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第一章 灰姫と魔王
episode.05 夜空の星の下で
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「私は、その話お受けしたく存じます」
「はぁっ!?何血迷ってんのよ!!」
「そうよ、エレナ。私を困らせるんじゃありません」
「これはリュシアン王太子殿下より直々のお申し出と、今お聞きしましたが」
「あぁ、俺も今しがたそのように知らせを受けた」
私はここで逃げるわけにはいかない、この話を受ければお父様に迷惑をかけることなくこの家から出ていける、それどころかお父様にも喜んで頂けるかもしれない。
「疑問は沢山ありますが、一度受けた話を断るような事があれば、我がオーエンス家にどのような仕打ちがあるか分かりませんから」
「それならあんたなんかよりっ私の方がぁ「ソフィア、少し黙れ」
先程から喚き散らしていたソフィアをお父様が力強い言葉で遮る、さすがにこれ以上は反論できなくなったのか吐き出しそうな言葉を堪えながらソファに座り直した、私が選ばれた事が面白くないのか先程から憎悪に満ちた視線を感じる。
「エレナ、少し二人で話そうか」
そう言うとお父様は立ち上がり私の手を引いてきた、お継母様とソフィアもまだ反論してくると身を構えたが、セブンスがお父様の考えを読み取ったらしく私たちとの間に立ち塞がるようにして二人を抑えてくれていた、そうして引かれるがままに立ち上がり歩きだす。
部屋を出る直前は残された二人が何かを叫びながらセブンスに抑えつけられるのが視界に入った。そうして部屋に向うまでの間は何かを話すわけでもなく、ただただ静かに歩きだしていた。
案内されたのはお父様の部屋で、中に入るとそのままバルコニーへと案内された、そこには机と椅子が二つ並べられており夜空の星々を眺める事が出来ていた。お父様は椅子に座るようにと言い、部屋の中へと消えていった。
私はここに来るのは二回目でしょうか、一回目の時はこの国の北側に位置する"魔王の森"と呼ばれる場所で実戦魔法の訓練を終えて戻ってきた時だった。あの時は怒られるかと恐れながらこの部屋に入ったのを覚えている。
「あの日と同じ、綺麗な夜空ね」
「飲むかい?」
部屋の中から戻ってきたお父様が手に持っていたのはワインボトルとワイングラスが二つだった、私は軽く頷きグラスを手に取り、話をしてくれるのを待つかのようにワインを注がれるのを眺めていた。
「エレナは覚えてるかい、ここに前に来た時を」
「ええ」
そうして同じタイミングでグラスを口に運ぶ、お父様と夜空を眺めながら飲むワインは美味しく感じるはずだったが、今は何故か味がしなかった。
「前に来た時は怒られると恐れながらこの部屋に入ったのを、今でも覚えています」
「怒ったりはしなかったろう」
「そうでしたでしょうか、部屋に入ったその後の事は覚えていません」
少し意地悪をしてみた、あの日の事はしっかりと覚えている、私が灰かぶりと呼ばれるきっかけにもなった日でしたから。
「前に来た日、お前に尋ねたのはたった一つ。何があったのかと……それだけを聞いたよ」
私は全身に灰をかぶりながらこの屋敷に戻ってきた、本来の予定では魔王の森で魔獣を狩りながらの戦闘訓練をするとなっていたが、実際は予定通りとならなかった。森の中で野盗に襲われている一行を目にし、私は護衛の兵士が制止するのを振り切って野盗に襲いかかった。
その際に炎の魔法で野盗を燃やし尽くし、黒く焦げた木々の間に立ちながら灰をかぶる羽目になったのだから。後から追いかけてきた護衛の兵士が、水魔法ですぐに周囲を消火してくれた事は今でも感謝している。
「私は何と答えていました?」
「魔法に失敗しました……とな」
「間違いでは無いですわよ」
そう言いながら表情を誤魔化すようにしてグラスに残ったワインを飲み干す。
その言葉に間違いはなく、私はあの日失敗したのだ。魔法の制御を誤り危うく助けに入った一行ごと燃やしてしまいそうになった、私は怖くなりその場から逃げ出してしまったのだ。
その後、兵士達の噂で助けに入った一行は大きな怪我もなく無事だったと聞いて一安心したのも覚えている。
「そうだろうな……」
何故か歯切れが悪そうに聞こえる、こんな事を話すためにここまで呼んだのだろうか。正直、先の大部屋に残してきたセブンスの身と、あの二人がここまで突撃してこないかと不安が残っているのですが。
