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第一章 灰姫と魔王
episode.15 魔の森までの障害
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どれだけ走ったのだろうか、ここからは見慣れた景色のはずなのに道が広がり遠くなったような感覚になる。どこへ向かって何をしようとしているのかそんな事を考えれば押し潰されそうになる。
「エレナ、着いたぞ」
身を隠しながら関門の方を確認する、兵士が二人ほど守るように立っているのが確認出来た。お父様は手で私に左側の兵士を倒すようにと合図をしてきた、私はそれに応えるように返して拳に力を込める。
剣は何処かに落としてきたので今の私に武器はなく、魔法を使えば音で大事になる気がするので今はこれしかない。
呼吸を整え、お父様に合わせるようにして飛び出す。
「なっ、お前ら何も…」私と目が合った瞬間、勢いに任せた拳を顔面に叩き込む。
色々な感情が乗った拳は思っていたよりも効いたようで、兵士はその場に倒れ込んでいた。追い打ちをかけるように勢いよく足を振り下ろし踏み潰す、声も出ないほどに叩き潰すことは出来たようでお父様の方も同じくして剣を納めていた。
「お父様、あれ」
私が指さした方にはこの兵士が使っていただろう馬が二頭繋がれていた。お父様は剣をもう一度抜き、繋がれていたロープを断ち切り馬の鞍に跨る。
「よし、行くぞ」
その間に城の兵士が追いかけて来る気配もなければ周囲に厳戒態勢が敷かれている様子も見られなく、跨った馬を操り関門の方へと駆け出していく。
依然としてお父様は行き先を伝えてくれなく黙ったまま走り出している、私と同じくかそれ以上に色々な感情が渦巻いているはすまなのにそれを堪えているのでしょうか。目的の場所に着いたら、落ち着いて話ができるといいのだけれど。
そんな事を考え走り出す馬に身を委ねながら思い出したことがあった、この関門を抜け走り抜けた先には魔の森が広がるだけだったのではと。門をくぐり抜けいよいよ国から出ることに成功する、辺りは先の見えない暗闇が広がっており月明かりだけが明るく照らされていた。
その中を一直線に私たちは駆けていく、私の思っていた通り不気味な雰囲気を漂わせていた魔の森に向かって。
「エレナ止まれ!!」
お父様は先ほどの勢いを殺しながらその場で馬を止めた、魔の森に向かうのでは無かったのかと思いながら私も馬を止める。
すると、私たちの目の前を数本の矢が地面に対して突き刺さる、それに驚いた馬が暴れそうになるが手綱を操りなんとか落ち着かせる。
「見つけたわよ反逆者オウル・オーエンス!!」
聞き覚えのあるその声は私たちと森を挟んだ位置から聞こえ、お父様はそれらを見つけたので止まったのだった。一連の騒動に深い関わりを持っているルーゼン、私の継母。
「観念なさい!ここで終わりよ!!」
そう言いながら手を挙げると目の前には城の兵士よりも多いと思われる数の敵影が確認できた、せっかくここまで来たのに、まさかお継母様に先を越され追い込まれるとは思いもよらなかった。内から湧き上がる感情を必死に抑えながらも、お父様の側に近寄って行く。
「お父様、どうしますか」
「正面突破しかない、目的は魔の森だ」
「やはりそうでしたか」
「いいか、私の側を離れるな」
「はい」
握られた手綱に力が込められる、ここで捕まるような事になれば待っているのは死あるのみ。あのお継母様が私たちを生かしたま捕らえるとは考えにくい、そう考えるとここが正念場となる。
乗り越えた先には何が待っているのか分からないが、お父様が目的としている以上何かがあるに違いない。魔獣を誘発しながら逃げ切るのか、それとも森の奥に隠れ家のようなものがあるのか。
「お前たち、生かしていくんじゃないよ!!」
