ほしくずのつもるばしょ

瀬戸森羅

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おはなし

ムーンライト・ナイトスカイ

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 ボクは夜が怖かった
 布団に入る時、電気を消されてしまうと部屋の中は真っ暗になる
 オバケが出るぞ
 怖い話や映画が好きだったのに、その言葉が一番嫌いだった
 何も見えないはずの暗闇に何かが浮かぶ気がして
 部屋の隅っこの方で何かが蠢いているような気がして
 目が慣れた頃に、そこには何も無いとわかる
 でも、窓から差す月明かりが、死角に陰を作る時
 その後ろが化物の巣窟のような気さえして
 …とにかくボクは、夜が嫌いだった

 大人になってからは、オバケなんて信じなくなった
 むしろ闇を愛するくらいに思える
 どこにも居場所がないような気がしても、闇だけは全てを包み込んでくれた
 むしろあの物陰から、ボクの首を絞める手が伸びてきてくれたなら
 そう思うほどに
 でもそんな気分の時には
 月明かりがさらに眩しい

 ボクが大切なことを決めた日
 もうボクは夜の闇が怖くなくなっていた
 夜風がボクのコートをはためかせ
 眼下にさえ星空が広がっていた
 あと一歩踏み出せばボクは変われるんだ
 …なのに
 月明かりはまたボクの邪魔をするらしい
 あの時見た大きな大きな満月は
 ボクの足を止めてしまった

 あれからボクは、陽の光を浴びられるようになった
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