「あの日、お前は魔法に失敗したかもしれないがある一行を救ったのも事実としてあるだろう?」
「な、何の事でしょうか」
正直お父様に知られているとは思っていない、兵士の口から漏れる可能性もあったがあれから追及される事も無ければ、この事について何も聞かれなかったからだ。
だって私は、周りの人を危険に晒したどころか、魔法の制御に失敗したのだからそれを耳にするような事があれば一人の親として心配に思わないはずがない、そう今でも思っているから。
「いい、俺もお前に関われなかった事実があるので隠したい気持ちもわかる。だが、お前には言っておきたい事もある」
今更関われなかったって何なのでしょうか、言い訳がましいその言葉に少しだけ苛つきを覚えてしまう。
「王太子殿下からの言伝があってな、"二度も命を救ってくれてありがとう、あの日のお礼をようやく伝えれると共に変わらない気高くも美しい姿に私は心を燃やされました"と」
「二度も命をって、夜会の日も怪しいのですが」
「あの魔王の森から帰っきた日、エレナが助けた一行と言うのが王太子殿下の事なんだよ」
「えっ」
思いもよらなかった話に戸惑いを隠せなくなる、そんな事を急に言われた所で私は正直覚えていないので実感が持てない。ただ、それだけでは私が婚約者に選ばれた理由としては弱い気もしなくもない。
「それでリュシアン王太子殿下は私を婚約者にとご指名されたのでしょうか」
「それもあるだろうが、王太子殿下からは"無理強いはしたくないので、私から直接話せる機会を設けて欲しい"とも言われたよ」
「直接、ですか」
私は今、この話を聞いてどんな表情をしているのかしら。ワインを飲んでるとはいえ心臓の鼓動がやけに煩く聞こえてしまう。それを聞いてしまえば逃げれなくなるような気もするが、逃げるつもりもない。
私は王太子殿下にどのような考えがあろうとも受け入れるつもりだ。そんな事を考えていると、お互いのグラスが空になっていたのでこれ以上考えないようにしたくワインを注ぎ直す。
「分かりました、お受けするつもりではありますのでリュシアン王太子殿下と今一度お話を交わそうかと存じます」
「分かった、そのように伝えておこう」
そこからは明るい夜空を見上げながらグラスをゆっくりと飲み干していく、気がつけばボトルの中は空になり最後の一口は優しい甘さが口の中を満たしていた。私はグラスを机に置き、「ありがとう、お父様」と告げて自室に戻る事にした。
「エレナ」
「なんでしょうお父様」
椅子から立ち上がりバルコニーから部屋の中に戻ると、後ろからお父様に声をかけられたがその後の言葉が出てこなかったのか、少しの沈黙が流れる。
「いや、いい………」
「お父様?」
「あ、あぁ。すまないエレナ、おやすみ」
「はい、お父様。おやすみなさいませ」
そうして私は頭を軽く下げて、お父様の部屋から出ていく。静かになった心臓の音と共に、廊下には私の足音だけが響き渡っていた。部屋から出てしばらく歩くとセブンスとアリサがこちらに向かって歩いてきていた。
「エレナお嬢様、お話は済まれましたかな?」
「ええ、セブンス。ありがとう、二人は大丈夫だったかしら」
「問題ございません、ご安心を」
問題が無いことはない気もするが、これ以上言及するのは気が引ける。流れに身を任せたとはいえ、面倒な役目を押し付けてしまったのだから。
「ありがとうセブンス、おやすみなさい」
「エレナお嬢様こそ、おやすみなさいませ」
軽く挨拶を交わし二人を後にする、廊下を歩いていると色々な考えが頭の中をと飛び交っていた。私がリュシアン王太子殿下の婚約者として選ばれた事、お父様があの日の事を知っていたのに何も言ってこなかった事、そして二度も命を救っていた事。
これからの事は今考えても仕方がない、話をする機会があるのであればその際に聞けば良い、お継母様とソフィアが簡単に引き下がるとも思えないが、こちらから動く事は出来ないので今はただ何もないことを祈るしか無い。
それにしても久しぶりにお父様とゆっくりと話ができたのは、内容を抜きにしても良いものだった。ワインを共に飲みながら夜空を見上げたあの光景はずっと心に残り続けるだろうと、そう思わずにはいられない。
そうして自室に戻った私は、倒れ込むようにしてベットに飛び込んだ。
夜会の日から止まっていた時間が急に音を立てながら動かされたのだ、疲れないはずもない。これから起こる未来の事に不安を抱きながらも、一抹の希望に心躍らせながら今日は眠りにつく、いつもより少しだけ安らかな眠りに。
