《瞑想小説 狩人》

瞑想

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『ん』…何度目かの消気(しょうき)から目覚めた彼女
『ん』…周囲を確認し愕然とすればいい
『ん』…お前は供物/此の夜の捧げ物
『ん』…御霊を軽蔑する暗躍者は告げる也
『ん』…是非の協力を告げる閑散とした果実
『ん』…蝙蝠は未だ目を瞑(つむ)ったまままでおり
『ん』…彼女のお目覚めと体液交換の結果を求めた
『ん』…娘は一生涯に渡り蝙蝠の契約の虜となる
『ん』…随分と体液交換の効果は高いといふ訳やね

蝙蝠は娘がひた隠しにした秘密を攫う
まあ同村出身者には全員その気がある訳だし
蝙蝠は既に知っている事であるのだ/良かろう
攫われた秘密は妖精の村で起きた出来事と
我々人間との長期間に渡る確執の中枢

彼女は視線で四方を確認すると
其処は連行された場所であり最下層
自らの四肢は哀れ恐竜よりも強く
荒縄工房の虜になっているのが理解る
同下層には66人の嘲笑があり
その倍数の視線が自分に刺さっている

ほんの束の間の眠りから目覚めた娘
赤褐色の首輪が『じゃり/じゃり』と音粒を奏で
銀色のコード/鎖束が彼女の柔肌にこびりつき
行動範囲を極端に狭く定義付けしている事を識る
モーニング・コールを聞いて絶望なさい
モーニング・コールを聞いて絶望なさい
しかし/しっかりと目を覚ましなさい
此処は定義の曖昧な奴隷の市場/君その供物也

攫われた秘密は血液の波に見事に乗る
蝙蝠の羽根がその一部を吸収し水分に混ざる
何も考えない事だ/没頭する事だ
戦時思想は単純明快/殺らねば殺られる
それ程にシンプルに生きられぬならば
別回路で外交官と折衝するしか無いな

『嗚呼』…蝙蝠が襲ってくるのよ
『嗚呼』…誰も助けてはくれないの
『嗚呼』…私は人ならざるものだし
『嗚呼』…テーブルは酷く冷たいの
『嗚呼』…前の蕾を御覧になったくださいまし
『嗚呼』…模型様がお挿さりになってます
『嗚呼』…故郷への手紙を書くには時間がなく
『嗚呼』…それを届ける誰かも居ない
『嗚呼』…感覚が変わって参ります
『嗚呼』…私は船/私は波/私は難破船の乗員
『嗚呼』…暗夜行路を行く船の天井には
『嗚呼』…悲しい咆哮をする蝙蝠が居るの
『嗚呼』…其れが私を喰べるというのよ
『嗚呼』…悲しい物語に曲をつけるなら
『嗚呼』…勝手気ままに自動書記の如く
『嗚呼』…アドリブのフレーズでお願いします
『嗚呼』…声は出るのではないのね
『嗚呼』…漏れる声こそ美しいのね
『嗚呼』…でも切ないわ/切ないのよ
『嗚呼』…ヒトガタが66人居るにも関わらず
『嗚呼』…私を押さえつける蝙蝠様の
『嗚呼』…強引な体液交換を辞めにしてくれない
『嗚呼』…故に孤独を感じるのです
『嗚呼』…故に孤独を感じるのです
『嗚呼』…しかし身体は高ぶるのです
『嗚呼』…お母様/御覧になってください
『宇/宇』…貴女の娘は立派にしています
『宇/宇』…こんなに見事な弓になるのです
『宇/宇』…蝙蝠様の体液に媚薬が混じっています
『宇/宇』…だって、こんなに、あつ、く
『宇/宇』………ぴく、ぴく、ぴく、り

攫った秘密の返礼品を君に送るとしやう
攫った果実の味を此処に刻みこむとしやう
何も考えるな/感じ/想像し/時を見るなら
過去…其れはNOTを学ぶ集合体の概念であるし
未来…其れはTODO/ときめきの可能性であるし
現在…只、其の身体感覚に酔いしれていればいい
私は蝙蝠/6本爪の蝙蝠/美味であったぞ/娘よ
私は妖精/哀れな奴隷/お好きにご賞味ください/
せめて美味しく/美しく/ご賞味くださいませ
こうもり、さ、ま…ああ/ああ/ああ

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