」
 「どうしてってそりゃあ…」
 「…そりゃあ…?」
 「ア…アルくんが…」
 「……」
 バターン!
 唐突にドアが開け放たれる…
 「いやっほうアル!あんたなんでもう野菜できてんのよっ!教えなさいよ!」
 「………」
 「あれ?アミィ?…なんで?」
 「むむむむぅ~!ミカ~!なんでキミはいっつもタイミングが悪いのかな~!」
 「え?なに?なんのこと?」
 「アミィに手伝ってもらったから…一緒にご飯…食べてたの…」
 「流石アミィ!またアルにアタックしてるのねー!」
 「こらっ!余計なことを言うんじゃないっ!」
 「あははは!ごめんごめん!…それで?うまくいったの?」
 「あのねぇ…今すご~くいいところだったんだよ…?」
 「ふぅ…ギリギリセーフ…」
 「アウトだよっ!」
 「なんの…話…?」
 「いやいや!なんでもないんだよぅ!」
 「ところでアル!なんでこんなに収穫がはやいの!」
 「それは…」
 僕はアミィの方をみた…
 「攻略法は人それぞれってことですな!」
 「なによそれー!」
 アミィはミカには教える気はないらしい…
 「そう…なんか…なった……」
 「きいた私がばかだったわ」
 「そんな言い方ないでしょ!」
 「なによー!」
 なんか最近この2人…仲悪い…?

ー午後2時

 「それで?アミィちゃんはアルの何をお手伝いしたのかしらー?」
 「それはだね…あの…収穫とかほにゃほにゃ…」
 「そう…収穫が多かったから…手伝ってもらって…あと…村長のとこの手続きとかも手伝ってくれたよ…」
 「あらそう…」
 「そうそう!」
 「まぁいいわ!私は私なりにやってみる!邪魔してごめんねー!」
 嵐のように去っていった…
 「ごご…ごめんね…なんか恥ずかしいや…」
 「なんでだろ…」
 しばらく沈黙が続いた…
 「あ!そうだ!アルくんの説明書、アップグレードされたんじゃない!?」
 「そうかも…!」
 本棚から説明書を取ってきた…
 案の定説明書は見た目が変わっていた…!
 「青い表紙の説明書」は「緑の表紙の説明書」になっていた…!
 「やっぱり…更新されてる…」
 「ちょっとみてみようか!」
 『わしじゃ!グリンじゃ!いよいよこの時が来たな…そう!収穫の時じゃ!おぬしらは苦労して作物を育ててきたじゃろう…その結果がついに実となって現れる!それが収穫!』
 「なんか僕…ずるい…?」
 「いやいや!そんなことないって!」
 『まずは作物の前に立ってAボタンを…なんての!冗談じゃ!』
 「…………」
 『作物の項目にそれぞれの収穫の方法が記してあるからの、それを参考にしてやってみるとよい!採れた作物は必要な分を除いて村長のわしのところに持ってくるのじゃぞ!それじゃあ頑張っての!』
 「アミィのおかげで全部終わってるよ…」
 「ふふ~ん!」
 「ありがとうアミィ…」
 「いえいえっ!」
 「村長のところに持ってった分だけ二ーディも送られてくるみたいだから…明日また種を買ってまくことにする…」
 「これからもがんばろうね!」
 「アミィのお仕事の方はどうなの…?」
 「ボクはねぇ~まぁ~いろいろかな~」
 「僕にも手伝えること…ない…?」
 「実は手伝ってたりして」
 「どういうこと…?」
 「簡単にいえば…そう!実験体!みたいなね!」
 アミィは妖しく笑った…
 「それは…」
 「まあ色々考えたけどアミィスペシャルはまだ改良しなきゃみんなには渡せないね」
 「やっぱりそう…」
 「あ、でもアルくんの畑が荒れちゃったとか作物がダメになったとかじゃないよ?ただ、まだちょっと良くないってだけ!」
 「美味しかったから…そこは心配してないよ…」
 「あとは畑がちょっと疲れちゃったかもしれないから少しだけ気をつけてあげてね」
 「副作用…ってやつ…?」
 「これをより抑えられれば実用化できるんだけど…でもその分すごく早く育ったはずなんだよね。この効能を抑える形にしてリスクも抑えていけばより使い易く…」
 アミィはぶつぶつと何かを言っている…
 「あ、ごめんごめん!とにかく!アルくんにはかなり手助けされているから!大丈夫だよ!」
 「それなら…いいけど…」
その後もしばらく…アミィと過ごした…

ー午後5時
 ハングリーラビットに行くことにした…
 「一緒にいこうね~」
 アミィも一緒に…
 中に入ると案の定みんなに話が伝わっていた…
 「お、アル!お前もう作物が実ったんだって?」
 「少し早すぎませんか…?私のところはまだ芽が出たくらいですよ」
 「魔法か?魔法なのか?!」
 「チェリッシュが…いい線いってる…」
 「アルくん…しーっ!」
「なんだなんだぁ?」
 「言わない…」
 「アミィー!お前だなー!」
 「なんのことかな~」
 「まあ、私たちもすぐに作物は育つでしょうから、そんなに騒ぐことでもないかもしれませんね」
 「とはいってもよぉ」
 「なんかねーアミィもアルも教えてくれないんだよー」
 「ミカにも教えてやれないってのかい?」
 「それはあんまり…関係ない…」
 「ははっ、だよな」
 「ちょっとチェリッシュ!もうちょっと粘って!」
 「まあいいじゃねぇか。話したくないんだろ?」
 「だってさっきのみた?!絶対あれ、2人だけの秘密~みたいなやつだよ!」
 「なんで家族のあんたがヤキモチやいてんのさ…」
 「や…ヤキモチってなによー!」
 「騒ぐな騒ぐな。全く…何の話してんだよお前ら」
 「アルとアミィがおアツいっていう」
 「なにーー!!」
 「あんたが1番うるさいよ…」
 「もう…なんでみんなそ~いうのに敏感なの…」
 「そりゃあ抜けがけされると困るから…」
 「大丈夫…ビットもすぐ育つから…」
 「なんかお前はほんとあんまりわかってなさそうだよな…」
 「ね、安心でしょう?」
 「いやでもアミィがマジだろあれは…」
 「それはもう仕方ないのでは?」
 「まあ…お似合いといえばお似合いだしな…」
 「何考えてるかわかんないですからね…」
 「こらっ!きこえたよ!」
 「うわっと!ひゅっ…ふす~…」
 「誤魔化し方が露骨だよっ!」
 「まあまあ、聞こえた通りだよ。うん、応援する、応援するよ俺たち」
 「ホント!?」
 「あなたたちはもう私たちの手の届かないところにいそうですから…」
 「ふっふっふ~」
 「あ、でも露骨なことしやがったら容赦しないからな!」
 「望むところさ~」
 「あんたたち!はやく席につきな!」
 「あ、すんません!」
  みんなでご飯を食べた…


ー午後7時
 アミィとも別れて家に戻ってきたよ…
 今日もアミィにたくさん助けられちゃった…
 はじめて自分で作物を育てて…それを村に納めて…僕はもう大人になったんだ…
 明日からまた頑張って…もっと村に貢献するぞ…!
 でも今日はもう眠いから…とりあえず…おやすみなさい…
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