549 / 585
美姫の場合
美姫の場合93⃝
しおりを挟む:::::::::::::
そんな私は随分と嬲られ尽くしました。鼠さん達が乳首を舐めてくださるのです。丁寧に舐めたり。激しく舐めたり。噛じったり。きつく捩ったり。『……っ』相手は自制心のない獣。彼等の遊技場となってしまった身体が憎い。墓場まで持ってゆきたい凌辱感。恥辱感。全身を襲う背徳感に「ぞくぞく」としてしまう背骨が怖い。
ベッドシーツは水溜りのやうになっています。その殆どは私の身体から排出されたものです。唇から。各穴から。勿論。一番恥ずかしい阿南の穴から垂れた分量も多い。滴るのは雫。雫。雫。そして雫。
梅雨前線が倍雨全尖(ばいうぜんせん)となって大雨を降らせる。私は雨やどり先のない貝殻。剥き身の貝殻の柔らかい中身。酷い雨に濡れて途方にくれております。ねえ。あなた。北区へ帰宅できない私の身を案じて頂けますか。ねえ。あなた。私の黄土色のワンピースは濡れてしまいましたわ。『雨が降っていたの。私の周りにだけ。まったく困ったものよね。』そんな嘘を信じて頂けますか。見え透いた嘘に頷いて頂けますか。
ねえ。あなた。助けてくださひ。此のままでは本当の奴隷になってしまいます。最下層で常に土下座を強要される最下層の性奴隷に。異種輪姦は歪な行為でしょ。そうでしょ。国際電話から情報戦線の残り香がする。上は下に。下は上に。とても変な気持ちになるの。電流変圧器になってしまったみたい。変圧器(トランス)で意識変容(トランス)してしまう意識が怖い。
『ひ・ひ・ひ。美姫。鯨にしてやるよ。捕鯨船の鉾で捕えてやるから覚悟しな。』婆様。婆様。意味深な言葉に身体が反応してしまいます。房中術のレシピで私を焼くつもりなのね。交渉術を持たない私の右目に大粒の。涙。快楽手術で私を焦がすつもりなのね。下降気流に巻き込まれる左目に大粒の。涙。
『甘い。甘いねえ。美姫。桜人(さくらびと)は突然の強風に驚くだろう。突然の雨に泣くだろう。折角の花びらが散ってしまったと。物事は一切合切が変容していくものなのさ。ほれ。飲みなさい。早く。』
脳内には紫の靄(もや)。上丹田には紺色の雨。喉元には切り立った地蔵尾根で切り出したナイフ。胸元に緑の感嘆符が在り『…!…!…!…!』定期便のやうな心拍を刻んでいます。太陽神経脳は貯蓄を空にしてしまったの。もう栄養は残っていないわ。微塵子ほどの能力も残っていない。
『甘い。甘いねえ。美姫。2024年はこんな年になるのさ。御主人様の呼出(コール)に怯えながら育児でもしてるんだね。ホット・ケーキを焼いている時も。洗濯物を干している時も。夫の袖枕で眠りにつくその瞬間も。お前の身体は。お前の心は。お前の全所有権はこちらサイドにあるのさ。こちとら砕土の全株を所有する御主人様の下僕。こちとら才奴の全株を所有する御主人様の家臣。こわや。こわや。怖い世の中だねえ。』
耳の車輪に繋がる経絡(けいらく)が在る。インナーイヤーチャクラ。だったかしら。何処からか聞こえる綺麗な綺麗な。とても綺麗なナイロン弦の音。耳元で誰かが弾いてくださっているのでしょうか。NOWHERE MANを誰も感づかない解釈で弾き。歌う。裏声が綺麗。男性なのか女性なのかも判別できぬ綺麗な音。そして独特のリズム感。
『甘い。甘いねえ。美姫。
奴隷の一号機にしてやるからね。
覚悟しな。首筋に注意しな。』
『葉……っ』
胸がべとべとになってしまう。
『葉……っ』
もう。いいです。もう。
『葉……っ』
噛んでくださひ。
舐めてくださひ。
千切ってくださひ。
甘辛い味付けの罰遊戯に酔う私。暗転するカーテンレール。咀嚼を繰り返すヴァンパイヤと周り続けるハードワーキング・バイブレーター。暗黒遊戯は突端から首都変遷し私の窪地へ。穴の中へと遷都する。穴の中を主戦場とせんとす。
それも自然なことなのね。
彼等は暗がりを好むもの。
::::::::::::::
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる