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美姫の場合
美姫の場合㊷
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誰かが置き忘れた傘立てが部屋の隅に在るのを知る。身体は情報を奪われるとともに醸芳(じょうほう)果実と成りゆく。剃毛作業は完全であった。秘部毛(ひぶげ)の生成に必要であった筈の蛋白質は用済みだという訳だ。齢10から共にあった彼女らとの別れは寂(さみ)しかった。が。今はその別れの儀式に意識を向けるべき時ではない。拷問具が洞門に狙いを定めひっそりと機会を伺っている。
後半戦に使用される穴は非常に非情な性格を持ち合わせている。まあ。積極的打法で打撃箱に立った者ならば理解出来るかとは思うが。其の穴は比較的、弾力性を持っているしヒキガエルの胆(たん)程に柔らかく迎え入れる事も出来る。舌を這わせればその大きさに。模型(もがた)を咥えさせればその大きさになるという訳だ。
『ああ…あ』硫化水素の匂いがする。随分と空苦(くうく)な話術。『無毛地帯の完成に拍手を。』4人のうちの一人がそう口にする。はっきりとした口調が周囲を震動させる。無駄を排した部屋の壁。焼入れを施した鋼鉄の硬さを聞く。
麗美なる喘ぎ声が反射することで淫靡の庭に咲く夜待草に花をつける。此処は漆黒の閨。四刻の半図にして最も巨大な体躯を持つ誰かの臓腑の中。
美姫と呼ばれる女性から剃刀が遠のいてゆく。『恥ずかしいだろう。奥さん。』追い詰めるように男が追句をかける。曲がった鉄。曲がらされた鉄。熱を加えることで形を変化させるシリコンは過加熱末期(オーバーヒート)。
溶融点を越え/沸点を越え/理想的混合で加熱する火災の初期火花となり街を燃やす。立ち上がる煙の正体は炎に成れず冷やされた微粒子。閻魔帳にその成分を付せば帳(とばり)が下りる。
『はず…かしゅう…ございます…』『………ああ…』万葉娘ならばそう答えるのだろう。実際にそう答えるのが彼女の惚れどころ。小さな仕草と言葉で見事に羞恥を表現する女(おんな)。彼女を題材にして番組を撮影することとしよう。蓮華草を踏み躙(にじ)る2時間番組を撮影させるのも悪くはないだろう。
『いや…いや…いや…』その唇は震えている。まるで三重殺の重箱の隅。何処をつついても綺麗な綺麗な羞恥豆(しゅうちまめ)がぷるぷると泣いている。泣け。喚け。泣け。鳴け。喚け。そして啼け。哭け。
甘々しい仁王(におう)の香りがする。皇后様が残した日溜まりの残渣(ざんさ)から放たれるものどもは美しくもあり猛々しくもある。炎帝様(えんていさま)と称される何者か。『君は一体何処の何者で在るのか。』と誰かが問う。
周囲には満面の笑みの奴隷達。不思議なもので彼等は皆,一様に笑顔で右足を舐めている。対を成す女性陣も同様に笑顔。一様い笑顔で左足を舐めている。恍惚の表情に微塵の埃も見分されないことから同絵画は涅槃ゑ図の一部を切り取ったものであることを識る。
『嗚呼』
指先が炎に包まれる。
『嗚呼』
心燃ゆる秋。素晴らしき人生。
『嗚呼』
自然発火現象をもたらす箱の外縁部には
『嗚呼』
黄燐と赤燐(せきりん)が等分混じり合い
『嗚呼』
俺の心に焔(ほむら)をともす。
生きながらにして入滅すること。生きながらにして超越すること。地面にしっかりと足を着けながらも。臍下丹田に重心を置くこと。会陰の最下層よりももっと深い場所を探すこと。中丹田は生きているか。活動しているか。躍動しているか。美樹の身体を嬲りつつ炎帝様の部下達は呼吸に意識を集中する。
『嗚呼』
殺してやる。明確な殺意を持て。
『嗚呼』
何を。何を。囚われた俺自身を。
『嗚呼』
邪魔するな。声を掛けるな。消えろ。
『嗚呼』
野暮な輩め。お前には関係ない。一切。
『嗚呼』
一瞬前の自分を隅に追い込んでやる
『嗚呼』
そして首に三枚刃を当てがい。暁(あかつき)。
『嗚呼』
空海の領域を越える高僧になる。
『嗚呼』
呼吸以外に必要なものはない。
『嗚呼』
量子力学と原始経典は絡み合い
『嗚呼』
今,解(ほど)け正体を表そうと藻掻く。
『嗚呼』
待っていろ。外殻(がいかく)を剝いてやるから。
『嗚呼』
美姫さん。ついてるぜ。あんた。
『嗚呼』
此の瞬間に立ち会える女になれる。
『嗚呼』
絶頂への
奴隷(スレイブ)御出掛(ドライブ)へ
『嗚呼』
連れて行ってやる。呼吸を忘れるな。
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