《瞑想小説 狩人》

瞑想

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交差

熱射回廊…現実交差

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模型(もがた)の咆哮は熱射回廊の壁体に沿い
蝋燭の紫炎は体温より微か仄かに高い温度で
其の綺麗,美麗極まりない腰骨を旅行する
点々と粛々と其の意図を付す蝋燭の色は真美
[…嗚呼…],[…嫌,嫌…],[…宇,宇…],[…葉,葉…]

俺が複数年前に旅先で使ったものとはちがふな
漆黒よりも深い赤の記憶を今おもひだしたぜ
随分と俺も若かった,そして素敵な夜だった
蝋と肉体の適正距離を見出す事となる深夜帯
嗚呼,物事は…何よりも[実践経験]がものをいう
数多,異性を抱くべきであり/抱かれるべきだ

旅先,其の夜,俺に興味を持った一人の女性
旅先,ダンスホールで一番の人気者を頂いた夜
綺麗な肌だったな,乳房は非常に小さかった

分不相応なのか相応なのかは不明な大部屋
彼女は大きな黒いバックを持ってやってきた
[随分と大きな荷物だ,何が入っているんだい]
[嗚呼…勿論,答えなくてもいい,其のままでも]

彼女はバックの中味を恥ずかしそうに開いた
快適電話が2つ以上入っていた…そして
俺が大学時代に購入した戦前ギブソンより黒い
ソリッドなフォルムを持つバイブレーションが
どうしても今宵の主役になりたいと
其処の底に佇んでいるのを見る

其の他には本日のメインゲストとばかり
ダストシュートに警句を鳴らす鎖の束と
禁色よりも深い深い臙脂色の蝋燭があり
窮屈な黒バックからベッドの上に行きたいと
貴方に其れをシて欲しいと願いを告げていた

ロールケーキより甘い接吻を交わした後
ダークホースより黒い漆黒の部屋に2人
俺は彼女の用意したものではない
アロマ用の極,小さな小さな蝋燭に
[しゅっ]といふ風流な音階を奏で
黄燐マッチから火種を移す事とする也

閨行為の中で最も大事なのは運動神経と生命力
其れが充分に備わっている事を識るのは
日々の鋭角な集中状態を担保しているから
自身の自信に他ならぬ…但し[旗印は謙虚]

着けるか着けないかの議論を一応する
彼女の激しい吐息が其れを不定する
互いの呼吸往来と行為の流れの中で決めようと
吐息漏れ,きしむベッドの音が,部屋を包む

[…嗚呼…]そのまま舌先を彼女に挿入しつつ
[…嗚呼…]不相応なベッドに横たわらせるなら
[…何故?],何故俺が今宵一番の客だったのか
[…何故?],其処が知りたくなった
[…何故?],お前は沢山の客に酌をしていたろ
[…何故?],其の中で俺を選んだ理由を知りたい
彼女は俺の右手第一指を口腔内に導く
俺は彼女の口腔内の温もりと本気を知覚する
[…お願い],彼女は何も聞いて欲しくない
[…お願い],続きをして欲しいと言っている
[…お願い],所詮我々は動物だと言っている
俺の首後ろに両手を組む仕種は
恋人同士の所作そのもの…印象的だった
彼女の黒いバックはベッドの南西端にあり
止水ジッパーが此の世は窮屈だと言っている
彼女の黒いバックの内容物は本気だった
生きている事を実感したいと言っている

其の仕種で俺は呼吸と覚悟を決める
今宵,俺は彼女のバックの中味を全て使う
今宵,本能のままにシティーライクな獣に成る
此の旅の目的の一つは東海自然歩道の踏破
其の最西端にある箕面(みのお)の歩道を踏む事
山間地○○技術を極める為にする必要があった

[…嗚呼…嗚呼…],舌先が右の突起を甘噛みすると
彼女の両足,其の間に割って押し込んだ大腿部で
単突起の充血を感じる事を楽しむ…
嗚呼…過去の話さ/過去の話さ
此れはフィクションです
此れはフィクションです
何故2回繰り返すのか…其の意図は
牢獄の黙読者が[読書とは何か]を極めた時に
意味を発揮する事と相成るのだらうよ
勿論,此の夜に金銭の収受は発生していない
其の瞬間に萎えるもんでな…勘違いはするな

見事な回転をするヘッドが右渦を巻く
単突起が渦に巻かれ羽化する宵の魔法
ベッドサイドに置かれた採光用の蝋燭は
周囲の冷気を纏ひつつ華厳上昇気流に乗り
其の部屋の天井にぶつかり同心円状に広がった

彼女はステージよりも綺麗な踊りを踊る
此の手の中で,此の手の中で,此の手の中で

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