その声と共に後方から弧を描くようにして、雨のような矢を降り注ぐようにして放たれた。私も何も考えずにここまで魔力を温存していたわけではない、今ここで使い切る場面だと思うからこそ効果を発揮する、燃費の悪い私にとってはそれが最善策となると信じていた。
お父様が私に止まれと命じた時から練っていた魔力を、この瞬間一気に解き放つ。
《フレイムウェーブ》
降り注ぐ矢に向けて腕を振り切り、放たれた炎の波は瞬く間に敵の矢を飲み込みすべてを燃や尽くした。これにより火蓋は切って落とされ敵がこちらに向かって襲いかかってくる、私とお父様も手綱を強く握りしめ敵陣に向かって駆け出していく。
「このまま私に続いて!!」
敵との距離はまだあり、先ほどよりもさらに魔力を練り上げて詠唱を唱える。一瞬だが苦しくも考えてしまった、リュシアン様と出会い先生の教えがなければここまで戦い抜く事とは勿論、この魔法を発現させる事は叶わなかったのだろうと。
『業火渦巻き 焔の終わりに 我が獄道 一切の灰すら赦さず 全てを炎が呑み込む』
両の手を前に突き出し力を込める。
「《フレイムテンペスト》!!!」
この魔法は辺り一面を巻き込むほどの巨大な竜巻を眼前に向かって放ち、凄まじい熱気とその業火が燃やし尽くしていく。灰も残さない程の圧倒的な火力と破壊力、私も殆どの魔力を使い切るほどの大魔法となり今はまだ一度しか使えない。
「お父様!!」
敵陣を真っ直ぐに抉り取り、立て直す前にそこを馬で勢いよく駆け抜ける。熱気が凄いがおかげで森までの道が出来た、遠くの方でお継母様が何やら叫んでいる声が聞こえたが前だけを見て馬を走らせる。
魔力を一気に使いすぎたせいで視界が少しぼやけるが今は気にしている余裕はない、おおよその方角だけを頼りに進む。
「エレナ避けろ!!」
その声に振り返るが目の前が真っ白になり何も見えない、気がつけば激しい爆発音が耳に響き馬と一緒に地面に転がっていた。「さらに追撃なさい!!」お継母様が指示をしたのだろう飛んできた何かは幸いな事に馬に命中したようで、私は落馬の影響で体を打っただけだった。
余計に目が虚ろになりながらその場に倒れ込みそうになるが、駆けつけたお父様によって支えられる。
「馬は……」
「走るぞ!!」
どうやら馬から飛び降りて私の下へと駆けつけてくれたらしく、ここからは走って森に向かう。視界は次第に開けてきたがずっと走り続けてきたせいか足は重りがついたように動きが鈍くなっていた、体の節々も限界を迎えこうして走っているのが奇跡にも思えてくる。
その間も、先ほどではないが矢や魔法がこちらに向かって飛んできていた、当たりそうなものはお父様が防いでくれてはいるがどこまで持つのか。
「お父様ここは別々に」
「喋るな走れ!!」
お父様だけでも逃がそうと思ったがそうはさせてくれないらしい、お父様も必死に私を守りながら走ってくれている。
「森に入れば何とかなる!」
確かに森に入れば木々の間に隠れて奥に逃げる事は出来るだろうが、中では魔獣に遭遇しないとも言えない。そんな危険な地帯を、この暗闇の中万全でない状態で走り抜ければならないのだ。
「逃がすんじゃないよ!!森に入っても追い続けな、あの二人の首を殺って来るまで許さないよ!!」
私の魔法で向こうも統率が乱れたらしく慌てた声がこちらにまで響き渡っていた、その中でも攻撃の手が緩まることはない。嵐のように次第に激しさを増しながらも、私たちは森に近づくように走る。
森に近づくにつれてここが異様な雰囲気をまとっているのに気がつき、まるで氷のように冷たく感じる気配が私の全身に絡みつき、背後に迫る死の気配と挟み撃ちになっている。
「奴ら森に入るつもりだよ!!」
息が次第に苦しくなってくる、走り続けている事もそうたが前後から迫る気配に心臓を握りつぶされそうになり呼吸もままならなくなるが、森に入れば木々が矢と魔法を阻害してくれるだろう、敵はこちらに近づいてきてはいるが、まだまだ距離は離れているので接近するまでは時間がかかるでしょう。
でも、その先は?
