《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交差

混沌

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 平時の心を取り戻すにはやや時間が掛かるだろう。抑(そもそも),平時といふ概念図が確固として在るのなら括弧で強調して示して欲しいものだ。人は弱くもなるし強くも成り得る。日々の身体鍛錬を通じて無尽蔵の体力/生命力/胆力を手に入れたい。俺は未だ未だ未熟者であり途上だと思う昨今の出来事に獣の目で一瞥をくれる。

 早朝の朝陽に至る前に冷水を浴びる。自律神経を整え血流を整えるには此れが一番でり最上の行為。音楽を聞く。特殊なアプリケーションで周波数を落とすのが骨であると師匠が言っていた。瞑想に耽る。右耳と左耳で周波数帯の違う特殊音源(バイノーラルビート)で細胞を振動させる。フラクタル構造の意識を増幅させる。氣をとことんまで感じる自分を呼び覚ます。深い瞑想は極限の弛緩をもたらす極意であり,闘争本能と脳内麻薬を一気に補給する喜びの身体操作。

 習慣…そう。習慣…そう。人間は習慣で出来ている。再度確認だ。集中…そう。集中…そう。極限の集中力を背骨に姦通させ貫通させ無駄な時間を可能な限り削ぎ落とす。不安…そう。不安…そう。未来から流れる時間軸に思いを馳せる事なく今に集中する事だ。此れが肝心だ。過去…そう。過去…そう。過去は膨大な情報量を誇り電子回路全般(インターネット)は其の一部でしかないと心に決め臓腑に落とす。大胆不敵。豪胆獣目。豪放磊落。泰然自若。慌てない。鵜目鷹目。焦らない。氣は行動に伴って発生する。陽氣と陰氣の偏りを修正し中道を真っ直ぐに歩くのならば間違いが起こる筈もない。

 右の肩甲骨をもう少し動かした方がいい。鎖骨と繋がり/肋骨上部を滑る稀有な骨に未知の氣道を見つけた気づきを大事にするべきだ。温養(おんよう)の概念を昇華させて唱歌を共に。貴方と私は一緒。焼けた鉄板もそう。赤い消火器もそう。長く伸びるバベルの塔の突端もそう。ダ・ヴィンチの洞窟の奥底に在った不気味な存在もそう。砂漠に埋もれていた歴史書もそう。宇宙がずれているだけ。傷を負っているだけ。本質を失っているだけ。今はまだ。混沌と仲良く出来ていないだけだ。多分。

 混沌の操作は続編を求めている
 右脳から発生する脳内麻薬は右手を喰い
 左脳から発生する脳内麻薬は左手を喰う
 鞭が時折振られ哭き咽ぶ女囚は
 精神的には拿捕されており
 肉体的には絆されている
 恍惚の表情を浮かべる少女は即時
 激痛と圧痛と卵痛と晩痛の中

 蟲は少女の脳内で様々なものを喰う。脳内回路は宇宙の連絡航路に似ており空間と時間を無尽蔵に内包している。最小単位の小さな山谷を旅する喜び。幾つかの村が在り其処を訪問する度/門前払いを食うのに嫌気がさせば/多少強引な引火物を使用し錠前を破壊する企ての文月(ふみつき)。

 『…!…!…!』彼女の反応が変わる。首振り所作を3度。全身はがくりがくりと震えており震度6強。源氏物語から抜け出たやうな濃紺の浴衣が壁に掛けられいるが寒さに泡立つ肌は其れを着用する事を許されない。『あ…あ…あ…』蟲の行為と肉芽の種付けは深度7そして叫(きょう)。漏れ漏れる喘ぎと吐息。口元周囲の空気を銀色に煙らせる。『もう…だ…め』奴隷の身分に非ざる発言。閲覧者の付す文字は凶(きょう)。慟哭と恍惚と混沌の中で饗時が過ぎる。

『かみ/かみ/かみ』小脳に至る蟲
『かみ/かみ/かみ』大脳を駆ける蟲
『かみ/かみ/かみ』扁桃体を弄ぶ蟲
『かみ/かみ/かみ』官能の反応に呼応し
『かみ/かみ/かみ』深く潜ればなお楽し
『かみ/かみ/かみ』舐め回し抉る作業は
『かみ/かみ/かみ』エンドレスに終わらぬ工事
『かみ/かみ/かみ』宴を反射す伸度8の鏡
『かみ/かみ/かみ』天翔ける烏は網膜の中
『かみ/かみ/かみ』天馬と天魔の喧嘩は相剋の園

 松果体に取り憑いた蟲が居るやうだ『あ…あ…あ…あ…あ…』開いている筈の目は視界を失っている。硝酸の匂いがする。在りもしないのに。凍土を行く犬ぞりが見える。在りもしないのに。此れは誰かの記憶の反射。混沌(カオス)は一部であり全部であり包括的思考であり無意識の氷山であり阿頼耶識の半氣であり半旗でもある。

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