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未熟な農家さん
村の外に出てみよう
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ー午前6時
昨日とは打って変わって晴天の空。
アミィに育ててもらった植物のツルが水を受けて輝いている。
まだほんとに種をまいたばっかりだから、逆にこんなに育っちゃうと不安になるかも…。
とりあえず、水をあげよう。
ー午前8時
水をあげてしまった…。うーん…もしかしてもうやることない…?
始めたばっかりの頃は本当に作物が実るまでやることないかも…。
「ぴんぽーんっ!」
「あれ?アミィ?」
「おはよ~。」
「あ…おはよ。」
「農家の皆さんは、どうやら今のところ水やりを終えたらそのあと暇になるって聞きましてねぇ~。」
「うーん…否定できないね…。」
「そこでやってきましたアミィちゃんです!」
「う…うん。」
「ちょっと、出かけませんか…?」
「え…?」
なんとなく照れくさそうにしながらアミィはこちらをのぞき込むように問いかけた。
「えっと…どこに?」
「村の外だよ。」
「何しに?」
「もう~質問しすぎ!」
「あ…ごめん。」
「まぁ~いいけど!じゃ、行こっか!」
「えと、僕まだ行くなんて…」
「あ、そかそか、ごめんね。早とちりしちゃった…。」
「あ、いや、でも…行こうか。」
「うん!」
アミィと同行することになった。
「じゃあ~出発進行~!」
「お…お~…。」
ー午前9時
「結構村から離れたね~。」
「帰れるよね…?」
「心配しないで~。もしもの時は転移魔法があるから~。」
「アミィ…そんなのも使えるの?」
「えっへへ~。」
「すごいね…アミィは。」
「昔からこれくらいしかやることなくてさ~。暇があったら魔導の本読んでて、気づけばできるようになってたの。」
「僕ももっと…しっかりおうちの仕事手伝っておけばよかったよ…。」
「大丈夫大丈夫!これからこれから!」
アミィは底抜けに明るい笑顔で励ましてくれる。なんだか本当に大丈夫な気がしてしまう…。
「…ありがとね。」
「んーん!」
またしばらく歩くと、どこからか小さな鳥が歩いてきた。
「あ!あれは!」
「ん…?うちの家畜と同じ鳥…?」
「そうそう!あれは鳥類モンスターのタマトッサだね!」
「タマ…トッサ。トトちゃんって名前じゃ…なかったんだ…。」
「捕まえたら名前をつけて所有出来るからねぇ。どう?アルくんも捕まえてみない?」
「どうすれば…いいの?」
「じゃあボクが手伝ってあげるねっ!」
アミィは待ってましたとばかりに手に持っていた杖を掲げる。
「アミィ…アミー!」
突如光の網のようなものがタマトッサを絡めとる。
「こかっ!」
効果はすごいけど…やっぱり名前…。
タマトッサは暴れていたが徐々に抵抗する力がなくなったようだ。
「…なんか、かわいそう…。」
「それは確かに…そうだけどさ。でも愛情込めて飼ってあげればもっと幸せになれるよ!」
「そう…?そうだよね。」
「じゃあ、その子の頭を撫でてあげて!それで、お願いするの!お手伝いして、って!」
「あ…タマ…トッサさん…お願いします…僕のお手伝いを…してください。」
「こけ!こっこけー!」
「わ…。」
タマトッサが光に包まれたと思ったら、もうその場にはいなくなっていた。
「成功だね!」
「えっと…これって…?僕にも魔法が使えたってこと…?」
「これはね、実は誰でも使えるんだよ。」
「えっ!そうなの…?」
「でもでも、その相手に対する想いが本物じゃないと使えないの。流石アルくん!ボクの思った通り!」
