《瞑想小説 狩人》

美姫の場合

美姫の場合95⃝

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　小さな穴を大きく開放するのは止めてくださいまし。「せめて潤滑油を」そんな懇願剤に反作用する腐食剤が散布される。VX。マスタード。このやうなものを御存知はありますか。神経剤の一種で御座います。残酷なものをお造りになるのですね。相反するとは云わぬまでも同等。又は其れ以上の効果を発揮するのが生物剤で御座います。なお。放射線災害には距離に依る遮蔽。水に依る遮蔽。鉛に依る遮蔽。暴露時間に依る遮蔽が重要で御座ひます。

　…「鼠責め」に晒されている私が…なんでこんな事を理解できるのか不思議に思いますか。…根幹を包含する情報を時に暴露したくもなるのです。…普段は「例の潜水艦」の如く大人しくしているので御座いますが。…因みに。…因みにですが。放射線暴露限界が変更された瞬間を御存知ありますか。…あれは。…あれは。出来レースだったのですよ。「圧力差に屈した民族衣装」とでも云うのでしょうか。酷い出来事でした。鼠責めと同音圧のコーラス・グループの成した大罪です。

　「…☓…」耳穴に這入りこもうとする赤鼠様。反対の耳に橙鼠様。三半規管及び蝸牛に火車伯爵が興味本位の体位で暴れている。「ぐる・ぐる・ぐる」視線が定まりませぬ。「ぐる・ぐる・ぐる」シャングリラに住む御姫様が見る景色。回るメリー・ゴー・ラウンド。マイセルフ・ゴーズ・バウンド。

　腹直筋と腹斜筋の境目がとても痛いの。肋骨が軋んでいるの。折れちゃう。折れちゃう。呼吸するのが苦しい。とても苦しいの。『葉・葉・葉・葉』絶え絶えの呼吸と意識。恐怖分圧は高まるばかり。

　…円安が進んでいるのでしょう。その隙間に私の身体があるのだと思います。もっともっと進むのでしょう。機関投資家が操作しているのは云うまでもないのでしょう。折れ線グラフの谷底に居る私の氣持ちは…　①寂しい　②切ない　③貝割れ大根から発芽した芽のやうな氣持ち　④晩期死体現象を見ても何も感じない男性に惹かれる準備不足な女性としての覚悟　⑤奇天烈不可思議な小説の著者が語る物語は・１/３がフィクション・１/３半分が真実・１/３が愛人に宛てたラブレターの続きだと察した時の氣持ち　⑥同筆者が別サイトで同愛人に似せたAI画像を投稿しているのを知った時の氣持ち　⑦同愛人は彼の双子魂であり/隙間なくぴったりと寄り添うのを目の当たりにした時の氣持ち。なお。同関係は永続的なものであり『現世の死』『肉体の死』『輪廻転生の真実及び向こうの世界の本当』を知り得ても永続的なものであることを知った時の氣持ち。　①から⑦までが前後不惑/左右不確実に入り混じった氣持ちを理解できますか。…円安が進んでいるのでしょう。でもね。そんなもの。そんなもの。数ヶ月前から仕組まれていて・適正に落ち着いただけじゃありませんか。ねえ。ねえ。ねえ。そうじゃありませんか？そうじゃありませんか？そうでしょう？

　『……☓……』加熱され過熱された私への侵入者達。前穴に沿って走行する薄青鼠様は「前」を目指して猪突猛進。氷河期世代がいくら口封じを試みても通用はしません。私の前穴はすっかり濡れていましたし,耳穴に這入ろうといふ無謀な試みよりも成功確率は高く性交確率は高いと判断なされたのでしょう。入ってきちゃう。いけないものが。這入ってきちゃう。指でも男性自身でもないものが。挿入ってきちゃう。人間でもないものが。怖い。とても。怖いの。助けて。

　『……☓……』お願い。這入って来ないで。其処はそういふ場所ぢゃあないの。ゆっくりと楽しむように彼は防御線を抉じ開けてきます。時折。ふるふると身体を捩らせながら。きっと真っ直ぐよりも這入り易いと感じていたのでしょう。捻りの運動を加えられた小個体は中へ。中へ。私の前穴の中へ。入口城門は縄文時代の拷問忌を越え弥生の花路へと続く。桜舞い散る春は暗く。

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