《瞑想小説 狩人》

瞑想

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美姫の場合

監獄烈車へようこそ⑤

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 みなみへすすむ
 みなみへすすむ
 いちもくさん
 ふかいもりのなかを

 みぎにひだりにゆられつつ
 きゅうけいしゃの坂に
 あんだーみらーをこすりつつ
 みなみへ・すすむ
 みなみへ・すすむ

 さかの底にいるのは
 梶原さんとなかよしの
 なかゆびじょうずな
 だれか・だれか

 みなみへ・すすむ
 みなみへ・すすむ
 灰皿はまんたんで
 はいいろの爆撃機が
 やけつくしたかのような
 のはら・のはら
 だれかの薬指がぬけ
 その灰にまじってる
 
 のばら・のばら
 そのまま・そのまま
 いちばんえいりな・尖棘(とげさき)を
 私の心に突き刺して・欲しい

 みなみへ・すすむ
 みなみへ・すすむ
 乖離する心の居場所と
 主のない,しーと・べると
 
 みなみへ・ゆこう
 みなみへ・ゆこう
 苦し紛れの戒(いましめ)とともに
 血塗(ちまみれ)れの[どういたしまして]を
 吐出する苦しそうな唇とともに
 北峰(きたみね)の稜線にある
 白池(しらいけ)の左手にそっと
 綺麗で純粋な西洋句を添えやうぞ

『トリコロール・カラーで
 守備力を高めることさ
 チョコレイト・セラーは
 我が国には不要なもの
 放火犯の心理を知り
 備えることに毎日を捧げ
 ワンナイトの欲望に
 身を浸すには君は若すぎる』

 ゆびをくるくる・まわすのは
 じょうきゃくAさん
 きような・てさばき
 じょうきゃく・みなみな
 はくしゅかっさい

『さて・はじめましょうか。
 あやかしバスの緊縛ショータイム。を。
 或る女性は違う誰かのものになるのです。
 或る女性は違う男達の捧げ物になるのです。
 なに。傷をつけることは致しません。
 同点については御心配なさるな。
 なに。血液の色を確認することは致しません。
 同点についても御心配なさるな。
 ところで貴女…水分は足りていますか?』

『中央付近にいらっしゃる貴女。
 御主人様に調教されて
 今もなお・今もなお
 直腸に鼠を飼っている
 中央吊革に囚われた貴女。
 貴女のことを話しているんです。
 ところで貴女…水分は足りていますか?』

 みなみへ・すすむ
 みなみへ・すすむ
 かんごくれっしゃ・ばす
 美姫ちゃんようこそ
 監獄烈車へようこそ

 じょうきゃくたちの
 なりかたちを御覧
 じょうきゃくたちの
 呼吸の様相を御覧

 紫煙(しえん)を肺胞の隅々まで
 吸い込んでしまい
 私怨(しえん)の紫炎(しえん)もゆる心
 四猿(しえん)の一匹目は「みざる」
 なにもみていないから安心しな
 四猿(しえん)の二匹目は「いわざる」
 誰にも告げず地獄までゆこう
 四猿(しえん)の三匹目は「きかざる」
 元々・何も聞こえないらしいが
 原因となった案件は随分と
 先細った情報となっているそうだ
 ひぐれの・ねっとじゃあでてこない・ぜ
 この世のひねくれ具合を舐めるな・よ

 新しい翼を試演(しえん)する飛燕(ひえん)
 第三眼球のうち一つは鳥の目さ
 四猿(しえん)の四匹目に名前はない
 自作自演の宴に酔っており
 濃度の高いアルコールランプの下で
 「夜と霧」を読み耽っているのさ
 へいせいを失った喪服の楽団が
 傷だらけの弦楽器を調律する景色さ

 えあこんは・壊れており
 へいきんだい・よりも
 へいきんに・なれぬ株式
 へいきんに・なれぬイールド
 へいきんを・もとめる心
 それと裏腹なチャート・ライン

 猛烈な勢いで右肩上がり・一方で
 恐怖の下降曲線への備えは皆無
 皆様・御機嫌うるわしゅうようで
 皆様・御加減のよろしいようで

 「平均回帰するのも一興」だと
 口を開く者を袋に詰めまして
 一級河川の右岸から流す分からず屋

『…』機銃を突きつける男
『…』白々しく縄を準備する男
『…』最前列にはスモーカーが居り
『…』変わらず紫の煙を吸い・吐いた
『…』呼気には16%の酸素が含まれ
『…』それを吸う他客の平常心を奪い
『…』運転者のハンドル捌きを荒くする

『嗚呼っ……っ』
美姫の啼き声をとりあえず・ひとつ

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