「じゃあ…あの子は…僕が…。」
「そう!アルくんの思いが通じて、あの子がアルくんにならお手伝いしてもいいよ!って思ったから成功したんだよ!」
「すごい…。」
「これはね、プロミスっていう魔法なんだよ。」
「プロミス…。」
「そう!だから、あの子のためにもしっかりお世話してあげてね…?」
「うん…!」
「じゃあ~もう少し進もっか!」
「うん…!」
ー午後0時
「ふわぁ~かなり歩いたねぇ~。」
「うん…。」
「でももう少し!ほらもうみえてくるよ!」
「ん…あ…!ここは…。」
「ね!綺麗でしょ!」
「タスフの村が…あんなにちっちゃい…。」
「登り坂で疲れたでしょ?実はボク、おべんと作ってきたんだ!ね、この景色みながら一緒にたべよ?」
「え…いいの?」
「もちろん!」
「あ…ありがと。」
「えへへ~こちらこそ~。」
「トカゲとか…入ってないよね…?」
「もう~失礼だぞ~!」
「あは…ごめんね。」
「ちゃあんと作ってきました!はい!」
「わ…すごい…。」
アミィのお弁当箱の中には、所狭しと美味しそうな食べ物が入っていた。
「これ…どうしたの?」
「そういうの聞いちゃうのは野暮だよ~。」
「ご…ごめんね。」
「でもこれぜ~んぶアルくんのために作ったんだ!食べて食べて!」
「ありがと。アミィ。」
「えへへ!」
アミィのお弁当は見た目を裏切らず、本当に美味しかった。
「ん、そういえばアミィ、どうして最近僕に構ってくれるの…?」
「え?」
「成長剤くれたり、こんなふうに色々手伝ってくれたり…。」
「もしかして…迷惑…?」
「いやいや!そんなこと…ないよ!」
「ならよかった!」
「う…うん。」
なんか、誤魔化された…?まぁいいかな。
「でも、嬉しいよ。僕って…こんなだからさ。アミィみたいに明るい子がいてくれると、なんだかとっても楽しい…。」
「ボクもアルくんみたいに大人しい子が一緒だと気持ちが楽なのさ~。」
「そういうこと…?」
「そうそう~そうだよ~。」
「…今度は僕が、何かしてあげなきゃね。」
「楽しみに待ってるよ~!」
アミィはそう言ってにっこり笑った。
「ありがと。とっても美味しかったよ。」
「ねぇー!美味しかったねー!」
「錬金術が得意だと…料理もできるのかな…?」
「ちょーっと似てたりするかなぁ?あはは。」
「アミィの連れてきてくれたこの場所も…すごく気に入っちゃった…。」
「やっぱり見晴らしのいい所で食べるお弁当は最高だねぇ~!」
「また…来たいな…。」
「行こうね~!」
「じゃあ…そろそろ帰ろうか?」
「そうだね!」
「あ…そういえば転移魔法あるんだっけ…?」
「あ…つ、使う?」
「ん…いや、やっぱり歩きたいな。」
「お、そう?」
「うん…もうちょっと…話したいかも…。」
「じゃあ~出発進行~!」
「お…お~…。」
ー午後3時
ようやく自分の土地に戻ってこられた。
「お疲れ様~。」
「疲れちゃった…。」
「でも楽しかったね~!」
「ほんとにね。」
「あ、みてあれ!」
「あ…タマトッサ…きてたんだね。」
「ねぇねぇ!この子に名前を付けてあげない?」
「そっか…もう僕が…飼い主…。」
「さぁさぁ!かわいい名前つけてあげて!」
「うー…ん…。そうだなぁ…。」
タマトッサ…うん…。
「タマ…。タマがいい…。」
「タマ!タマちゃんか~!いいね!すごくいい!流石アルくん!いい名前つける!!」
「そ…そんなにかな…。」
「よかったな~タマ~!」
「こけっ!」
「あ…そういえばどこで飼おう…?」
「専用の小屋があるよ。」
「じゃあ…タマ…君はここで暮らそうね…。」
