上 下
57 / 62
第五章

キスの違和感

しおりを挟む
校外学習が終わり、皆は一息ついた様子だった。
校外学習から、数日後の帰り道。
誰もいない通学路を、中原くんと一緒に歩いていた。
「柚子って、可愛いよな」
いきなり、柚子と呼ばれ、体がピクリと反応する。
それに、可愛いなんて。
そんなこと、言わないでほしい。でも、どこかくすぐったい・・・・・・
「なぁ、ゆっちゃんって、呼んでもいいか?そのほうが可愛いし、呼びやすいから」
その言葉を聞いて、咄嗟とっさに出たのは。
「だ…め……」
足を止めて、そう言った。
我に返ったのは、言い終わったあとだった。
「あ、ごめん。その、柚子でいいよ。呼び捨てで構わないから」
と言って、歩き出す。
危なかった。なんとか、誤魔化ごまかせたってところかな。
すると、中原くんは。
「待ってよ。柚子」
と私の右手を掴んだ。
そして。

─チュ─

「んっ……っ………ぁ…」
リップ音を鳴らし、キスされた。
あ、違う。私の思うキスは、もっと心地の良いものだと思った。
だけど、中原くんとするキスは、どこかが違う。
キスをする相手がダメだと違和感があったのだ。なぜ、違和感があったのか。
理由は、すぐに分かった。
それは、私の相手は中原くんじゃない。ゆっくんだと。
ゆっくんじゃなきゃ、ダメだった。気づくの、遅すぎ。
─ぱっ─
またリップ音を鳴らし、唇を離した。
そして、私は覚悟をしたような顔で、こう言った。
「ごめん。中原くん。別れよ」
そう言い終わったあと、私は走った。
汗もかいて、息も切らして、走る。
柚希は掃除担当で、まだ教室にいるはず。
きっと教室に行けば、柚希に会える!
「ゆっくん!まだ諦めないからっ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

君の浮気にはエロいお仕置きで済ませてあげるよ

サドラ
恋愛
浮気された主人公。主人公の彼女は学校の先輩と浮気したのだ。許せない主人公は、彼女にお仕置きすることを思いつく。

処理中です...