《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交差

蕾栓

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色服男が射出した弾丸が男のこめかみを奪う
円形の弾丸は捻り運動に依り破壊力を増し
右のこめかみに入射し左のこめかみに射出痕を残す
脳髄と延髄/松果体と扁桃体を見事破壊する弾丸
冷たい床面に力なく倒れる彼を見分する者共が居る
台詞「まるで屍のやうだな/まるで屍のやうだ」

右手携帯の銃は彼の本気を感じている
其の切れ長の目を御覧よ/理解るだらう
其の指先の神経を御覧よ/理解るだらう
リズムを敢えて崩した即興曲に乗らぬヴォーカル
人目を気にしながら日々は変遷するが向上感はある

『…嗚呼…っ/…嗚呼……っ』

そんな一幕を尻目に/彼女は2杯目を飲み込んだ
干潮を満潮にする濁液は腸内を洗浄し貫通し
腹腔を逆流し圧迫感のみの宴を奏で奉(たてまつ)る
其れは直ぐに逆流帰途を求めるのであって
襞(ひだ)がぷくりと外界へ向かい御挨拶

色服男は反逆を許すまじと蕾栓を準備させ
返し弁が多数付着した万能科学の博士を召喚す
蕾栓は先端が細くビーズの玉くらい
男の指先が持つ後端は其の握り拳(こぶし)と同等分量

抜き出された硝子細工に付着するもの
其れは奴隷市場に堕ちた哀れものの詩
排泄を求める身体反射を制御するべく
蕾栓が彼女に挿入されていくのを

後方の22人は見ていた
中列の22人も見ていた
前列の22人は釘付けになっていた
特等席の何名かは歪な笑顔をさらに歪にし
市場の王は膝下の少女の両突起を摘み上げる

『…嗚呼』蕾栓を無理強いされ苦悶する娘
『…嗚呼』栓の中央には一方通行の穴がひとつ
『…嗚呼』栓の右端には一方通行の穴がひとつ
『…嗚呼』栓の左端にも同様の穴がひとつ

内部で振動する腸壁は排出を求めていた
胃まで逆流するやうな圧迫感の2リットル
完全な淫栓の重厚な防御柵は越えられず
君は終末に向かう身体を感じていればいい
栓に開いた三つの穴にそれぞれ/それぞれ
もうワンリッターずつ紹介してやらう

 色服男『彼女は挿入された液体を排出する事は出来ません。此の蕾栓は肉壁の状況に合わせて完全なフィットをするやうに出来ているのです。さて皆様/此処にもう三本のシリンダーが。硝子細工が御座います。内容物はそれぞれ違いましてな。一本一本に赤/緑/青の溶液が満たしております』

 色服男『此れを彼女の蕾栓から再び挿入しましょう。内圧の昂りに彼女は耐えられますまい。御存知でしょうか。浣腸趣味とサディスティック趣向が極まった中世の伯爵の物語を』

 色服男『此れは同時代に使用されたものの譲受品。当時のままという事ですな。責め方も敢えて同じにしてみましょう。浣腸に襲われて排泄感に苦しむ彼女に対し…蕾栓の穴からどれだけ挿入るでしょうか。実験ですな。はじまり/はじまり/皆様拍手をば』

1/奴隷市場に拍手が起こる

2/時計はその動きを止めている

3/魔女狩り当時の面影のまま

4/壁掛け時計は2時22分22秒

5/何年たってもその数字のまま

6/苦しみの長針は更に苦悶を求め

7/時間を刻む事を止めたと言っていた

8/奴隷市場に拍手が起こる

9/分を刻む筈の中針は役目を終え

10/奴隷といふ存在に突き刺さりたいと願う

11/奴隷市場に拍手が起こる

12/一番偉い短針は赴任先を探し

13/転職を繰り返したが天職は見つからない

14/哀れなものだな/嗚呼/哀れなものだよ

結局14時又は26時までを計時する時計は
彼女の苦悶の顧問となり壁にへばりついている
瞬間接着剤のもととなった粘液が壁を覆い
被虐のホトトギスが鳴く声を中和する音階を付す

彼女の肛門に咥えられた栓の穴のうちのひとつに
赤の溶液を満たした硝子細工が襲いかかる
先端が其の一方通行穴に突き刺さるのと
彼女が『もう…止め…て』と鳴くのが同時だった

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