《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交差

赤の液体

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色服男の本気領域が拡大し拡散す
腹腔内圧の増大に苦悶の痴態を晒す彼女
『葉ぁ/葉ぁ/葉ぁ』其の蕾栓に3つの穴
右辺は太陽を象徴する洞窟の一部にして全部

客の一人が硝子細工に満載された液を充て
色服男の導きのまま赤い溶液の容積を射出する
同液体のうちの先行部隊が背中に接地する刹那
彼女はその細い腰を更に捻り細くなる/が

緊縛の裾野達が4本の存在を誇示する為
彼女は身動きをとれず/久しく指も動かせぬ
麻で三編みにされた縄は先刻よりも太くなる
魍魎の匣に潜む獅子は四肢の存在が鬱陶しいやうで

『君は只/我等の実験台であればよひのだよ』
右手は朱雀が久々に放った文句の虜

『此処で果てるなよ/未だ這入っておらぬ』
左手は玄武の力強い腕力には敵わない

『君は宴の贄にして極上の添え物となる』
右脚で青龍が小動物を子飼いにしていた

『魂の死と肉体の死は違ふのでな』
左脚で白虎は最も悪意のある虎に成る

四聖獣はそれぞれに彼女にもの申し
一頻(ひとしき)り緊縛の縄張りを強くしていく
赤味を帯びた武蔵野平野の朝は来ず
ぬるりと同色の液体が彼女に挿入される

『嗚呼…嗚呼…嗚呼…ぁっ』
素人喉自慢大会はとっくに人気をなくし

『嗚呼…嗚呼…嗚呼…っっ』
全モニターが彼女の鳴声を中継する

ベリーレアに焼かれた羽根の跡が痛々しい
其処に塗られた塩はヒマラヤの岩塩さ/勿論
意識レベルについて伝えてやらうか
痛み刺激にようやっと開眼する程度/200
其の開眼は現実を包含する事が出来ず
5ミリ方眼紙の上で悲しみを歌っている

ところで赤の溶液は蕾栓に相見積された穴のうち
一番右側の襞(ひだ)の中/奥深くまで挿れられた
其れは鶴の恩返しと真逆のベクトルを持ち
悪意のカクテルが腸内最深部に放り込まれる

びくり/びくり/びくり/身体が跳ねる
内圧の突風は彼女の意識を数回攫い
網膜で同色の炭鉱夫が今日の天気を聞く
彼女は薄れゆく意識の中で言うのだ

『今日は大雨です…傘も役に立ちませぬ』

『そう…今日は…大雨で御座ひます』

『三叉路に在った筈の道標も…嗚呼』

『吹き飛ばされて泣いているでしょう』

『今の私のやうに/今の私のやうに』

彼女は美麗な女肉スープになったやうで
7割を占める水分が8になり9になり
断捨離志向と排泄希望が当分混じる意識
赤の液体は腸内から溢れマクロファージを経由し
彼女の脳内で睡眠を担当する箇所をノックする

同箇所には全部破壊を目論むシヴァ神がおり
仙道の完成の為に溶液を飲み込む音『ごくり』
其の溜飲が下がる度に彼女は頭蓋の中にまで
其の龍婬が下がる度に彼女は頭蓋の中にまで
決して吐き出せぬ苦悶が溜まりゆくのを感じたまへ

 何処かで赤色の花が咲いているだろう
 何処かでオレンジの実が成っているだろう
 何処にも救いのない地獄変に垂れる糸は
 赤鬼と青鬼の欲まみれの喧嘩の結果さ
 何人も何人も涅槃に導ける糸じゃあないぜ
 そんな強さは誰ももっていない/誰もな

 賽銭箱の中身は流浪人のポケットの中さ
 真実を識るのに奔走しても構わないが
 駅構内の最下部に逃走経路が在るのを/さ
 識っているのなら挙手を願いたいものだ
 海と海を結んだ巨大な洞窟の中にもさ
 軍事と訓示と便宜と諸外国圧が在るんだぜ

『…嗚呼…』苦しかろうな
『…嗚呼…』表情で理解るぜ
『…嗚呼…』圧力について教えてやらうよ
『…嗚呼…』高いものから低いものへ
『…嗚呼…』簡単な理科学だろ/なあ
『…嗚呼…』内圧を高める事は肝心だ
『…嗚呼…』高藤氏もそう言っていたろ
『…嗚呼…』中村氏もそう言っていたろ

赤の溶液が脳幹まで納棺される/が
彼女は其の排泄を許される事はない
彼女は其の排泄を許される事はない
肛門には完全無欠な蕾栓をされているし
口腔は欲望の圧力に屈してしまっているから

赤の液体は腸内の圧を高める魔物由来
具体的に数字記載で1.8Mpaくらい
内部湿度上昇/反面で外部はドライ

『葉ぁ/葉ぁ/葉ぁ』其の叫び声を供物とし
『葉ぁ/葉ぁ/葉ぁ』宵の明星とダンスを
『葉ぁ/葉ぁ/葉ぁ』誰も居ない平野で踊ろう
『葉ぁ/葉ぁ/葉ぁ』常に北向く一等星すら
『葉ぁ/葉ぁ/葉ぁ』奈落に導く淫靡な舞ひを

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