「こけっ!」
新しくタマが仲間入りした。
「タマはね、卵を産んでくれるんだよ!」
「明日が…楽しみ…。」
「もしよかったらボクにも分けてね~。」
「うん。アミィのおかげ…だもんね。」
「アルくんの優しさのおかげだよ!」
「…今日はありがとね。」
「こちらこそ!楽しかった!」
「動物のお世話も加われば…これからもっと忙しくなるね。」
「う~ん、あんまり忙しくなって欲しくなかったり…えへへ。」
「アミィだってほんとは今だって忙しいんじゃ…?」
「そんなことないない!だから心配しないでもいいよっ!」
「…わかった。」
「じゃあまた遊ぼうね~!」
アミィは何度も振り返って手を振りながら帰って行った。
やっぱりアミィといると楽しい…。
ー午後5時
いつも通りレストランに来た。
「だからー…俺は見ちまったんだよ…!アミィとアルが仲良さそうにピクニックしてるのを…!」
「しっ!ご本人が来ましたよ…!」
「おっと、やべっ!」
「ん…?みんな、なんの話…?」
「いやいやいや!なんでもねぇよ?うん!」
「えぇ。取るに足らない話です。」
「ふーん…。」
「そうだそうだ!そういやよ、アル!お前って、気になる女子とかっていねぇの?」
「ちょっ、バカですか…!」
「…いいじゃねぇかよ…!」
「んー?気になる女子?」
「そうそう!」
「農家の中だとやっぱりミカかなぁ。なにせ双子だし気にならないわけないよね…。」
「あ…いや、そういうことでは…。」
「あー、なんか、ごめんな。…トーマス、こいつは多分ほっといてもいいやつだ…。」
「そうですね…。まぁ、何かあっても私達には関係ありませんしね。」
「…抜けがけされてもいいってのか…?」
「…いや、それは個人の自由ですし…。」
「…ねぇ、さっきからなんの話してるの?」
「あーいやいやいや!ほんとになんでもないから!」
「…そっか。なんか、変だね…今日は…。」
「おう…ごめんな。」
「ま、まあまあ、食べましょうか。」
「うん…そうする…。」
なんとなくぎこちない2人を横目にご飯を食べた。
ー午後7時
今日はお出かけして楽しかったけど疲れちゃった…。
アミィにはたくさんお世話になっちゃった…今度なんかしてあげようかな…。
…あれ?
本がまた変わってるみたい…。
説明書が「新品同様の説明書」から、「青い表紙の説明書」になった。
『モンスターを仲間にしよう』
「あ、もしかして…。」
『わしじゃ、グリンじゃ!お主らも農家なら家畜の1匹でも飼ってあげられれば良いの!というわけで今回は、家畜の飼い方のお話じゃ!』
「もう…飼ってるんだよね…。なんか、優越感…。」
『さて、みんな、まずは家畜というものについて教えないとじゃな。畑仕事のお手伝いや、副産物を授けてくれるのが家畜じゃ。
じゃあ、どうやって家畜を捕まえるのー?と思うじゃろ?じゃろ?実はの…魔法があるんじゃ。その名もプロミス!さぁ、思いを込めてモンスターの頭を撫でて、お願いしてみるのじゃ!手伝ってください、と!ちなみに、思いを込めないと手伝ってくれないからの!そこは要注意じゃ!ここが農家の器の別れどころかのう。頑張るんじゃぞ!』
僕はもう、仲間にしちゃったからね…。みんなよりリードしてるかも…。
あ、次のページもあるみたい…。
『モンスターのお世話』
…これはまだ…知らないかも…。
『やあやあ、モンスターを仲間にすることができたかのう?出来たらまずは、名前をつけてあげる事じゃ!仲良くなればなるほど貢献してくれるようになるぞぃ!
仲間になってくれたモンスターは、土地の中の小屋にいるんじゃ。ここで毎朝会ってあげて、プレゼントをあげるんじゃぞ!