「森に入るぞ!!」
そうして私たちは何とか森に入ることが出来た。一層と生い茂る木々が月明かりを隠し、重たく暗い闇を作り出していた。私はお父様の引っ張る手だけを頼りに走っていく。
「エレナ、着いたぞ」
身を隠しながら関門の方を確認する、兵士が二人ほど守るように立っているのが確認出来た。お父様は手で私に左側の兵士を倒すようにと合図をしてきた、私はそれに応えるように返して拳に力を込める。
剣は何処かに落としてきたので今の私に武器はなく、魔法を使えば音で大事になる気がするので今はこれしかない。
呼吸を整え、お父様に合わせるようにして飛び出す。
「なっ、お前ら何も…」私と目が合った瞬間、勢いに任せた拳を顔面に叩き込む。
色々な感情が乗った拳は思っていたよりも効いたようで、兵士はその場に倒れ込んでいた。追い打ちをかけるように勢いよく足を振り下ろし踏み潰す、声も出ないほどに叩き潰すことは出来たようでお父様の方も同じくして剣を納めていた。
「お父様、あれ」
私が指さした方にはこの兵士が使っていただろう馬が二頭繋がれていた。お父様は剣をもう一度抜き、繋がれていたロープを断ち切り馬の鞍に跨る。
「よし、行くぞ」
その間に城の兵士が追いかけて来る気配もなければ周囲に厳戒態勢が敷かれている様子も見られなく、跨った馬を操り関門の方へと駆け出していく。
依然としてお父様は行き先を伝えてくれなく黙ったまま走り出している、私と同じくかそれ以上に色々な感情が渦巻いているはすまなのにそれを堪えているのでしょうか。目的の場所に着いたら、落ち着いて話ができるといいのだけれど。
そんな事を考え走り出す馬に身を委ねながら思い出したことがあった、この関門を抜け走り抜けた先には魔の森が広がるだけだったのではと。門をくぐり抜けいよいよ国から出ることに成功する、辺りは先の見えない暗闇が広がっており月明かりだけが明るく照らされていた。
その中を一直線に私たちは駆けていく、私の思っていた通り不気味な雰囲気を漂わせていた魔の森に向かって。
「エレナ止まれ!!」
お父様は先ほどの勢いを殺しながらその場で馬を止めた、魔の森に向かうのでは無かったのかと思いながら私も馬を止める。
すると、私たちの目の前を数本の矢が地面に対して突き刺さる、それに驚いた馬が暴れそうになるが手綱を操りなんとか落ち着かせる。
「見つけたわよ反逆者オウル・オーエンス!!」
聞き覚えのあるその声は私たちと森を挟んだ位置から聞こえ、お父様はそれらを見つけたので止まったのだった。一連の騒動に深い関わりを持っているルーゼン、私の継母。
「観念なさい!ここで終わりよ!!」
そう言いながら手を挙げると目の前には城の兵士よりも多いと思われる数の敵影が確認できた、せっかくここまで来たのに、まさかお継母様に先を越され追い込まれるとは思いもよらなかった。内から湧き上がる感情を必死に抑えながらも、お父様の側に近寄って行く。
「お父様、どうしますか」
「正面突破しかない、目的は魔の森だ」
「やはりそうでしたか」
「いいか、私の側を離れるな」
「はい」
握られた手綱に力が込められる、ここで捕まるような事になれば待っているのは死あるのみ。あのお継母様が私たちを生かしたま捕らえるとは考えにくい、そう考えるとここが正念場となる。
乗り越えた先には何が待っているのか分からないが、お父様が目的としている以上何かがあるに違いない。魔獣を誘発しながら逃げ切るのか、それとも森の奥に隠れ家のようなものがあるのか。
「お前たち、生かしていくんじゃないよ!!」
その声と共に後方から弧を描くようにして、雨のような矢を降り注ぐようにして放たれた。私も何も考えずにここまで魔力を温存していたわけではない、今ここで使い切る場面だと思うからこそ効果を発揮する、燃費の悪い私にとってはそれが最善策となると信じていた。
お父様が私に止まれと命じた時から練っていた魔力を、この瞬間一気に解き放つ。
《フレイムウェーブ》