「はぁっ!?何血迷ってんのよ!!」
「そうよ、エレナ。私を困らせるんじゃありません」
「これはリュシアン王太子殿下より直々のお申し出と、今お聞きしましたが」
「あぁ、俺も今しがたそのように知らせを受けた」
私はここで逃げるわけにはいかない、この話を受ければお父様に迷惑をかけることなくこの家から出ていける、それどころかお父様にも喜んで頂けるかもしれない。
「疑問は沢山ありますが、一度受けた話を断るような事があれば、我がオーエンス家にどのような仕打ちがあるか分かりませんから」
「それならあんたなんかよりっ私の方がぁ「ソフィア、少し黙れ」
先程から喚き散らしていたソフィアをお父様が力強い言葉で遮る、さすがにこれ以上は反論できなくなったのか吐き出しそうな言葉を堪えながらソファに座り直した、私が選ばれた事が面白くないのか先程から憎悪に満ちた視線を感じる。
「エレナ、少し二人で話そうか」
そう言うとお父様は立ち上がり私の手を引いてきた、お継母様とソフィアもまだ反論してくると身を構えたが、セブンスがお父様の考えを読み取ったらしく私たちとの間に立ち塞がるようにして二人を抑えてくれていた、そうして引かれるがままに立ち上がり歩きだす。
部屋を出る直前は残された二人が何かを叫びながらセブンスに抑えつけられるのが視界に入った。そうして部屋に向うまでの間は何かを話すわけでもなく、ただただ静かに歩きだしていた。
案内されたのはお父様の部屋で、中に入るとそのままバルコニーへと案内された、そこには机と椅子が二つ並べられており夜空の星々を眺める事が出来ていた。お父様は椅子に座るようにと言い、部屋の中へと消えていった。
私はここに来るのは二回目でしょうか、一回目の時はこの国の北側に位置する"魔王の森"と呼ばれる場所で実戦魔法の訓練を終えて戻ってきた時だった。あの時は怒られるかと恐れながらこの部屋に入ったのを覚えている。
「あの日と同じ、綺麗な夜空ね」
「飲むかい?」
部屋の中から戻ってきたお父様が手に持っていたのはワインボトルとワイングラスが二つだった、私は軽く頷きグラスを手に取り、話をしてくれるのを待つかのようにワインを注がれるのを眺めていた。
「エレナは覚えてるかい、ここに前に来た時を」
「ええ」
そうして同じタイミングでグラスを口に運ぶ、お父様と夜空を眺めながら飲むワインは美味しく感じるはずだったが、今は何故か味がしなかった。
「前に来た時は怒られると恐れながらこの部屋に入ったのを、今でも覚えています」
「怒ったりはしなかったろう」
「そうでしたでしょうか、部屋に入ったその後の事は覚えていません」
少し意地悪をしてみた、あの日の事はしっかりと覚えている、私が灰かぶりと呼ばれるきっかけにもなった日でしたから。
「前に来た日、お前に尋ねたのはたった一つ。何があったのかと……それだけを聞いたよ」
私は全身に灰をかぶりながらこの屋敷に戻ってきた、本来の予定では魔王の森で魔獣を狩りながらの戦闘訓練をするとなっていたが、実際は予定通りとならなかった。森の中で野盗に襲われている一行を目にし、私は護衛の兵士が制止するのを振り切って野盗に襲いかかった。
その際に炎の魔法で野盗を燃やし尽くし、黒く焦げた木々の間に立ちながら灰をかぶる羽目になったのだから。後から追いかけてきた護衛の兵士が、水魔法ですぐに周囲を消火してくれた事は今でも感謝している。
「私は何と答えていました?」
「魔法に失敗しました……とな」
「間違いでは無いですわよ」
そう言いながら表情を誤魔化すようにしてグラスに残ったワインを飲み干す。
その言葉に間違いはなく、私はあの日失敗したのだ。魔法の制御を誤り危うく助けに入った一行ごと燃やしてしまいそうになった、私は怖くなりその場から逃げ出してしまったのだ。
その後、兵士達の噂で助けに入った一行は大きな怪我もなく無事だったと聞いて一安心したのも覚えている。
「そうだろうな……」
何故か歯切れが悪そうに聞こえる、こんな事を話すためにここまで呼んだのだろうか。正直、先の大部屋に残してきたセブンスの身と、あの二人がここまで突撃してこないかと不安が残っているのですが。
「あの日、お前は魔法に失敗したかもしれないがある一行を救ったのも事実としてあるだろう?」
「な、何の事でしょうか」