ちなみに、好きなプレゼントはモンスターによって違うから色々あげてみるとよいぞ。
さぁ、たくさんの仲間たちを集め、大いに牧場を発展させるのじゃ!』
「…プレゼント。まだあげられるものは全然ないから…とにかく愛情込めて育てよう…。」
タマ…また明日…待っててね…今日はでも、もう寝るよ…おやすみなさい…。
昨日とは打って変わって晴天の空。
アミィに育ててもらった植物のツルが水を受けて輝いている。
まだほんとに種をまいたばっかりだから、逆にこんなに育っちゃうと不安になるかも…。
とりあえず、水をあげよう。
ー午前8時
水をあげてしまった…。うーん…もしかしてもうやることない…?
始めたばっかりの頃は本当に作物が実るまでやることないかも…。
「ぴんぽーんっ!」
「あれ?アミィ?」
「おはよ~。」
「あ…おはよ。」
「農家の皆さんは、どうやら今のところ水やりを終えたらそのあと暇になるって聞きましてねぇ~。」
「うーん…否定できないね…。」
「そこでやってきましたアミィちゃんです!」
「う…うん。」
「ちょっと、出かけませんか…?」
「え…?」
なんとなく照れくさそうにしながらアミィはこちらをのぞき込むように問いかけた。
「えっと…どこに?」
「村の外だよ。」
「何しに?」
「もう~質問しすぎ!」
「あ…ごめん。」
「まぁ~いいけど!じゃ、行こっか!」
「えと、僕まだ行くなんて…」
「あ、そかそか、ごめんね。早とちりしちゃった…。」
「あ、いや、でも…行こうか。」
「うん!」
アミィと同行することになった。
「じゃあ~出発進行~!」
「お…お~…。」
ー午前9時
「結構村から離れたね~。」
「帰れるよね…?」
「心配しないで~。もしもの時は転移魔法があるから~。」
「アミィ…そんなのも使えるの?」
「えっへへ~。」
「すごいね…アミィは。」
「昔からこれくらいしかやることなくてさ~。暇があったら魔導の本読んでて、気づけばできるようになってたの。」
「僕ももっと…しっかりおうちの仕事手伝っておけばよかったよ…。」
「大丈夫大丈夫!これからこれから!」
アミィは底抜けに明るい笑顔で励ましてくれる。なんだか本当に大丈夫な気がしてしまう…。
「…ありがとね。」
「んーん!」
またしばらく歩くと、どこからか小さな鳥が歩いてきた。
「あ!あれは!」
「ん…?うちの家畜と同じ鳥…?」
「そうそう!あれは鳥類モンスターのタマトッサだね!」
「タマ…トッサ。トトちゃんって名前じゃ…なかったんだ…。」
「捕まえたら名前をつけて所有出来るからねぇ。どう?アルくんも捕まえてみない?」
「どうすれば…いいの?」
「じゃあボクが手伝ってあげるねっ!」
アミィは待ってましたとばかりに手に持っていた杖を掲げる。
「アミィ…アミー!」
突如光の網のようなものがタマトッサを絡めとる。
「こかっ!」
効果はすごいけど…やっぱり名前…。
タマトッサは暴れていたが徐々に抵抗する力がなくなったようだ。
「…なんか、かわいそう…。」
「それは確かに…そうだけどさ。でも愛情込めて飼ってあげればもっと幸せになれるよ!」
「そう…?そうだよね。」
「じゃあ、その子の頭を撫でてあげて!それで、お願いするの!お手伝いして、って!」
「あ…タマ…トッサさん…お願いします…僕のお手伝いを…してください。」
「こけ!こっこけー!」
「わ…。」
タマトッサが光に包まれたと思ったら、もうその場にはいなくなっていた。
「成功だね!」
「えっと…これって…?僕にも魔法が使えたってこと…?」
「これはね、実は誰でも使えるんだよ。」
「えっ!そうなの…?」
「でもでも、その相手に対する想いが本物じゃないと使えないの。流石アルくん!ボクの思った通り!」
「じゃあ…あの子は…僕が…。」
