《瞑想小説 狩人》

瞑想

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涅槃図…氣だるい自由

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 大人しゅうしておりますから。きつく縛るのはお止めくださいませ。そんなにも。そんなにも。私は海老では御座いません。御勘弁下さいますやう御願い申し上げます。私の身体を御求めならば差し出します。此の宴に必要なものならば。…僭越ながら一つ御願い申し上げます。呼称について御指定くださいませ。一人称は『旦那様』『御主人様』『大旦那様』『王様』『支配者様』と種々,御座いますがどれがお好みでいらっしゃいますか。自己肯定感と自己効力感と秘匿(ひとく)な満足感で御選択くださいませ。お望みのままに致します。不自由を甘受せよと申されるのならばそのやうに。呼称の御指定の後に胡椒を振り掛けてくださいませ。お求めのままに。お求めのままに。御願い致します。

 宿命ならば/運命ならば抗(あらが)ふのは無謀といふもの。二人称は『奴隷』『玩具』『性奴(せいやっこ)』『冷奴(ひややっこ)』『愛玩動物』『緊縛娘』『妖精奴隷』『お前』等ゝ,状況にあわせて搦手(からめて)でお使いくださひませ。無防備を御求めなのでしょう。歓楽欲を満たさせていただくやう陥落翼(かんらくよく)を表現致しますので御確認くださひ。表情は羞恥に整えます。鎖骨に奴隷の輪を嵌めます。皆様が御求めならば自分で。肩甲骨を他店に売らず縦に使います。凶悪な手段に耐える胸郭で達します。達するやうに努力致します。様々な禁断の手法を無知な私に鞭で教えてください。淫靡車の中身を全部使用して頂いて構いませぬ。嗚呼/嗚呼/嗚呼。そして男性自身を固くゝ屹立して頂くやう御願い申し上げます。女囚の喜びとは斯様なもので御座います。あらかしこ。

私は玩具で御座います
私は玩具で御座います
貴方の玩具で御座います
魔窟の舞姫/淫靡な宴に舞い飛ぶ黒蝶
せめて一枚(ひとひら),散らせて欲しい
いっそ綺麗に/無碍なる手法で

突起を摘む指先/御願い
中途半端にしないでくださひ
摘(つま)んで欲しいの
虐(いじ)めて欲しいの
齧(かじ)って欲しいの
鎮(しず)めて欲しいの
沈(しず)めて欲しいの/識らぬ場所へ
静(しず)めて欲しいの/頬の紅桶

痛みを鎮める錠剤くださひ
小さな小さな錠剤くださひ
謝罪の言葉/『堪忍します』
禍罪の陰茎/『飲ませて頂きます』
錠剤くださひ/私に似合いの
私を玩具にしてくださひな

鞭振り上手な御主人様へ
打痕に塩ぬり御願ひします
禍根は瑠璃色/新鮮そのもの
打ってくださひ,其の鞭で
打ってくださひ,九尾の鞭で
猛ってくださひ,獣の瞳で
言葉をくださひ,もっと卑猥な

私は玩具で御座います
私は玩具で御座います
皆様,玩具の扱い上手
剥いて一枚,手捌き激しく
責めて紅(くれない)
責めて橙(だいだい)

 吐息の彩りを御指定くださいませ。髪型についても御指定くださいませ。視線は睨みと嫉(そね)みと諦めと明ら目を全て加(か)し,乗(じょう)し,除(じょ)したものと致します。其の混合具合の良い場面で停止を命じてくださひ。あらかしこ。

 どれだけ狂えば皆様のお気に召しますか。既に6と9の差違(さい)を判別出来ませぬ。既に頚椎と胸椎と腰椎は捻じれ捻じれて千切れかけております。緊縛姿勢を絵画にするといふ御無体にも応じますので御許しくださひ。嗚呼/嗚呼/嗚呼。

泥沼に押し込んでくださひ。
底無しの井戸で縛ってくださひ。
暗転舎の陰音符で眠らせて。
其れは最上の子守唄。

 ※『気だるい自由なんて要らないわ。それなら自立した不自由の方が素敵だもの。』※『半信半疑の自由なんて要らないわ。確固たる不自由の方が素敵だもの。』※『千差万別の性差を精査しないで欲しいの。結局のところ動物なんだから。』紫の脳内で高僧様が仰っております。「空と海と上と人を繋げた御名前」だそうですが御心当たりは御座ひますか。

 御求めならば猟虎(らっこ)になります。御求めならば悪狐(あっこ)になります。御求めならば白虎の餌ともなりましょう。嗚呼/嗚呼/嗚呼。素敵な御質問を有り難う御座います。『好みの男性について』なんてアダルトオンリーな上質でベルベットのやうな御質問を有り難う御座います。好みの男性像は…やはり身体的にも精神的にも成熟した方でしょうか。てれびじょんを齧(かじ)っておられる方よりも朝の公園で瞑想に耽(ふけ)っている方の方が好みといえます。自分軸で生きていらっしゃる方の肩が好きです。背中で語る男性が好きです。私が『隙あり』なんて言葉で好きを表現したら鋤(すき)を下ろしてくださる知性のある男性が好きです。でも。でも。でも。実は言葉なんて何でもいいんです。雰囲気を大事にして貰えるならば。『どんな無理難題でも解決出来る』そう自信満々に語る目に射抜かれたい。『死してなお愛する女はお前だけ』嗚呼/そんな言葉で殺して欲しいの。志士(しし)の目に濡れてしまひます。死屍累々の涅槃図で旦那様の勃起を握りたくなります。詩誌(しし)ではなく貴方だけの言葉を全身に浴びさせて欲しい。真っ白な雪化粧のやうな姿になる迄。素敵な言葉で臓腑の隅々を貫通して頂きたい。そんな欲望が些末ながら御座います。

 半霊体の私が申し上げるのも可笑しいでしょうが…生前と申しましょうか…奴隷市場の御主人様は仰っておられました。『・・・・金か。利己主義と排他主義の象徴の紙切れに過ぎんな。植物で言えば銀杏(ぎんなん)に近い中途半端な周波数の物体だ。或る一定値迄は心を豊かにするが/一線を越えると不可逆な性質を持つからな。』『・・・・勇気と覚悟の問題。使い方の問題。割合の問題。其の方程式は少数の者が知っていればいいだろう。俺は逆の発想をする。そして逆の発送をする。』『・・・・娘。お前の次の獲物は決まっているんだぜ。』『・・・・お前を攫う道中に遭遇した鋭い目の狩人だ。あの目が欲しい。あの眼が欲しい。何時でも死ねる覚悟を宿した綺麗な視線が欲しい。』『・・・・因みに俺に物欲は皆無。食欲も性欲も俺を支配出来ない。統制出来ない。彼には同じ匂いを感じた。奴が欲しい。右手と左手と両足を切り落とし達磨にする事が条件であろうとも。』

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