正直お父様に知られているとは思っていない、兵士の口から漏れる可能性もあったがあれから追及される事も無ければ、この事について何も聞かれなかったからだ。
だって私は、周りの人を危険に晒したどころか、魔法の制御に失敗したのだからそれを耳にするような事があれば一人の親として心配に思わないはずがない、そう今でも思っているから。
「いい、俺もお前に関われなかった事実があるので隠したい気持ちもわかる。だが、お前には言っておきたい事もある」
今更関われなかったって何なのでしょうか、言い訳がましいその言葉に少しだけ苛つきを覚えてしまう。
「王太子殿下からの言伝があってな、"二度も命を救ってくれてありがとう、あの日のお礼をようやく伝えれると共に変わらない気高くも美しい姿に私は心を燃やされました"と」
「二度も命をって、夜会の日も怪しいのですが」
「あの魔王の森から帰っきた日、エレナが助けた一行と言うのが王太子殿下の事なんだよ」
「えっ」
思いもよらなかった話に戸惑いを隠せなくなる、そんな事を急に言われた所で私は正直覚えていないので実感が持てない。ただ、それだけでは私が婚約者に選ばれた理由としては弱い気もしなくもない。
「それでリュシアン王太子殿下は私を婚約者にとご指名されたのでしょうか」
「それもあるだろうが、王太子殿下からは"無理強いはしたくないので、私から直接話せる機会を設けて欲しい"とも言われたよ」
「直接、ですか」
私は今、この話を聞いてどんな表情をしているのかしら。ワインを飲んでるとはいえ心臓の鼓動がやけに煩く聞こえてしまう。それを聞いてしまえば逃げれなくなるような気もするが、逃げるつもりもない。
私は王太子殿下にどのような考えがあろうとも受け入れるつもりだ。そんな事を考えていると、お互いのグラスが空になっていたのでこれ以上考えないようにしたくワインを注ぎ直す。
「分かりました、お受けするつもりではありますのでリュシアン王太子殿下と今一度お話を交わそうかと存じます」
「分かった、そのように伝えておこう」
そこからは明るい夜空を見上げながらグラスをゆっくりと飲み干していく、気がつけばボトルの中は空になり最後の一口は優しい甘さが口の中を満たしていた。私はグラスを机に置き、「ありがとう、お父様」と告げて自室に戻る事にした。
「エレナ」
「なんでしょうお父様」
椅子から立ち上がりバルコニーから部屋の中に戻ると、後ろからお父様に声をかけられたがその後の言葉が出てこなかったのか、少しの沈黙が流れる。
「いや、いい………」
「お父様?」
「あ、あぁ。すまないエレナ、おやすみ」
「はい、お父様。おやすみなさいませ」
そうして私は頭を軽く下げて、お父様の部屋から出ていく。静かになった心臓の音と共に、廊下には私の足音だけが響き渡っていた。部屋から出てしばらく歩くとセブンスとアリサがこちらに向かって歩いてきていた。
「エレナお嬢様、お話は済まれましたかな?」
「ええ、セブンス。ありがとう、二人は大丈夫だったかしら」
「問題ございません、ご安心を」
問題が無いことはない気もするが、これ以上言及するのは気が引ける。流れに身を任せたとはいえ、面倒な役目を押し付けてしまったのだから。
「ありがとうセブンス、おやすみなさい」
「エレナお嬢様こそ、おやすみなさいませ」
軽く挨拶を交わし二人を後にする、廊下を歩いていると色々な考えが頭の中をと飛び交っていた。私がリュシアン王太子殿下の婚約者として選ばれた事、お父様があの日の事を知っていたのに何も言ってこなかった事、そして二度も命を救っていた事。
これからの事は今考えても仕方がない、話をする機会があるのであればその際に聞けば良い、お継母様とソフィアが簡単に引き下がるとも思えないが、こちらから動く事は出来ないので今はただ何もないことを祈るしか無い。
それにしても久しぶりにお父様とゆっくりと話ができたのは、内容を抜きにしても良いものだった。ワインを共に飲みながら夜空を見上げたあの光景はずっと心に残り続けるだろうと、そう思わずにはいられない。
そうして自室に戻った私は、倒れ込むようにしてベットに飛び込んだ。
夜会の日から止まっていた時間が急に音を立てながら動かされたのだ、疲れないはずもない。これから起こる未来の事に不安を抱きながらも、一抹の希望に心躍らせながら今日は眠りにつく、いつもより少しだけ安らかな眠りに。
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