「そう!アルくんの思いが通じて、あの子がアルくんにならお手伝いしてもいいよ!って思ったから成功したんだよ!」
「すごい…。」
「これはね、プロミスっていう魔法なんだよ。」
「プロミス…。」
「そう!だから、あの子のためにもしっかりお世話してあげてね…?」
「うん…!」
「じゃあ~もう少し進もっか!」
「うん…!」
ー午後0時
「ふわぁ~かなり歩いたねぇ~。」
「うん…。」
「でももう少し!ほらもうみえてくるよ!」
「ん…あ…!ここは…。」
「ね!綺麗でしょ!」
「タスフの村が…あんなにちっちゃい…。」
「登り坂で疲れたでしょ?実はボク、おべんと作ってきたんだ!ね、この景色みながら一緒にたべよ?」
「え…いいの?」
「もちろん!」
「あ…ありがと。」
「えへへ~こちらこそ~。」
「トカゲとか…入ってないよね…?」
「もう~失礼だぞ~!」
「あは…ごめんね。」
「ちゃあんと作ってきました!はい!」
「わ…すごい…。」
アミィのお弁当箱の中には、所狭しと美味しそうな食べ物が入っていた。
「これ…どうしたの?」
「そういうの聞いちゃうのは野暮だよ~。」
「ご…ごめんね。」
「でもこれぜ~んぶアルくんのために作ったんだ!食べて食べて!」
「ありがと。アミィ。」
「えへへ!」
アミィのお弁当は見た目を裏切らず、本当に美味しかった。
「ん、そういえばアミィ、どうして最近僕に構ってくれるの…?」
「え?」
「成長剤くれたり、こんなふうに色々手伝ってくれたり…。」
「もしかして…迷惑…?」
「いやいや!そんなこと…ないよ!」
「ならよかった!」
「う…うん。」
なんか、誤魔化された…?まぁいいかな。
「でも、嬉しいよ。僕って…こんなだからさ。アミィみたいに明るい子がいてくれると、なんだかとっても楽しい…。」
「ボクもアルくんみたいに大人しい子が一緒だと気持ちが楽なのさ~。」
「そういうこと…?」
「そうそう~そうだよ~。」
「…今度は僕が、何かしてあげなきゃね。」
「楽しみに待ってるよ~!」
アミィはそう言ってにっこり笑った。
「ありがと。とっても美味しかったよ。」
「ねぇー!美味しかったねー!」
「錬金術が得意だと…料理もできるのかな…?」
「ちょーっと似てたりするかなぁ?あはは。」
「アミィの連れてきてくれたこの場所も…すごく気に入っちゃった…。」
「やっぱり見晴らしのいい所で食べるお弁当は最高だねぇ~!」
「また…来たいな…。」
「行こうね~!」
「じゃあ…そろそろ帰ろうか?」
「そうだね!」
「あ…そういえば転移魔法あるんだっけ…?」
「あ…つ、使う?」
「ん…いや、やっぱり歩きたいな。」
「お、そう?」
「うん…もうちょっと…話したいかも…。」
「じゃあ~出発進行~!」
「お…お~…。」
ー午後3時
ようやく自分の土地に戻ってこられた。
「お疲れ様~。」
「疲れちゃった…。」
「でも楽しかったね~!」
「ほんとにね。」
「あ、みてあれ!」
「あ…タマトッサ…きてたんだね。」
「ねぇねぇ!この子に名前を付けてあげない?」
「そっか…もう僕が…飼い主…。」
「さぁさぁ!かわいい名前つけてあげて!」
「うー…ん…。そうだなぁ…。」
タマトッサ…うん…。
「タマ…。タマがいい…。」
「タマ!タマちゃんか~!いいね!すごくいい!流石アルくん!いい名前つける!!」
「そ…そんなにかな…。」
「よかったな~タマ~!」
「こけっ!」
「あ…そういえばどこで飼おう…?」
「専用の小屋があるよ。」
「じゃあ…タマ…君はここで暮らそうね…。」
「こけっ!」
新しくタマが仲間入りした。
「タマはね、卵を産んでくれるんだよ!」
「明日が…楽しみ…。」
「もしよかったらボクにも分けてね~。」
「うん。アミィのおかげ…だもんね。」
「アルくんの優しさのおかげだよ!」
「…今日はありがとね。」
「こちらこそ!楽しかった!」
