君が好き

如月由美

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後編

十二話 チイサナカミ

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そんな中、二人の顔が近づく。
優翔の息が、静香の頬にかかった。
二人の唇が、重なりそう……

そのとき、
ガラッ!
「優翔!明良あきらが、呼んでるぞ……。ってお前ら、何してんの?」
「な、なんでもないよ!」
私はその言葉に気づいて。優翔から離れた。
私も、優翔も、驚いたような顔。
「あ、分かった。静香、ちょっと行ってくるわ」
優翔は、早々に走り去った。
そんな優翔を、逸木はやぎは追いかけた。

資料室に残った私は、優翔とのキスを後悔していた。
「キスできなかったー」
と顔をおさえると、熱を持っていた。
「恥ずかしい!私のキスって、可笑しくないよね!?」
キスなんてことを思うと、顔が赤くなってしまう。
それに、緊張してしまう。
「はぁー。キスかー」
私は、そっと唇に手をあてた。
「優翔との。キス、し、したい」
そう言ったとたん、私は我に返った。
「何、言ってんだー!バカー!」


キーンコーン、カーンコーン。
五時間目の歴史。
「えー、保元の乱はー」
こんな空気のなか、皆、自由だな。
友達と話してたり、先生の話をメモしてたり。
そんな中で、私は、そっと隣の優翔を見た。
綺麗だな。
窓からの風で、揺れる髪とか。
まつ毛とか、なぜか長い。
見惚れていると優翔が、小さな紙を私の机に置いた。
なんだろう。
貰った紙を広げると、
『今日の放課後、空いてる?』と書いてあった。
私は、一瞬だけ、驚いたあと、
『暇だけど』
と下の空白に、書いた。
優翔の机にその紙を置くと、彼は手に取って、私の書いた内容を確かめてから、何かを書いた。
すると、彼はまた紙を私の机に置いた。


紙での会話か。
変わってるなぁ。
と思いながら、紙を広げると、そこには
『放課後、さっきの資料室に来てほしいんだけど。いいか?』
と書いてあった。
私は驚きながら、隣の優翔を見ると、私を見ていた優翔と目が合う。
ドキドキしながら、私はコクンと頷いた。
すると、優翔は、下手なウインクをしてきた。
私は、フッと笑って、
「下手だよ」
と口パクで、そう言った。

放課後。
チャイムが鳴り響くなか、私は資料室にいた。
「優翔、私を呼び出して、何のつもりだろ」
「ま、まさか!キス、なんじゃ……」
また、自分の唇に手をあてた。
そのとき。
ガラッ!
私は、その音に驚いて、振り返ると。

そこに居たのは………
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