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美姫の場合
麦茶
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鼠達のうちの一匹が
珍味のなる木を発見する
脆いものに添える枕木であり
危険なかほりのする枝葉でもある
『……』
木は彼女の神経に土着しており
『……』
根は争奪戦の末に咀嚼される
『……』
肌目は見事な春に比べて横着で
『……』
絹に劣る自分を嘆いている
『……』
好きこそ物の上手なれといふ
『……』
好きになるには何事が肝心かと問ふ
『……』
沈黙の五寸釘で応答するもの
『……』
瞬間の絵図を網膜に焼き付けるもの
『……』
常識ではどうであったかといふ
『……』
曖昧な背骨で解釈を得ようとするもの
『……』
蜩(ひぐらし)が鳴いているのが聞こえるか
『……』
悲鳴のやうな声で鳴いているだろう
『……』
自明の理(ことわり)を疑う君は賢明
『……』
真っ白な帆布に頒布される地図を見よ
『……』
国境(くにざかい)には冴えない絵具があり
『……』
拡大鏡で見てみれば其処には
『……』
蜩(ひぐらし)が日々の暮らし苦しさに
『……』
鳥とは思えぬ声で鳴いている
『……』
永久(とこしえ)に続くのは悲鳴
『……』
悠久の時間を刻むむせび泣きの声
『……』
断ち切れぬ鎖は彼女に巻き付いている
『……』
情報の操作及び配達人の所作
『……』
水溜りにはボンドを垂らしておく
『……』
水黽(あめんぼ)が真実を知らぬよう
『……』
蜘蛛が卵を産めなくなるやう
『……』
水は全生命の源だなどといふ
『……』
不可思議な事だと私は断ずるな
『……』
進化論の欠点を見つける為に
『……』
世界最小の接点を探す旅人の結論
『……』
兄は嘘をついていたに違いない
『……』
姉は目をつぶっていたに違いない
『……』
弟は足をくじいていたに違いない
『……』
妹は酷い目にあっていたに違いない
『……』
母は必死で守ろうとしたのだろう
『……』
父は必死で攻めようとしたのだろう
『……』
祖母は無関心を決め込んでおり
『……』
祖父は片足が棺桶と風呂桶の間(はざま)
『……』
気泡瓶の栓はとっくに抜けており
『……』
内圧は外圧との並行化を目指す
『……』
垢抜けた友人の普通預金には
『……』
体裁を整える為だけの残高
『……』
衣食住を声高に叫ぶ輩には
『……』
まったく禄な禄が居ないものだ
『……』
好きなものは崇高な魂と知識
『……』
好きなものは知識を昇華した知恵
『……』
好きなものは自然とともに生きる
『……』
有翼動物の正に飛翔せんとする姿
『……』
好きなものは死に瀕してもなお
『……』
力強く生きようとする勇気
『……』
好きなものは生命の輝きと色
『……』
赤から脱皮し変化する瞬間の繭
『……』
まるで宝箱を開ける瞬間の気持ち
『……』
まるで東海自然歩道を踏破した瞬間の
『……』
待ちわびしもの来たれりといふ気持ち
『……』
救世主はやってくるのだろうか
『……』
昨日と今日を分断する剣を携えて
『……』
好きなものは真実の史実と歴史
『……』
改竄されていない本当の歴史
『……』
瞑想深まりて辿り着く叡智
『……』
好きなものは君の視線と仕草
『……』
薬局のテーブルの向こうには
『……』
久々に別世界が浮かんでいる
『……』
良薬は口に苦いとはよく云ったもの
『……』
血圧の薬を提示する無知な薬剤師
『……』
対峙する老人はそれに対しYESを
『……』
待機する40前後の瞑想者はNOを
『……』
それぞれ突きつけて態度を明らかにする
『……』
鬱を伐つ薬などあるものかよ
『……』
氣を高め操作する薬などあるかよ
『……』
薬剤師は無知を極めた存在だ
『……』
医局はあれとずぶずぶの関係だろ
『……』
あれはそれとずぶずぶの関係だろ
『……』
それはあいつと蜜月関係じゃないか
『……』
酔っているんだよ結局のところ
『……』
あいつは薬局に佇む40前後の
『……』
名前のない男にそう言い切った
『……』
彼女の行為には注釈がつけられ
『……』
枝葉と等量の根は露わにされる
『あ…』
右乳首には鼠鋏(ラットクリップ)を
着装させられ
『あ…』
左乳首には鼠罠(ラットトラップ)が
喰いついた
『あ…』
夢世界を舞う姫の仕草の泉に
『……』
沈黙草がきりりと咲いている
『……』
乳首を鼠達に噛まれ舐められ
『……』
その草は無明の松明に焼かれる
『……』
痛みを手放すことはできないらしい
『……』
痒みを手放すことはできないらしい
『……』
複雑怪奇な列車の行方を追うのが趣味で
『……』
動力には日本海で採れる資源を使用する
『……』
そんな怪物に襲われる娘と無素目
『……』
麦茶を創ろう/今日という日が
『……』
麦茶を創ろう/いい一日となるように
『……』
麦茶を創ろう/誰も知らない名前の
『……』
そこいらに生えている葉を使って
『……』
麦茶を創ろう
彼女の痛む肌に
『……』
麦茶を創ろう
垂らす為にもいいだろう
『……』
麦茶を創ろう
毒見は奴隷の役回り
『……』
麦茶を創ろう
美姫の唇を割いて
『……』
麦茶を創ろう
這入り込む肉芽由来の
『……』
麦茶を創ろう
涙目誘う残酷茶として
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