《瞑想小説 狩人》

瞑想

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いけなひもの

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6本爪の蝙蝠は彼女の胸元に到達する
6本爪の蝙蝠は縛られ動けぬ彼女に
唾液を垂らし無表情のまま口角を上げる

6本爪の蝙蝠が彼女の胸元に爪を立てる
少量の血液が流れるが美の範疇を損ねない
蝙蝠は咆哮する/随分と頭が良いのが解る

其の象徴は色に現れているな
赤色の爪先は殆ど膨らみの無い
彼女/娘/奴隷…妖精奴隷の会陰を捉える
其れを第一指とし見分を進めることとする

蝙蝠は大きな大きな羽根を広げる
蝙蝠は大きな大きな羽根を広げる
顔を大きく彼女の寄せ口腔内から涎を垂らす
『飲め』此れは其の蝙蝠の放った言羽(ことば)

第2指を見て御覧なさいな
第2指を見て御覧なさいな
第2指は彼女の胸の北端を捉えた

第3指を見て御覧なさいな
第3指を見て御覧なさいな
其の指は彼女の胸の南端を捉えた

第4指を見て御覧なさいな
第4指を見て御覧なさいな
其の屈曲は彼女の胸の東端(とうたん)を捉えた

第5指を見て御覧なさいな
第5指を見て御覧なさいな
鬱屈した感情は膨らみの西端(せいたん)を捉えた

第2指から第5指までは
娘の小さな小さな膨らみを捕縛する
爪がそれぞれの部位に添えられ
『きりり』と音を立てる事に相成る

ジャイアント・バットよりも大きな彼
悪狐よりも賢く/猟虎(らっこ)より目立つ佇まい
白虎よりも非情で/確固たる智慧を持つ獣

彼といふのか彼女といふのか
6本爪の蝙蝠は娘の急所を探し徘徊する
熱射回廊と氷の作用を渡り歩き
無意味剃毛と不可思議堤防の行方
全員が固唾を飲む音がはっきりと聞こえる
妖精女王の第3子と蝙蝠の戯れのスゝメ

「いけなひもの」を持つ蝙蝠
「いけなひもの」を使用する蝙蝠
「いけなひもの」を止揚する権利
「いけなひもの」を試用される娘
「いけなひもの」は一体何なのか
蝙蝠は第6指に其れを持ち
彼女の右手の親指に添え、注入する

『……!!……!!』

痛み…其れは在る
哀しみ…其れも在る
苦しみ…其れも在る
嫉(そね)み…其れも在る
嫉妬…其れも在る
快楽…言うに及ばず
悦楽…ほぼ同義だな
至極…言い得て妙だな
絶頂…見れば解るだらう
峠声…聞けば解るだらう
峠越え…背骨/弓/そして美

それぞれの爪から注入されるエキス
1ツはアカシヤの華から抽出されたもの
2ツは憲法の前文から引用されたもの
3ツは真実を検索できる図書館へのアクセス権
4ツは自動書記の技術及び知識
5ツは気功修練の最終形態と呼べる自発動
6ツは体内に内包された結節を破壊する蛇

『…葉…葉…』「いけないもの」を注入され
『…宇…宇…』昔、昔の夢を見る
『…嗚…呼…』市場の王に捕縛された瞬間
『…嫌…嫌…』牧歌的な妖精の村への帰還劇
『…駄…目…』第3子としての運命経路
『…其…処…』そう、其処がお前の急所

明快な快を示す扁桃体、其の一方で
鬼神の如き不快を示す同舞台
彼女の股座からはとめどない悦楽の染み
眠りを妨げる松果体の覚醒と粘膜コイル
同コイルは右巻きの渦/渦/渦
其処には無限の重力が宿されている
ヒマラヤ産の蜂蜜を彼女の胸に垂らし
「いけなひもの」は更に
「いけなひもの」となった

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