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美姫の場合
美姫の場合㊼
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『嗚/嗚/嗚』無表情でそれは侵入してきた。特段のノックもなく。別段の話し合いもなく。「愛」と「恋」との違いについても語らず唐突に花弁を突き破る。四名の責め手が持つ筆先は絶妙な匙加減で美姫の躰を昂らせ/弱らせ/守備的な位置に居る筈の味方の精神を脆弱にしてしまう。
肛門括約筋は蓮華のように可憐である一方、醸造され久しく放置されたワインのようでもある。何(いづ)れにしろ飲み込まれる運命である事に間違いはない。
『嗚/嗚/嗚』咽び啼きの仔羊に似た叫び声。『嗚/嗚/嗚』もう一度。今度は仔猫のような忍び哭き。反転した筆の柄部分は挿入され内部の構造を把握し歓喜する。蓮華草よりも見事な桃色の絨毛が生え揃っているのを見つけたからだ。彼女の直腸内を徘徊する旅に出よう。
『嗚/嗚/嗚』呼吸が荒くなる。排泄器官による性交は奥地を目指す。彼女には身動きを封じられている現状こそが相(あい)・相応しい。愛のない交わりは狡猾な狐の爪先(つまさき)。狸の腹裂きを目論む綿密な作戦。東雲(しののめ)に牝狐を添える。
『葉/葉/葉』炎が揺らめく。部屋の隅。東北方向45度に燭台が在る。揺れる炎が色を変える。赤(あか)から赫(あか)へ。赫(あか)から黒鏡に反響した朱(あか)へ。変化色は淫靡にして甘美。業火に追従された空気は水分を飛ばす。奴隷色の世界感は深みを増し/漆黒の闇の深さを際立たせてゆく。もっと深く。もっと深く。もっと深く。もっと。もっと。
『葉/葉/葉』挿入物の半分が埋まってしまう。複数回に分けて抉じ開けられ直径を増す蕾。直腸内の接触部分には若干の湾曲が在る。困った湾曲だ。実に困った婉曲(わんきょく)だ。梃子摺る訳にはいかない。一気に小腸まで到達したいのが洪水のような本音。
『葉/葉/葉』苦しい。苦しい。呼吸が苦しい。ドメスティックな酸素分圧は窒素と等しく混じり合う。彼女の呼吸を一番苦しい状態にする為だ。
吸気と呼気の隙間の止息(しそく)。状況は変化せずどうにも上手く呼吸ができない。直腸内壁が悲鳴を上げる。唇から漏れる吐息と連動しているようだ。上も苦しい。下も苦しい。二面楚歌を優雅に楽しむには早すぎる。ぜ。
『葉/葉/葉』蜜蜂達が挙(こぞ)ってやってくる。「世界で一番甘いものが此処に在る。」「集え。最果ての地から。」「迷路を抜ける助力。集合的無意識で一点突破するぞ。来い。」意思伝達の速度は瞬時に球体の裏側へも届く。意識は光速を超える唯一無二の物質也。無知な女に知らせてやろうぞ。本当の智慧の残酷なまでの力を。
『嗚/嗚/嗚』無意識のベランダを駆け上がる女。それを追い詰めて尻尾を掴む男。性交渉という純粋行為はいかようにも姿を変える。高層マンションの奥底の牢獄で。全うで高尚な交渉など考証できる筈もあるまいて。
黙って尻穴を犯されていればいいんだ。騒ぐな。騒ぐな。藻掻くな。足掻くな。無駄だ。大人しくしていろ。だが。大人しくするな。その声をもっと聴かせろ。夜に溶ける甘美な鳴き声を挙げろ。頬を染める桃よりも甘く。何よりも甘く。
『嗚/嗚/嗚』責められる女は奴隷であり最下層身分。責める男達は選民であり高次元の支配者一味。一方的な搾取の図は奇妙な美しさを孕んでいる。「美」。それ以外には何も生産されず逆転する昼夜。前身頃(まえみごろ)が無事であるにも関わらず/後方への蹂躙は容赦がない。そのミスマッチとアンバランスはバングラデシュの主食のようだ。
包囲網は網目(あみめ)を細くしてゆき/鉄心に鋭利な荊棘(いばら)を巻きつける。彼女の苦悶を更に酷いものにする為。彼女の目から流るる涙の量を倍する為。血が流れるのならばそれを美の女神に捧げる為。
『宇/宇/宇』結局,彼女は何度か弓なりになってしまう。濡れぬ蕾は痛みを伴うだろう。手前側に彼女の性感帯が在るようだ。
枯れる前に宝珠を纏う水仙を咲かせてやろう。虐めてやる。嬲りつくしてやる。足し算も禄に出来ぬ靄掛かりの脳内は捨て置け。肉の塊になっていればいいのさ。
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