《瞑想小説 狩人》

瞑想

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美姫の場合

美姫の場合71⃝

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 『ひ。ひ。ひ。いい気味だねえ。美姫。飲みな。飲みな。ほれ。』老婆は笑いながらそう云った。暗躍する緊縛館に躍動する緊迫感。動けぬ四肢。其れ等を呪う瞳。醜悪な親指と人差し指。老婆の欲求の象徴が其処に。

 『マッドサンタからのプレゼントだよ。ひ。ひ。ひ。』口撃及び攻撃を受ける唇。同箇所に老婆の皺がれた指が肉迫する。口を十文字に開かせられた美姫は身悶えつつ嗚咽を三度。ところで。老婆が使用したのは右手だったと記憶しているがどうだろう。答えは長老の持つ目安箱にて確認することとしやう。

『宇/宇/宇』老婆は指先に毒針のやうな
『宇/宇/宇』スポイトのやうな器具を持つ
『宇/宇/宇』先端は何処までも尖り誇り
『宇/宇/宇』罪を重くする咎人の形貌
『宇/宇/宇』美姫の舌先は未だ
『宇/宇/宇』諦めがつかない様子である

 『どんな氣分だね。教えておくれよ。生先(おいさき)短い婆に垂らされる水分の味についてを。未知だろう。身恥(みち)だろう。未乳(みち)だろう。いい気味だねえ。』

『宇/宇/宇』老婆は逆側の手を使用し
『宇/宇/宇』彼女の口腔内を探索する
『宇/宇/宇』発見され拿捕されたのは
『宇/宇/宇』味覚神経の概ねを司る部位
『宇/宇/宇』美姫の舌先は老婆に摘まれる

『宇/宇/宇』ぬめりとした舌先を掴まれ
『宇/宇/宇』同箇所に最初の一滴が滴下される
『宇/宇/宇』「ぴくり」腰から浮き上がる所作
『宇/宇/宇』同所作は緊縛鎖に封じられ微差
『宇/宇/宇』苦悶寺に奉納すべき古文書の笠

 『丁稚奉公(でっちぼうこう)ならオランダに行きな。設置方向(せっちほうこう)に迷いが生じるのが関の山さね。待ち惚け備忘録としてカレンダーを見な。万が一の非常食には楕円型(だえんがた)のクッキーを貰いな。ひ。ひ。ひ。いい気味だねえ。』

『宇/宇/宇』右手は未来ゑ図を見に行きたい
『宇/宇/宇』左手は真実を求め過去へ旅費払い
『宇/宇/宇』右足は疲れ果て休憩を求めるのに
『宇/宇/宇』左足は先へ進みたいと小言を云う

 『出来損ないのバーテンダーに愛を告白をすればいいのさ。ひ。ひ。ひ。時計を御覧。止まっているだろ。6時66分66秒66で。どんな氣分だね。』

『宇/宇/宇』癇癪持ちの破廉恥な小鳥/一羽
『宇/宇/宇』大きな羽を刎ねられる湖の畔(ほとり)
『宇/宇/宇』ひとも,まばらな,帰り道
『宇/宇/宇』だれも,いない,孤高の路地

『宇/宇/宇』誰かが電柱の影に潜んでいる
『宇/宇/宇』隠しきれぬ大きな体躯は熊か
『宇/宇/宇』知らぬ存ぜぬを徹頭徹尾貫く
『宇/宇/宇』九尾の狐か/それとも銀色の狼

 答えのないピボット・ターン。昨日今日の秘蔵っ子はカウンター・リセット。美姫は舌先の痺れを感じている。苦い。苦い。全人生を捧げても否定したい程の味がする。舌先を強襲し教習する苦蟲を嚙み潰してしまいたいと願い,腰を振る。スポイトから一滴。一滴。また一滴。滴下される刺激薬液は唾液と混ざり下顎で科学変化を起こす。

『宇/宇/宇』動物達の上等な皮を剥ぎ取り
『宇/宇/宇』宴に添えるのは魅惑的行為
『宇/宇/宇』スレンダーとサレンダーの相違
『宇/宇/宇』湖畔の水を解毒せずに煮詰め
『宇/宇/宇』スポイトで収集し笑い転げる婆
『宇/宇/宇』其れを舌苔(ぜったい)で絶対に受け止めろと
『宇/宇/宇』無理強いの舵取りをする紺屋

 『………☓☓。』腰を振り振り。螺螺(ねじねじ)。撚(よ)り撚(よ)り。性の誘惑は恍惚とし目安箱にぴたりと収まる。攫(さら)われ,拐(さら)われ,皿割(さらわ)れ,避(さ)らわれた巫女よ。俺と羽子板をやらうぜ。落とした方が負けだ。右腕を賭けよう。右足でも構わない。俺とトランプゲームをしやうぜ。ジョーカーしか居ないポーカーをしやう。bet。but。meaning does not exist。

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