「動物のお世話も加われば…これからもっと忙しくなるね。」
「う~ん、あんまり忙しくなって欲しくなかったり…えへへ。」
「アミィだってほんとは今だって忙しいんじゃ…?」
「そんなことないない!だから心配しないでもいいよっ!」
「…わかった。」
「じゃあまた遊ぼうね~!」
アミィは何度も振り返って手を振りながら帰って行った。
やっぱりアミィといると楽しい…。
ー午後5時
いつも通りレストランに来た。
「だからー…俺は見ちまったんだよ…!アミィとアルが仲良さそうにピクニックしてるのを…!」
「しっ!ご本人が来ましたよ…!」
「おっと、やべっ!」
「ん…?みんな、なんの話…?」
「いやいやいや!なんでもねぇよ?うん!」
「えぇ。取るに足らない話です。」
「ふーん…。」
「そうだそうだ!そういやよ、アル!お前って、気になる女子とかっていねぇの?」
「ちょっ、バカですか…!」
「…いいじゃねぇかよ…!」
「んー?気になる女子?」
「そうそう!」
「農家の中だとやっぱりミカかなぁ。なにせ双子だし気にならないわけないよね…。」
「あ…いや、そういうことでは…。」
「あー、なんか、ごめんな。…トーマス、こいつは多分ほっといてもいいやつだ…。」
「そうですね…。まぁ、何かあっても私達には関係ありませんしね。」
「…抜けがけされてもいいってのか…?」
「…いや、それは個人の自由ですし…。」
「…ねぇ、さっきからなんの話してるの?」
「あーいやいやいや!ほんとになんでもないから!」
「…そっか。なんか、変だね…今日は…。」
「おう…ごめんな。」
「ま、まあまあ、食べましょうか。」
「うん…そうする…。」
なんとなくぎこちない2人を横目にご飯を食べた。
ー午後7時
今日はお出かけして楽しかったけど疲れちゃった…。
アミィにはたくさんお世話になっちゃった…今度なんかしてあげようかな…。
…あれ?
本がまた変わってるみたい…。
説明書が「新品同様の説明書」から、「青い表紙の説明書」になった。
『モンスターを仲間にしよう』
「あ、もしかして…。」
『わしじゃ、グリンじゃ!お主らも農家なら家畜の1匹でも飼ってあげられれば良いの!というわけで今回は、家畜の飼い方のお話じゃ!』
「もう…飼ってるんだよね…。なんか、優越感…。」
『さて、みんな、まずは家畜というものについて教えないとじゃな。畑仕事のお手伝いや、副産物を授けてくれるのが家畜じゃ。
じゃあ、どうやって家畜を捕まえるのー?と思うじゃろ?じゃろ?実はの…魔法があるんじゃ。その名もプロミス!さぁ、思いを込めてモンスターの頭を撫でて、お願いしてみるのじゃ!手伝ってください、と!ちなみに、思いを込めないと手伝ってくれないからの!そこは要注意じゃ!ここが農家の器の別れどころかのう。頑張るんじゃぞ!』
僕はもう、仲間にしちゃったからね…。みんなよりリードしてるかも…。
あ、次のページもあるみたい…。
『モンスターのお世話』
…これはまだ…知らないかも…。
『やあやあ、モンスターを仲間にすることができたかのう?出来たらまずは、名前をつけてあげる事じゃ!仲良くなればなるほど貢献してくれるようになるぞぃ!
仲間になってくれたモンスターは、土地の中の小屋にいるんじゃ。ここで毎朝会ってあげて、プレゼントをあげるんじゃぞ!
ちなみに、好きなプレゼントはモンスターによって違うから色々あげてみるとよいぞ。
さぁ、たくさんの仲間たちを集め、大いに牧場を発展させるのじゃ!』
「…プレゼント。まだあげられるものは全然ないから…とにかく愛情込めて育てよう…。」
タマ…また明日…待っててね…今日はでも、もう寝るよ…おやすみなさい…。
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