《瞑想小説 狩人》

交差

ヒキガエルの呪い

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胸を責められるる路地裏
爪を立てられる麹屋(こうじや)
一度の敗北に打ちのめされては
更なる高みには到達など出来ぬ
英雄は自分の中に居る事を知る

叡智を持った栗鼠(りす)が内部に存在する
通知に惑わされない様にする現実的工夫
雪／打ち付けるアスファルトに陽炎
雹／砕け散る言葉に釣られて朗々
勝利の続く人生に価値などあるのか
百選百勝の戦利品を脳皺に刻む無意味さ
それでは人生はドラマにはならないのさ

彼女は言う…養生が必要であると
彼女は言う…栄養が必要であると
体内には無限の可能性を秘めた栗鼠がいる
聞けば何でも知っている知恵の塊
どんな答えでも帰ってくる芳香の昂り
万物の成り立ちを知っている博識者
誰よりも正確な羅針盤を持つ航海者
快適電話よりも素早い反応をする栗鼠
心／迷路／回答／解凍／そして解答
明快な解答は心の中に在る／心の中に
心は精神に包含される精神は魂に包含される

凍りついた大地を溶かし正体を顕したもう
人間の価値は／男の価値は／女の価値は
死を身近に感じた場合に顕現する価値
其の権限を感じる事もそう多くは無い
どんな詩歌にも属さない独特な歌詞
其の詩歌に触れる機会もさほど多くない

底に落ち込る機会を大事に捉える事が肝要
其れはどんな慣用句よりも賑やかなダンス
其れどんな専門用語よりも長い朗々たる言葉
其の言葉を紡ぎながら真実に近接しつつ
自らの心に一本のナイフを突き刺すのだ／
自らの心に一本のナイフを突き刺すのだ／
自らの心に一本のナイフを突き刺すのだ／
何度リフレインしても構わない
何度リフレインしても構わない

自らの心に一本のナイフを突き刺すのだ／
自らの心に一本のナイフを突き刺すのだ／
営利を捨てた鋭利なナイフを突き立てろ／
其の傷はどんな痛みを抱えているだらう／
其の傷はどんな色の血を流すだらう／
其の傷にピタリと合う薬は何だらう／
瞑想か／肉体折衝か／時間の経過か／
西洋的処方箋か／東洋の薬草学か／

根本的な生命力を養うのが／いいだらう
小手先では上手くいかない事も／あるだらう
人に頼れる時は頼るのが／いいだらう
底を走行する列車の中でしか
学ぶ事が出来ないものが／ある筈だらう
効率を溶かす熱射蝋燭の価値を識る
蝙蝠の６本の羽に頼るのも悪くはない

雰囲気をもっと大切にするといいだらう
蝙蝠は仲睦まじい核家族の生活を眺め
向上と退屈の隙間に鋭利な爪を突き立てた
廊下には大事にしていた[ぬいぐるみが]在る
内部の綿は腐肉の様なにほひを放っており
下衆の極みよりももっと下衆なにほひに変え
せっかくの美しいものを／美しい時間を
せっかくの美しいオトコを／オンナを
せっかくの背中美人及び孤独美人の覚悟を
台無しにしてしまう場合が在ると告げる

其のぬいぐるみは熊の表情をしている
其のぬいぐるみは熊の表情をしている
丁度／妖精村の第３子が生まれた時に
核協定で結ばれた「陰」と「陽」の対極から
祝福の巫女として呼ばれた白狼の様に

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蝙蝠は６本の爪から「いけなひもの」を
娘の中に存分に注入し満足げである
動脈から流れ入る相当量のエキス
此れでは娘の運命は決まって溺水
フェイクニュースでは無い真実が
彼女の中に真実として這入る／入る

無碍な剃毛作業を終了した彼女
一字一句を間違えぬ様に工夫された彼女
木製テーブルの上に裸で饗された娘
テーブルの上に緊縛され喘ぐ娘
蝙蝠／６本の爪から注入される粘液は
彼女の朦朧とする意識を更に朦朧とさせ
弓／弓／弓／三度の絶頂の後に
右手親指にヒキガエルの呪いをかける

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