君が好き

如月由美

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後編

十一話 オレノモノ

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はぁ。はぁ。
今、私は優翔の元へと走っている。
息が荒れる。
だけど、嬉しい。
「優翔!」
と教室の扉に手をついて、優翔を探す。
だけど、優翔はいない。
「優翔は?」
「資料室に行ったみたいだよー」
「ありがとっ!」
私はそれを聞いて、急いで資料室に向かった。

ガラッ!
資料室の扉が、音を立てて開く。
すると、音に気づいたのか、優翔が振り返った。
「優翔」
「どうしたの?息まできらして」
私はニコッと笑って、優翔に抱きついた。
「優翔♪」
「ちょ、なんだよ。いきなり」
優翔は、顔を赤めている。
そんなことも気にせず、優翔を抱いた。


「優翔。私、好きだー!」
顔を真っ赤にしながらも、そう叫ぶ。
「うっせーよ。どうしたんだよ」
「あのね。私、優翔と付き合えるよ!」
と言ったとたん、優翔は驚いた顔をした。
「まっ!まさか!お前、あいつと!」
「うん!別れたんだよ♪」
と言うと、優翔の顔は変わった。
「やっと。お前が。俺の、物に」
彼の言葉が、途切れる。
「優翔?」
「悪い。ちょっとな」
と目をこすった。
「もしかして、優翔。泣いてるの?」
私はドキドキしながら、聞いた。
すると、優翔は私を強く抱きしめた。
「当たり前だろ。ぐすっ」
「うん」
私も、強く抱いた。


と二人そろって、抱きしめていると、優翔が離れた。
「優翔?どうかした?」
「いや、その」
「何よ。フフッ♪」
私が笑っていると、優翔が口を開いた。
「キ、キス、したいな」
「フフッ♪積極的なクセに♪」
「うるさいな」
優翔は顔を赤めながら、そう言った。

「いいよ?」
「は?」
「だから。キス」
真っ赤になりながら、そう言う。
私はドキドキしながら、目を閉じた。
「いや、冗談ー」
優翔は目を閉じた私を、見て驚いている。
そんな中、二人の顔が近づく。
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