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美姫の場合
美姫の場合⑩
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晩具(ばんぐ)が幾つも準備されている。美姫が緊縛されている畳の部屋のことだ。御主人様ではない一人の男が肋骨上部に噛みつきつつ両胸の突起を虐めてくる。手捌きは機械のように正確。『嗚呼…嗚呼…』美姫の虚ろで淫靡な喘ぎ声に瞼,一つも動かさぬのは奇怪な性格。揺らぐ視界は自国の標準時を失っている。アンティーク趣旨の壁かけ時計は4時44分を指しているのに彼のシーマスターはもうすぐ早朝の5時に全ての針が集まるところ。一般相対性理論で表現する重力場と揺らぐ空間の証明書が此処に在る。BANG。
晩具(ばんぐ)は物議を醸しながら適当な口論を実施していた。洗濯鋏に近い形状の銀色は言う『俺達の持ち分は彼女の突起に決まっている。嗚呼。早く挟みたいぜ。あの桃色の突起を捕まえるんだ。旦那。いいだろ。』『ひい,ひい,と馬のやうに鳴くのが聞きたいぜ。両手の緊縛状態も丁度いい。部屋の寒さも丁度いい。あとは旦那。貴方がすんなりと俺達を手に取って開いてくれればいいんだが…どうだい。』BANG。
『もう少しプレゼンテーションしておきましょう。旦那。我々は永久機関を宿す本体と幾つもの手に分割されています。賢明な貴方の御理解のとおりです。彼女の感度も/突起のサイズも/内部形状とパチニ小体の開発具合も/何でも情報として伝達できます。勿論,貴方がたの御主人様がお持ちの情報収集箱にも接続されています。良い匙加減でお使いくださいな。此の程度は些事(さじ)でありましょう。寡言(かげん)の慎みは持ち合わせております故/御安心を。』BANG。
『我々をお試しになりませぬか。我々をお試しになりませぬか。一度試せば癖になること受け合い。請け合い。秘密にしろというならばそう致します。彼女の廃校になった母校の引き出しに開放しろというのならばそう致します。』BANG。
晩具(ばんぐ)のうち昨夜,彼女に使用された物達が息を吹き返す。畳の部屋に転がっている懺悔色の球体達。直径は様々で用途は御想像のとおり。食鶏(しょっけい)との関係はなく女体の蹂躙のみに特化した円周率の魔物。彼等から延びるコードは未(いま)だAC100ボルトに接続されており再活動の宣言を待っていた。情熱の赤い球体は言う『まだだ。まだ終わっていないぜ。俺は下方突起と接続されたいんだ。』快活な橙(だいだい)の球体は言う『この程度でくたばるなんてな。御主人様のお怒りもごもっともだ。元氣が一番。もっと動き回りたいぜ。さ。さ。旦那。早く。』溜めるのが趣味な黄色の球体は一言『君の弱点は掌握したよ。そして黄色車輪(マニプーラ)に集功してある。何時でも開放できるようにな。』BANG。
晩具(ばんぐ)は昨夜を思い出している。甘い蜜を求めている。酔い彷徨っている。中央に転がっているのはくすんだ緑色の球体『私を通過しない氣に意味はない。私は全体への愛。私は全体との調和。中央に位置する車輪であり愛の結晶。愛と性欲を分断するな。それは逸れた烏の独り行(ぎょう)。それはそれは愚かな事であるぞ。手前勝手な愚行と断ずる。先ずは私を手にとるべきではないかな。』BANG。
青の球体は流石。表現力の車輪は力強い真理を告げる『艶やかなるは乙女の姿。無垢なるものを汚すことなかれ。剝くことなかれ。夢空(むく)なるものを放っておくのは万死に値する罪。演舞曲の序幕を汚すことなかれ。皆ゝ成すべき事を成せ。皆ゝ成すべき事を成せ。美姫という美しい淑女の求めに応じようではないか。地獄絵図になろうとも。』BANG。
晩具(ばんぐ)の求めるところは宴の再開である。濃紺の球体は知性の結晶としての視界情報を百会(ひゃくえ)に送り込む。紫の球体は美姫の機密情報を全て把握しておりマイナス6号室の男,つまり御主人様に収集した情報を送るのだ。それは彼女の核であり芯であり/陰核であり同芯であり/放心状態の彼女の仕草であり/訪問者の砲身に充填された浴翼(よくじょう)の指標である。BANG。
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