降り注ぐ矢に向けて腕を振り切り、放たれた炎の波は瞬く間に敵の矢を飲み込みすべてを燃や尽くした。これにより火蓋は切って落とされ敵がこちらに向かって襲いかかってくる、私とお父様も手綱を強く握りしめ敵陣に向かって駆け出していく。
「このまま私に続いて!!」
敵との距離はまだあり、先ほどよりもさらに魔力を練り上げて詠唱を唱える。一瞬だが苦しくも考えてしまった、リュシアン様と出会い先生の教えがなければここまで戦い抜く事とは勿論、この魔法を発現させる事は叶わなかったのだろうと。
『業火渦巻き 焔の終わりに 我が獄道 一切の灰すら赦さず 全てを炎が呑み込む』
両の手を前に突き出し力を込める。
「《フレイムテンペスト》!!!」
この魔法は辺り一面を巻き込むほどの巨大な竜巻を眼前に向かって放ち、凄まじい熱気とその業火が燃やし尽くしていく。灰も残さない程の圧倒的な火力と破壊力、私も殆どの魔力を使い切るほどの大魔法となり今はまだ一度しか使えない。
「お父様!!」
敵陣を真っ直ぐに抉り取り、立て直す前にそこを馬で勢いよく駆け抜ける。熱気が凄いがおかげで森までの道が出来た、遠くの方でお継母様が何やら叫んでいる声が聞こえたが前だけを見て馬を走らせる。
魔力を一気に使いすぎたせいで視界が少しぼやけるが今は気にしている余裕はない、おおよその方角だけを頼りに進む。
「エレナ避けろ!!」
その声に振り返るが目の前が真っ白になり何も見えない、気がつけば激しい爆発音が耳に響き馬と一緒に地面に転がっていた。「さらに追撃なさい!!」お継母様が指示をしたのだろう飛んできた何かは幸いな事に馬に命中したようで、私は落馬の影響で体を打っただけだった。
余計に目が虚ろになりながらその場に倒れ込みそうになるが、駆けつけたお父様によって支えられる。
「馬は……」
「走るぞ!!」
どうやら馬から飛び降りて私の下へと駆けつけてくれたらしく、ここからは走って森に向かう。視界は次第に開けてきたがずっと走り続けてきたせいか足は重りがついたように動きが鈍くなっていた、体の節々も限界を迎えこうして走っているのが奇跡にも思えてくる。
その間も、先ほどではないが矢や魔法がこちらに向かって飛んできていた、当たりそうなものはお父様が防いでくれてはいるがどこまで持つのか。
「お父様ここは別々に」
「喋るな走れ!!」
お父様だけでも逃がそうと思ったがそうはさせてくれないらしい、お父様も必死に私を守りながら走ってくれている。
「森に入れば何とかなる!」
確かに森に入れば木々の間に隠れて奥に逃げる事は出来るだろうが、中では魔獣に遭遇しないとも言えない。そんな危険な地帯を、この暗闇の中万全でない状態で走り抜ければならないのだ。
「逃がすんじゃないよ!!森に入っても追い続けな、あの二人の首を殺って来るまで許さないよ!!」
私の魔法で向こうも統率が乱れたらしく慌てた声がこちらにまで響き渡っていた、その中でも攻撃の手が緩まることはない。嵐のように次第に激しさを増しながらも、私たちは森に近づくように走る。
森に近づくにつれてここが異様な雰囲気をまとっているのに気がつき、まるで氷のように冷たく感じる気配が私の全身に絡みつき、背後に迫る死の気配と挟み撃ちになっている。
「奴ら森に入るつもりだよ!!」
息が次第に苦しくなってくる、走り続けている事もそうたが前後から迫る気配に心臓を握りつぶされそうになり呼吸もままならなくなるが、森に入れば木々が矢と魔法を阻害してくれるだろう、敵はこちらに近づいてきてはいるが、まだまだ距離は離れているので接近するまでは時間がかかるでしょう。
でも、その先は?
「森に入るぞ!!」
そうして私たちは何とか森に入ることが出来た。一層と生い茂る木々が月明かりを隠し、重たく暗い闇を作り出していた。私はお父様の引っ張る手だけを頼りに走っていく。
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