《瞑想小説 狩人》

瞑想

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美姫の場合

美姫の場合㉚

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 硝子瓶が空になる。その分だけ私は昂ぶってゆく。再度噛まれた突起に対し『……!』弓なりになるのが答え。股座は洪水模様。性を意識するやうになってから最大級の風が吹き荒れてゆきます。風速60m/風速66m。靄(もや)だの霧(きり)だの霞(かすみ)だの様々なものが襲いかかって参ります。

『ぺろり』脊柱起立筋を舐める一本の舌。『…は…っ』適度な解を探せずに彷徨う肉体が私。『ぺろぺろ/ぺろり』斜角筋を攫う更にもう一本の舌。

『…う…』氷売りが媚薬を混ぜ粉ぜにし華奢な首山地(くびさんち)を這うのです。嗚呼。嗚呼。嗚呼。

『ぺろり/ぺろり』欄外の残骸を求める舌先は告げる。『もっと媚薬を足してやろうか。』もう適当で手祈祷(てきとう)な通り雨ですら身体は達してしまう。恥ずかしい。恥ずかしい。見ないで。

『さてさて』硝子瓶が空になると更に次の責め。拷問箱の引き出しが開放され色違いの液体瓶が確認できます。

 同瓶から延びる先端チューブ。今までのものは全体を紅葉させ高揚させるためのもの。今度の御挨拶は局所責めの為に飼養されるのでしょう。使用もされるのでしょう。何となく理解できます。「おんな」ですもの。その程度の嗜みは。

 猛虎が突起先端部を貫通して這入ってくる。『熱いか。じきによくなる。』『腰をくねくねするんじゃあない。大人しくしてろよ。』『未だ未だこれからだぜ。』『夜は始まったばかりさ。』

 確かにそうでしたね。時計の針に視線を移す私。御主人様が着座されている更に後方に壁掛時計。時間は12や24という一般的な呼称を忘れているようです。

 1が3つ。6が3つ。9が3つ。万年虚数(まんねんきょすう)が複数記されておりアステカ歴を解するものでなくば正確な時間は測れない。

 晩具(ばんぐ)の深海に潜む烏(からす)。啄む箇所を探している。なるべく特記できる箇所がいいと。なるべく突起の先端がいいと。仮免許も持たぬ若輩者の弱点を嬲りたいと騒いでいる。実施されるコーラス。混じり合うファズ。閃輝暗点のディストーション。迷路の出口にマルチ・オーバードライヴ。

 結局狙われたのは両突起達でした。淫乱チューブから漏れ出流(いづる)ものは突端に何度も何度も接触してゆきます。『ぽたり』ひとつ。『ぽたり』またひとつ。『ぽたり』もうひとつ。『ぽたり』更にもうひとつ。雫がニップルのカップルにバックルを装着します。快楽から逃げられぬようにと。

 皮膚からの吸収はまだ序の口。宵の口。直撃医師の診察はいただけませぬ。訪問販売業者はお断りしたおります。美姫(わたし)の皮膚を缶詰にしないで。捕鯨するのは禁じられている筈。何故。何故。何故。

 否応なしに反応する身体。地獄とは斯様な場所を差すのでしょう。突起は温度を増し灼熱酒を飲み込んでしまいます。授乳とは逆ベクトルで走行するハンブラビ法典の秘密儀式みたい。同世界線では時間は未来から過去へ流れてもゆく。同世界線では空間は収縮傾向にある。

 熱い。熱い。胸が熱い。灼熱ホテルの廊下みたい。液体から奇妙な音『しゅー』『しゅー』『しゅー』何度か其れが響けば呼応する女性の声。

 『ああ!』『だめ!』『やめ…て!』止めない。彼等は止めない。御主人様の子飼ひの四名(しめい)は氏名のない使命で指名されているのだから。そんなこと解っているわ。耐えなくちゃ。此の熱さに。局所熱中症患者になっては…いけ…な…い…。でも。でも。で…も。ああ。

 いよいよ突起が。両乳首が灼熱黄砂との公差で火傷しそうな体感。体幹に逃がせる熱さではないやうです。

 モノクロームのフィルムみたい。劇場の隅で交差する恋人達の故意の犯罪みたい。失神してしまいたい。それほどまでに直撃媚薬の効能は凄まじかった。焼けてしまう。灼けてしまう。焚けてしまう。

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