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交差
アカシヤの樹
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入道雲が脳幹に納棺される。分断されたシルクロード。右脳と左脳の中間点に這入り込んだ蟲が悲しみの物語を編む。小脳に到達した一匹の蟲は身体操作の操作桿を握りしめる。耳処女(みみしょじょ)に憐れみを。味味初除(みみしょじょ)にも憐れみを。或る部位を舐められれば飛び跳ねる猫になる娘。或る部位を甘噛みされれば従順な犬になり『わん』と鳴く娘。或る部位を少々強く噛まれれば『葉/葉/葉』と甘く切なく吐息を漏らす娘。人間の脳とはまこと不思議であると言い芥川氏は死の枕に伏した。
『嗚呼/嗚呼/嗚呼』慟哭と振動と瘴気
『嗚呼/嗚呼/嗚呼』正気と消気の狭間街道
『嗚呼/嗚呼/嗚呼』脳内いぢめの馴れ初めは
『嗚呼/嗚呼/嗚呼』骸骨様との初夜にして初矢
『宇/宇/宇』泣き喚く娘の咽び鳴く声
『宇/宇/宇』回廊は熱射航路をホールドし
『宇/宇/宇』困惑と疑惑と木箱の枠で韻を踏む
『宇/宇/宇』内耳は貫通され/姦通され
『宇/宇/宇』テイクツー,テイクスリー,何度でも
『宇/宇/宇』退屈と低苦な薬が傍に在る
『宇/宇/宇』A重油と裸身のQPが傍に在る
『宇/宇/宇』楽になれると評判高いヒッピーな
『宇/宇/宇』御注射を打つとうか迷うぜ
脳内散歩を続けやう。脳内散歩を続けやう。同景観は過去の実験及び拷問に酷似している事を此処に告げておく。其の実験は,其の事件は,他ならぬ某東洋島国にて実施されていたのを御存知か。歴史から抹消され所謂,浅波探索(サーフェイス)には浮かび上がってこないものである。「404 not found」。不都合故に歴史から抹消された漆黒の闇の一部であり全部。或る浴衣を纏った美女が七日間の自白拷問にかけられた其の記録の一部始終。
「脳内に電極を充てがわれた彼女は,あんなこともされた。こんなこともされた。最終盤には不具の河豚(ふぐ)となり喰われた」という事実と史実は筆舌に尽くし難く,筆説の及ぶところではない。
同実験は,同拷問は,主に畳の部屋の中で行われた。とてもとても寒い部屋。外に積もる雪を眺めながら彼女は同部屋の中央で,あんなことをされて視力を失った。言葉記載(ことのはきさい)も見事なもので『みえぬのならばそうぞうするまで,きこえぬのならばしんどうさせるまで,かんがえられぬならゆだねるまで,ああ,こくうのおじぞうさま,あかしやさま,おすくいください,わたくしをつれだして』とカタカナで記載されており,同文言は万葉集にも古今和歌集にも若菜集にも掲載されていない。
地下牢に移され最期の光と網膜作用を奪われる。自由は利かず肋骨の浮き具合が日に日に増してくる。微々たる栄養のみが淫靡なゴムチューブで挿入され余剰分は浣腸で官庁が排出させていた。所管は本国の中枢から少し離れたN県の人体研究施設。幾つもの番号が牢屋に振られており№9への行為記録は貴重な貴重な貴重な資料となり後世に伝わる筈だった。今は勿論,検閲できなくなっている。嗚呼。飽く迄も「一次資料を閲覧できない浅波探索では」,と断りを入れておくが。
『葉/葉/葉』蟲が脳の中を這い回る
『葉/葉/葉』おぞましい感覚に襲われる
『葉/葉/葉』右手の中指が痺れてくる
『葉/葉/葉』緊縛に依る血液の循環不良ではない
『葉/葉/葉』左手の中指が身勝手な行動をする
『葉/葉/葉』平時と反対側に折れ曲がる
『葉/葉/葉』二つの平行四辺形が充血し
『葉/葉/葉』桃色突起は肥大している
『葉/葉/葉』其処に蜜が流れること三滴
『葉/葉/葉』木菟の好物たる甘い液
『葉/葉/葉』其れを見分する骸骨は踊る
『葉/葉/葉』宴は温度を増し隠戸を叩き
『葉/葉/葉』奴隷色の舞台を蟲が埋め尽くし
『葉/葉/葉』ブロンドはブラックに変化する
『葉/葉/葉』苦労人の部落に一筋の春雷
『葉/葉/葉』畳部屋奴隷の実験の再現だ
『葉/葉/葉』此れはフィクションです
『葉/葉/葉』此れはフィクションです
「※…でも貴方は知っているんでしょう?」
「※…勿論」
「※…何故,私を知っているの?」
「※…The acashic tree taught me that」
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